21グラム(21GRAMS)
（2003年 アメリカ）（上映時間２時間４分）
監督：アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演：ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ、シャルロッ
ト・ゲンズブール、ダニー・ヒューストン、クレア・デュヴァル
＊丸の内ピカデリー２ほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.21grams.jp/
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＜ストーリー＞
優しい夫と２人の娘と暮らすクリスティーナ（ナオミ・ワッツ）。心臓移植の
順番を待つポール（ショーン・ペン）。前科を持ちながらも信仰に没頭するジ
ャック（ベニチオ・デル・トロ）。まったく関係のなかったこの３人が、ジャ
ックが引き起こした交通事故で出会い、悲劇的な運命に巻き込まれる……。
＜レビュー＞
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重たくて暗い映画だが、人間の内面描写は見応えタップリ
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"21グラム"というのは、人間が死ぬときに失う重さだそうです。ホントかなぁ
〜。
ということで、この映画のテーマは「命の重さ」。でもって、映画の中身も、
ひたすら重たいのです。 ┗（-＿-;）┛
ナオミ・ワッツ演じる妻が、夫と子供をひき殺した男（ベニチオ・デル・トロ
）に復讐を企てる。てのは、テレビのサスペンスドラマなんかでよくある見飽
きた物語。だが、そこにその夫から心臓をもらった男（ショーン・ペン）を絡
ませることで、物語はより厚みを増しています。
とはいえ、これをそのまま時系列で描いたって、そんなに深いドラマにはなら
ないはず。「ふーん、よくできた話だわい」ぐらいでおしまいでしょう。
でもねぇ、この映画はスゴイんです。
時系列をバラバラにしているの。一応、現在進行形の話にしながらも、未来だ
の、過去だののシーンを散りばめて、時間を自由に行き来しています。それに
よって、映画の核はストーリー展開よりも、それぞれの登場人物の内面描写へ
と移行していきます。
夫を殺された妻の復讐心、罪の意識に悩む加害者、そして心臓提供者の妻への
愛に悩む男。三者三様の心理状態がジワリジワリと、スクリーンににじみ出す
ように描かれていきます。
映像も独特です。手持ちカメラを多用したり、微妙な光の加減によって、臨場
感あふれる映像を生み出しています。
そして、この映画の最大の魅力は、やはり３人の実力派俳優の演技。ベニチオ
・デル・トロの苦悩に満ちた表情、ナオミ・ワッツの喪失感と復讐への思い、
ショーン・ペンのどこにもやり場のない思い。言葉にできない感情表現の巧み
さが、クッキリと際立つ演技です。
ショーン・ペンがナオミ・ワッツに接近するところなんて、彼が演じなきゃた
だのナンパだもんねぇ〜。 (＾0＾)
監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは、デビュー作『アモーレス
・ペロス』で注目を集めた人。３つのストーリを絡ませるスタイルは、今回も
同様で、臨場感あふれる映像もそのまま。ただし、今回はより技巧を凝らし、
さらに深みのある映画に仕上げています。
人間の命の重さとは。運命のいたずらってなに？ 復讐に意味はあるのか？
などなど、観ていていろんなことを考えさせる深い映画です。監督と役者たち
の意気込みがヒシヒシと感じられます。
ただねぇ、全体に技巧に走りすぎの感じがしてしまうのですよ。最初から30分
ぐらいは何が起きているのかよくわからないし、途中では流れがブツブツ寸断
されてしまう。
しかも、全体が重たくて暗い。『アモーレス・ペロス』のような疾走感もない
から、最初から最後までずーっと息苦しい感じ。個人的には、もうちょっと、
どこかでホッとする場面があるほうが好みだなぁ〜。 (~ヘ~;)
なので、観るなら覚悟して観なければいけない映画です。体調の悪いときに観
て、もっと体調が悪くなっても知りませんゾ。できれば観る前に保険にでも入
っときましょう！ んなアホな。 (゜o゜)＼(-_-)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（ハリウッドエンターティメントの対極にある映画。他の映画にはない深みが
ある。ただし、ひたすら重たいので覚悟を。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年６月８日（火）シネマ・ロサにて。午後２時15分の回。