藍色夏恋(藍色大門／BLUE GATE CROSSING)
（2002年 台湾・フランス）（上映時間１時間24分）
監督・脚本：イー・ツーイェン
出演：グイ・ルンメイ、チェン・ボーリン、リャン・シューホイ、ジョアンナ
・チョウ、ミン・ジンチョン、リン・シェンナン、シー・ユアンチェ
＊シャンテシネほかにて公開。順次全国公開。
ホームページ http://www.natsukoi.net/
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＜ストーリー＞
台北の17歳の女子高生モン・クーロウ（グイ・ルンメイ）は、親友のリン・ユ
エチェン（リャン・シューホイ）が、水泳部のチャン・シーハオ（チェン・ボ
ーリン）に恋していることを知る。２人の仲を取り持とうとするモンだったが
、チャンはモンが自分に気があると思い込んで、モンに積極的にアプローチす
る。戸惑いながらもチャンの明るい性格に惹かれていくモンだったが……。
＜レビュー＞
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甘くて切ない青春の思い出を切り取った清涼剤のような映画
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最初にズバリと言います。
ここ何年かのうちにボクが観た青春映画で、１、２を争う秀作です。キラキラ
と輝く、甘くそしてちょっぴり切ない青春の１ページを、見事に切り取った素
晴らしい映画。観終わった後のすがすがしい気分は、何ものにも変えがたいも
のでした。 (*^。^*)
主要な登場人物は２人の女子高生モンとユエチェン、それに男子高校生のチャ
ン。モンとユエチェンは親友同士で、ユエチェンはチャンに恋している。恥ず
かしがり屋の彼女はなかなか思いを打ち明けられず、モンにサポートしてもら
って告白しようとする。だが、それが事態を思わぬ方向に進ませる。
中心に描かれるのは、青春時代の幼くて淡いひと夏の恋。チャンから交際を申
し込まれて戸惑うモン。しかも、チャンは彼女の親友ユエチェンが好きな相手
。おまけにモンはユエチェンに友達以上の感情を持っている。
ストーリー自体は、とりたててどういうこともないんです。フツーの高校生の
フツーの恋の話。いまどきの日本の高校生なんかと比べたら、あまりにも可愛
らしい恋で思わず笑ってしまいます。 (＾。^/)
それよりも特筆すべきは、みずみずしい演出。恋する少女や男のコのビミョー
な心情を、キメ細か〜に写し取っていくんですヨ。
けっして大げさなセリフでああだこうだ言ったりはしません。ほんのわずかな
表情の変化、繰り返される動き、そういった何気ない日常の積み重ねで彼らの
思いを描写していく。
自転車や夜のプールといった装置の使い方も巧い！
自転車で横に並んだモンとチャンが、ちょっとずつ前に出ていくシーンとかさ
ぁ、もー、ニクイ演出なのヨ。ディテールの細部まで凝りに凝ってつくられて
いるんです。
印象的なシーンはたくさんありますが、ボク的にいちばん心に残るのは、モン
とチャンが体育館でドツキ合うシーン。お互いに意識しながら意地を張り合う
２人の持って行き場のない思いが、実によく描かれていました。
２人の淡いキスシーンもよかったなぁ。 (*
^)(*^-^*)ゞ
ついでに、恋が成就するように好きな相手の名前を書き続けるシーンとか、ユ
エチェンがそれまで集めていたチャンに関するグッズを処分するシーンとか…
…。ああ、全部書いちゃいそうなので、このぐらいでやめておきます。
最後の最後まで、暴走したり、爆発するようなことはまったくありません。
「いまどきこんな高校生いるか？」と現実離れした思いにかられる人もいるか
もしれませんが、これはこれで良いのです。なぜなら、ここに描かれているの
は、いつの時代にも絶対に変わることのない青春のひとつの姿なのですから。
そういえば、ボクも５年前の高校時代にはああいう思い出が……（て、大ウソ
言うな！）。
エンディングに流れるさわやかで、リズミカルな音楽（Frente!の「Accidenta
l Kelly Street」という曲らしい）がいつまでも心に残ります。この曲がこの
映画の魅力を象徴していると言ってもいいでしょう。
監督のイー・ツーイェンはカリフォルニア大学で映画制作を学び、帰国後はＣ
Ｍディレクターなどで活躍。長篇映画は本作が２作目だそうです。エドワード
・ヤンなどに次ぐ台湾の新しい才能として要注目。 (◎-◎)
それに主演のグイ・ルンメイがこれまたいいのヨ〜。街でスカウトされたらし
いんだけれど、あのキラキラした輝きはちょっとやそっとでは出せませんぜ。
このコはひょっとしたら、かなりの女優さんになるかもヨ〜。
それに、男子高校生役のチェン・ボーリンは、向こうでは「台湾のキムタク」
と呼ばれるアイドルらしいっス。太い眉がなかなか印象的。
（ちなみにホンモノのキムタクもご出演！？ ただし、ノートの文字で……）
この映画は、青春真っ只中の人よりも、それを過ぎた大人の方がより共感を持
って受け止められるかも。こういう甘くて切ない思いは、過ぎ去って初めて感
じるものだからねぇ〜。青春の思い出に浸りたい方はぜひどうぞ。
ちなみに、５年前に高校生を卒業したボクも、気持ちの良い感傷に浸ることが
できました（コラコラまだ言うか！！）。
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ！ みんな観てねぇ〜】
（ギラギラした青春映画もけっして悪くはありませんが、こういう清涼剤のよ
うな青春映画が大好きです。最近のイチ押し！）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年７月26日（土）シャンテシネにて。午後３時20分の回。