13階段

（2003年　日本）（上映時間２時間２分）
監督：長澤雅彦
出演：反町隆史、山崎努、笑福亭鶴瓶、井川比佐志、大杉漣、別所哲也
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＜ストーリー＞
喧嘩相手を誤って死なせ仮出所中の三上純一（反町隆史）は、刑務所の刑務主
任・南郷正二（山崎努）から、ある死刑囚の冤罪を晴らす調査に誘われる。彼
は、事件直後の交通事故で犯行時刻の記憶を一切なくしていたため、犯行を否
認することもできなければ改悛の情を示すこともできなかった。死刑執行のタ
イムリミットが迫る中、三上たちは真犯人探しに奔走するが……。

＜レビュー＞
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サスペンスと人間ドラマを融合。でも、欲張りすぎて中途半端なのが残念
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江戸川乱歩賞受賞作品の映画化。タイトルもなにやらアヤシゲな『13階段』。
とくれば、いかにもガチガチのサスペンスのような雰囲気の映画ですが、実際
はそうでもありません。

２人の男が死刑囚の冤罪を晴らすべく、真犯人探しに走るという筋書きはサス
ペンスそのもの。ただし、その２人の男がそれぞれ重いものを背負っていて、
それが背景として描かれるという人間ドラマの側面も強く出た映画です。

前半は人間ドラマが中心。
誤って人を殺した青年、三上が仮出所後、刑務官の南郷から死刑囚の冤罪を晴
らす調査に誘われる。
いったいなぜ南郷は、刑務官でありながらそんな調査を引き受けたのか？　そ
して、三上を仲間にしようとしたのはなぜなのか？　(・_・？)

そこには２人の男が背負った大きな傷が横たわっている。人を殺した三上はも
ちろん、南郷も過去に大きな心の傷を負い、その悪夢から立ち直れない。それ
が冤罪を晴らす調査への大きな動機付けとなっている。

三上と南郷が背負った重荷をじっくり描きながら、犯罪者の改悛の情、被害者
の遺族の感情、死刑制度など、かなりシリアスな問題にまでドドーンと迫って
いくところが前半の見どころ。

特に死刑制度に対する問題提起には、息を飲むほどの緊迫感がありました。誰
かが「日本版『デッドマン・ウォーキング』だ！」と言っていましたが、リア
ルな死刑場面の再現は、胸が詰まって身動きができないほど。死刑囚を演じる
宮迫博之の迫真の演技も素晴らしい。
おかげで「殺されて当然の人などいない」という言葉が、ジワジワと心にしみ
込んできました。　(T^T)

後半はサスペンス色が強くなります。
三上と南郷の調査によって、冤罪事件の裏に隠れた意外な事実が明らかになっ
てくる。そこには三上自身が起こした犯罪も、大きく関わっていた。そして、
それが思いもよらないラストへとつながっていく……。　Ｗ（゜O゜）W

事件の真相はかなり凝った仕掛けになっていて、うまいこと最後まで引っ張っ
ていきます。二重三重のドンデン返しもなかなかおもしろい。
ただねぇ、あまりにも偶発的な要素が多すぎて、ちょっとシラケちゃいました
。ご都合主義の連続で、登場人物の行動もクビをかしげるところが多いんです
。観ていて「そんなことないッ！」とツッコミを入れまくったボク。

犯人に迫るバトル＆パニックシーン（？）も、Ｂ級サスペンスを見ているよう
で、どうにも納得できず。全体にジミな展開が多いから、あそこで娯楽性を高
めようとしたのかもしれないけどサ。

テレビの２時間サスペンスにも、もっとよくできたサスペンスはありますから
ねぇ〜。サスペンス的にはかなり不満です。
まあ、事件の構図はユニークだし、俳優陣の演技も良いので、それなりに飽き
ずに観ることはできると思いますが……。

映画全体を通して紋切り型のセリフが多いのも、ちょっと気になるところ。
それにラスト近くの病院のシーンは、「感動させたい！」「泣かせたい！」と
いう意図がミエミエで、どうにも好きになれず。ありゃあ、やりすぎだよぉ〜
。　┐(´-｀)┌

というわけで、前半の人間ドラマと社会的な問題提起には見るべきものがあっ
たけれど、後半は人物の葛藤などが描写不足。
サスペンスとしても、ご都合主義が多くて物足りず。
サスペンスと人間ドラマ、それに社会問題の提起と、あれこれ欲張ったために
中途半端になってしまった感じ。そこがとっても残念デス。

でも、まあ、それなりにはよくできている映画だと思います。
宮迫以外の役者も良くて、反町の抑えた演技、山崎のアツい演技、そして笑福
亭鶴瓶、井川比佐志、大杉漣あたりのシブイ演技も見応えがあります。
どれも中途半端とはいえ、楽しめる要素はゴロゴロたくさん転がっているので
、そのどれかにガチッと食いついて観てくださいね。そうすれば、前売料金分
ぐらいは楽しめるんじゃないでしょうか。

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
（サスペンス好きには物足りない感じ。むしろ人間ドラマが好きな人の方が満
足できるかも。）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年２月19日（水）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後３時40分の回。

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