アバウト・ア・ボーイ(ABOUT A BOY)
（2002年 イギリス・フランス・アメリカ）（上映時間１時間42分）
監督・脚本：ポール＆クリス・ウェイツ
出演：ヒュー・グラント、ニコラス・ホルト、トニ・コレット、レイチェル・
ワイズ、ビクトリア・スマーフィット
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＜ストーリー＞
ロンドンで気ままな一人暮らしの38歳のウィル（ヒュー・グラント）。だが、
ふとしたきっかけで、情緒不安定なシングルマザーの母を持つ12歳のマーカス
（ニコラス・ホルト）と知り合ったことから、彼の生活は一変する。母とウィ
ルを結び付けようとするマーカスの行動に振り回されて……。
＜レビュー＞
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大人になりきれない大人と、世の中に背を向けた子供の絶妙のコンビ
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男性版『ブリジット・ジョーンズの日記』というＰＲコピーが使われているこ
の映画。確かにダメ人間が主人公なのは同じですが、こっちのほうがずっとず
っとサイテーなヤツです（爆）。
主人公ウィルは38歳の独身。亡き父の遺産（音楽の印税）のおかげで、仕事も
しないで遊んで暮らしている。
そんなある日、男に対して過度な期待を持たないシングル・マザーと交際すれ
ば、後腐れなくセックスライフが楽しめると悟った彼は（って、何を考えとる
んじゃッ!?）、「離婚して子供と暮らしている」と真っ赤なウソをついて、シ
ングル・ペアレントの会合に潜入。シングル・マザーをナンパしようとする…
…。
ね。とんでもないヤツでしょう？ ダメ人間というよりデタラメ野郎。まった
く困ったヤツです。遺産で遊んで暮らせるところだけ、ちょっとうらやましい
けど。 (＾。^/)
で、この後いろんなことがあって、ウィルは、情緒不安定で自殺を図った母親
を持つマーカスという12歳の子供と知り合うんです。
その子は母親には男性が必要だと考えて、ウィルと母をくっつけようとする。
そのために毎日ウィルの家に押しかけてくるんですね。ほとんどストーカー状
態なのヨ。
ウィルとマーカスは年齢は違うけれど、かなり共通項がある。
どっちも極端なヒネクレ者。自分一人の孤独な世界に閉じこもって、世の中を
ナナメにばかり見ている。
それでいて、できれば周囲の人と交流したいという気持もチラホラ。だけど、
なかなかうまくいかない。 (´ヘ｀;)
そんな２人のモノローグで物語は進んでいきます。会話と並行して、ホンネが
散りばめられたシニカルなモノローグがポンポンと飛び出すんですが、これが
とっても効果的。
「そんなアホな！」っていうシーンもたくさん出てくるんですが、イヤミがな
くて素直に笑えちゃいます。 (＾0＾)
特に、おかしかったのが、ウィルとマーカスが最初に出会ったシーン。公園に
遊びに行って、マーカスが母親の焼いたパンを池の鴨にあげるんだけど、あん
まりパンが固いんで頭にきて丸ごと放り投げるんです。そしたら、それが鴨を
直撃しちゃうの。逆さになって脚だけ出している鴨の姿には爆笑でした。
この一件をきっかけに、ウィルとマーカスの交流が始まるんですが、２人のコ
ンビはまさに絶妙。最初はマーカスの訪問を嫌がっていたウィルも少しずつ心
を開き、マーカスに流行の靴を買ってあげたり、ラップを教えたりする。一方
、マーカスはウィルの恋を応援する。
そんな交流の中から、ウィルはこれまでの自分の人生に欠けていたものに気づ
く。「人間は誰でも孤島だッ！」な〜んて言ってた大人になりきれない大人が
、人間同士の絆や家族の大切さなんかに気づいていくワケ。
一方、マーカスもまた、ある行動を通して、学校で仲間ハズレにされ、世の中
をナナメにばかり見ていた自分を変えていくんですねぇ〜。
まあ、このへんは定番っぽい話ではありますが、それでも皮肉の効いたユーモ
アが楽しくて、最後まで飽きずに観てしまいました。
ラストもお手軽な結論には至らないで、余韻を残しつつホロリとさせる心憎い
結末。わかりやすいハッピーエンドにしなかったところが、とっても良かった
と思います。
それにしても、最近のヒュー・グラントはこういう役がピッタリですねぇ〜。
それに、マーカス役のニコラス・ホルトも素晴らしい。「ボクはオスメント君
じゃないし」みたいなセリフがあるんですが、なんのなんの、なかなか達者な
演技でしたヨ。 （*＾＿＾*）
全編がユーモアにあふれ、そしてちょっぴり苦いところも……。いかにもイギ
リス（製作は多国籍ですが）らしいコメディー映画でした。
恋愛話を中心にしないで、ウィルとマークの交流を中心に描いたところが◎。
もうちょっとグッとくる場面が多くても良かったかな、という気はしますが、
あんまり深いことを考えなくても楽しめるし、観ても損はないんじゃないでし
ょうか。
ただし、ウィルと同じ大人になりきれない大人の方は、ちょっと切なくなっち
ゃうかも。
でも、「大人」ってなんなんだ？？？？？ (・_・？)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（音楽もとっても良いです。ベタでない軽〜いコメディーがお好きな方はぜひ
どうぞ。『ブリジット・ジョーンズの日記』とは全然雰囲気が違うけどネ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年９月17日（火）シネマサンシャインにて。午後２時40分の回。