ALWAYS 三丁目の夕日
| （2005年 日本）（上映時間２時間13分） 監督・脚本・ＶＦＸ：山崎貴 出演：吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、小清水一揮、須賀健太、もたいま さこ、三浦友和、薬師丸ひろ子 ＊日劇ほか東宝系にて全国公開 ホームページ http://www.always3.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 昭和33年、東京の下町、夕日町三丁目では、父・則文（堤真一）と母・トモエ （薬師丸ひろ子）、息子・一平が暮らす自動車修理工場・鈴木オートに、青森 から六子（堀北真希）が集団就職で上京して来る。一方、工場の向かいの駄菓 子屋・茶川商店では、店主の茶川竜之介（吉岡秀隆）が、一流作家を目指しな がら三流少年誌に小説を執筆していた。そんな中、居酒屋の女将ヒロミ（小 雪）のところに、引き取り手のない少年が連れられて来る。困ったヒロミは酔 っ払った茶川に少年を預けてしまうのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 殺伐とした現代に、ベタだからこそ新鮮に響く昭和の人情喜劇 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 西岸良平のコミックを映画化。昭和33年が舞台だけに、観客のほとんどはやっ ぱり年配の人。それでも観客動員第１位になるのだから、恐るべし熟年＆老年 パワー！ (/^▽^)/ 物語の象徴として描かれるのが東京タワー。昭和33年をスタートに、東京タ ワーが完成するまでの間に起きた東京の下町の出来事をつづります。時代はい よいよ高度経済成長に突入しつつあるとき。それを背景に家族の絆の強さや、 人間の温かさを描いた人情喜劇です。 驚くのが、下町の家々や町並み、上野駅など当時の時代を忠実に再現している こと。その徹底ぶりはハンパではない。家の中や商店の店先なども完璧につく りこんでいます。ほとんどがセットではなくＣＧを駆使して構成した映像らし いけど、その緻密さは見事の一語。山崎監督はもともと特撮畑の人だから、こ ういう映像はお手のものなのでしょう。 これなら当時を知っている人にとっては、十分にノスタルジーに浸れるはず。 また、ボクのように当時を知らない人にとっても（別に若ぶっているわけでは ないデス）、新鮮に感じられます。「へぇ〜、こんなことがあったんだ」。た とえば、氷で冷やす冷蔵庫なんて、とっても新鮮でした。 そして、人情喜劇の喜劇の部分についてもなかなかよくできています。堤真一 演じる鈴木オートの社長をはじめ、強烈な個性の面々がコントみたいな笑いを 振りまいてくれます。社長と掘北真希演じる従業員とのバトルなんて、ホント に爆笑モノです。 一方、人情話のほうですが、これははっきり言ってベタすぎる話。 鈴木オート一家、吉岡秀隆演じる売れない小説家茶川と彼が押し付けられた子 供、それに小雪演じる居酒屋の女将を中心に、「家族ってこんなに素晴らしい んだ！」「人間ってこんなに温かいんだ！」てなことが伝わってくる話を展開 しているんですけどね。女将が去っていくところとか、ラストの茶川と子供の シーンとか、全部どこかで観たようなシーンばかりです。 ┐(￣ヘ￣）┌ おまけに、あまりにも甘ったるい展開で、思わず「人生、そんなに甘くなんか ないゾ！」と叫びたくなるところもたくさんアリ。お尻がくすぐったくなりそ うな典型的な人情話。 でもねぇ、それがかえって新鮮に映るのヨ。殺伐とした今の時代だからこそ。 こんなに温かで、家族愛にあふれ、人情タップリの世界が、実際にこの日本に かつて存在していたってことがね。 茶川が女将に指輪を贈るところとか、鈴木一家がオート三輪で六子を見送ると ころとか、ナイスなシーンもたくさんあって、観ていて思わず胸が熱くなって きます。 これまでのイメージと違うコミカルな演技が板についていた吉岡秀隆をはじめ、 堤真一、薬師丸ひろ子、小雪など、みんな印象的な演技。子役も良かったです。 ただし、劇場を出て現実の今の世界に戻ると、どうしても空しくなっちゃうん だよね。もうあれは絵空事の世界だからサ。ああいう世界に戻ろうと思っても、 どう考えたってムリなわけだし。それがある意味ツライなぁ〜。 これは、もはや現実ではない絵空事の世界と割り切って見るべき映画ですね。 つかの間、現実を忘れて虚構の世界に浸れるのも、映画の大きな魅力なのです から。そうやって観たなら、涙と笑いがタップリで、ほのぼのとした余韻に浸 れることでしょう。 (*^-^) 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （見事な映像は必見。ドラマはイマイチだけど、笑えるのは笑えるし、それな りにウルウルできそうな感じです。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年11月26日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時15分の回。 |