８月のクリスマス
| （2005年 日本）（上映時間１時間43分） 監督・脚本：長崎俊一 出演：山崎まさよし、関めぐみ、西田尚美、井川比佐志、大倉孝二、戸田菜穂 ＊ シネスイッチ銀座ほかにて全国公開 ホームページ http://www.8xmas.com/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 父から受け継いだ写真館を営む寿俊（山崎まさよし）は、たびたび店にやって 来る小学校の臨時教員の由紀子（関めぐみ）と親しくなるが、なかなか本当の 気持ちを伝えることができない。実は彼には大きな秘密があり、残された時間 はあまりなかったのだ……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 名作のオリジナルとそっくり。これはクローン映画か！？ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ボクが韓国映画で一番好きなホ・ジノ監督の『八月のクリスマス』が日本でリ メイクされて、『８月のクリスマス』になりました。 でも、これってクローン映画化かヨ！！！ (＾○＾) いくらリメイクといったって、ここまでオリジナルそっくりの映画も珍しい。 なんたって、主人公の設定（写真屋でスクーターに乗っている）、登場人物の キャラクター、話の展開、エピソードの数々、細かなシーンまで、ホントにそ っくりなのだ。 オープニングの病院のシーンで、主人公の秘密を示唆するところ。 昔好きだった彼女との再会。 妹とスイカを食べて種飛ばしをするシーン。 ヒロインとアイスクリームを食べるシーン。 友人と立ちションするところ。 葬式用の写真を撮りにくるおばあさんのエピソード。 幽霊の話。などなど。 オリジナルを何度も見たボクは、「あったあった、こういうシーン」と、いち いちオリジナルを思い浮かべつつ観てしまいました。 わずかに違うのは、ヒロインの職業がオリジナルの婦人交通警官ではなく、小 学校の臨時採用の教師というところ。そこから派生するエピソードはオリジナ ルにはないもの。 それから、主人公の家のビデオがＤＶＤになっていたりするあたりは、時代を 感じさせます。 演出もほぼオリジナルのテイスト通り。 早い話が、難病モノの悲しい恋の話なんですけどね。それをウエットに描くの ではなく、あくまでも淡々と、抑え目のタッチで描くことで、より深い悲しみ を浮かび上がらせているんです。繊細な心理を行間で伝えるところもオリジナ ルそっくり。 それにしても、こんなに似せんでもエエやないか！！！ こんなにそっくりな ら、オリジナルを越えるのは難しいだろ。いったいなぜに、ここまでそっくり にしたの？ （￣ー￣？） 善意に解釈すれば、オリジナルがあまりにも素晴らしいので、あえて変える必 要がなかったというか，変えられなかったということかもしれません。オリジ ナルの素晴らしさを知らない人のために、その世界を再現してみせたというと ころかも。 いくらオリジナルに勝てないといっても、さすがにラストはググッときます。 ここはオリジナルとビミョーに違って、かなりあざといのだけれど、それでも 静かに去っていった主人公と、それを受け止めるしかないヒロインの気持ちが 切なくて……。 (Ｔ＿Ｔ） オリジナルでハン・ソッキュが演じた主人公を演じるのは歌手の山崎まさよし。 これまでにも役者をやっているので演技はともかく、「おじさん」役は似合わ んのじゃないかなと思ったら、これがちゃんとハマっているじゃありませんか。 すっかりおじさんしていました。 オリジナルでシム・ウナが演じたヒロインは、関めぐみという子が演じていま す。まだキャリアは浅いようですが、鼻っ柱の強さがちょっとシム・ウナに似 ていて、まずまずの演技。 主人公の父親役の井川比佐志もいい味を出していました。 オリジナルを観たボクには、「今さら……」という感じでしたが、オリジナル を知らない人にとっては、それなりに胸にしみる良い映画かもしれません。オ リジナルの素晴らしさを再確認できるだけでも、つくった意味はあるのかな？ 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （胸にしみる映画。オリジナルを知らなければもっと評価は高かったと思うけ ど……。この映画が気に入った人はオリジナルもぜひ！！！） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年９月29日（木）シネ・リーブル池袋にて。午後２時30分の回 |