2046(2046)
（2004年 香港）（上映時間２時間10分）
製作・監督・脚本：ウォン・カーウァイ
出演：トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツ
ィイー、カリーナ・ラウ、マギー・チャン、ドン・ジェ
＊日劇３ほかにて全国公開
ホームページ http://www.2046.jp/
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＜ストーリー＞
1967年の香港。ホテルの一室に住む新聞記者あがりの作家チャウ（トニー・レ
オン）は、自堕落な日々を送っていた。そんなある日、隣室の2046号に越してき
たパイ（チャン・ツィイー）と「飲み友達」になるが、次第にパイは真剣に彼を
愛するようになる。一方、ホテルのオーナーの娘（フェイ・ウォン）は日本人の
男（木村拓哉）を愛していたが……。
＜レビュー＞
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近未来ＳＦじゃないゾ。『花様年華』の続編のラブ・ストーリーだゾ
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キムタク主演のＳＦ超大作と勘違いしてる人いませんかぁ〜〜？ ウォン・カ
ーウァイ監督はそんな映画つくりませんからねぇ〜〜。おまけに、キムタク、あ
んまり出てないし。配給会社のＰＲはほとんどサギ。
(｀´メ)
それじゃ何の物語かというと、愛の物語です。それもスレ違いの切ない愛。19
60年代の香港を舞台に、トニー・レオン演じる新聞記者あがりの作家をめぐる
いくつかの愛が描かれます。
ん？ それってどっかで聞いた話だぞ。と思ったら、ウォン・カーウァイ監督
の前作『花様年華』と似た雰囲気。いやいや、似ているどころか完全に続編なの
ヨ。前作でマギー・チャン演じる人妻との切ない愛をくり広げた男のその後の物
語なの。トニーとマギーの愛の記憶も登場して、２つの物語をきちんとつないで
います。そういうことを知らないで観てる人多いんじゃない？ だとすると、よ
くわかんないかもネ。
今作でもトニー演じる主人公はスレ違いまくりです。チャン・ツィイー演じる
水商売の女と遊びでつきあったら、いつの間にか相手が本気になったり、逆にフ
ェイ・ウォン演じるホテルオーナーの娘をマジで好きになったのに、相手には別
に好きな男がいたり。そのほかにもコン・リーやカリーナ・ラウなどとのビミ
ョーにスレ違う愛が展開します。
スレ違いは、この監督がずーっと追いかけてきたテーマ。その切ない愛を通し
て、もう戻せない時間への複雑な思いをスクリーンに映し取っていくのです。
なに？ キムタクはどうしたって？
主人公が好きになるホテルオーナーの娘の恋人＆主人公が書くＳＦ小説「2046」
の登場人物としてご出演。この小説は、主人公が自分の周囲の人間を登場させた
もので、キムタクは自分自身を投影した存在として描かれているワケ。
ＰＲコピーにある「近未来ラブストーリー」ってのはココだけなのだ。みんな
ダマされちゃダメよ！ (*^_^*)
この映画の最大の魅力は、いつもながらの映像美。ウォン・カーウァイ作品で
はおなじみの撮影監督クリストファー・ドイルによるめくるめく映像が、溜め
息が出るほど美しい。はぁ〜。 (´ヘ｀；）
ＳＦ小説の中の未来チックなシーン、モノクロの回想シーン、見つめ合う男と
女、そしてベッドシーンまでもが美しいぃ〜〜。すべてのシーンが完璧に美しく、
情感漂う映像なのです。
60年代が舞台ということで、スタンダードナンバーを中心とした音楽も実にム
ーディー。(*^．^*)
台本ナシで撮られた映画なのに、編集が見事なので不自然さはナシ。「2046」
に様々な意味があることを少しずつ明らかにしたり、オープニングの巨大なオブ
ジェ（？）の持つ意味を最後に明かしたりと、なかなかよくできた構成です。
豪華俳優陣もさすがの演技で、特にこれまでとは一変して小悪魔的な女性を演
じるチャン・ツィイーが印象的。強気と弱気の交差するフェイ・ウォンの表情も
忘れられませんなぁ〜（実はファンなもので……テヘ）。コン・リー、カリーナ・
ラウ、そしてもちろん主演のトニー・レオンの貫禄の演技もさすがです。
だけど、切ない話なのに、切なさがイマイチ伝わってこないのはどうして？
前作『花様年華』と同じ世界をパワーアップさせただけで、目新しさがないの
がツライところ。おまけに、前作と違っていくつもの愛が並んでいて、散漫な感
じがしちゃうのもウィークポイント。
それより何よりあまりにも完璧なシーンの連続で、映像に見とれているうちに
終わっちゃうんだよねぇ〜。展開されるドラマをしっかりと受け止める余裕が
なくなっちゃうの。だから、それ以上心が揺さぶられない。それにさぁ〜、なん
だかウォン・カーウァイ自身が自己陶酔しちゃってる感じもするしさぁ〜。
てことで、豪華俳優陣で描いた切ない愛の物語は、その映像美だけでも一見の
価値アリ。ただし、切なさは前作『花様年華』には及ばず。ウォン・カーウァイ
作品としては、まあそれなりの映画かなぁ〜、という感じでした。
もしも観るなら『花様年華』の予習はしといたほうがいいかも。間違っても、
キムタク主演のＳＦ映画だなんて思っちゃダメよッ！ (^_-)-☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（ウォン・カーウァイらしい映像美にあふれた切ない愛の物語。完璧すぎる映
像のせいで、ドラマに入りにくいのがややツライところ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年10月24日（日）池袋シネマサンシャインにて。午後３時30分の回。