アメノナカノ青空(...ING)
(2003年 韓国)(上映時間1時間44分) 監督・脚本:イ・オニ 出演:イム・スジョン、キム・レウォン、イ・ミスク * シネクイントほかにて公開中。順次全国公開予定 ホームページ http://www.ameao.jp/index_pc.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ <ストーリー> 幼い頃から病弱で病院暮らしをしてきたミナ(イム・スジョン)は、母の意向 で退院して高校に通うようになる。そんなある日、マンションの下の階に越し てきたカメラマンのヨンジェ(キム・レウォン)がミナにアタックする。最初 は相手にしなかったミナだが、次第に彼に惹かれていき……。 <レビュー> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 押し付けでない感動が魅力のピュアな恋愛ドラマ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「隊長! 新年早々、またしても韓国恋愛映画に潜入です。観客はほとんど女 性ばかりですぅ〜〜!! (*^^*) 」 「コラ! なにをうれしそうな顔をしとるんだ。ニヤけてないで、しっかりレ ポートしたまえ! (▼へ▼メ) 」 というわけで、観客は女性ばかりの純愛ドラマというので、ちょっと気後れし つつ出かけたのですが、なんのことはない客席はガラガラで、男も女も関係あ りませんでした。 純愛ドラマ+難病もの、というのが物語の基本的な構成。難病を抱え、小さい 頃から病院暮らしをしてきた孤独な少女が、ある男性と知り合って初めて恋を する。だが、彼女の身体はやがて……。 そう聞いただけで涙がウルウルしそう。しかも、このテのドラマだと、ヒロイ ンの病気のことは途中まで明かさないケースが多いのに、この映画ったら最初 にバラしちゃってるんです。 とくれば、直球一本やりで「これでもかッ!」と涙の波状攻撃をかけてきそう なものですが、意外や意外。強引に涙を誘うようなところはほとんどナシ。そ れよりも、ヒロインと彼氏との出会いから恋の進展を生き生きと描き出してい ます。 2人のキャラがいいんですよねぇ〜。ヒロインのミナは、病弱にもかかわらず 勝気で明るい性格。一方、相手のヨンジェは、お調子者でおマヌケ男。ミナが 窓辺でタバコを吸っているときに2人が出会うというのも、意表を突いていて おもしろい。2人が親しくなっていくようすも違和感なく描かれます。 実はミナは手に障害を持っていて、いつも手袋をしているのですが、それがヨ ンジェとつきあううちに少しずつ変わっていくんです。そのあたりも、なかな かうまい運び方。1人の少女が恋をしてキラキラし始める姿が、とってもよく 描かれています。ミナの母と亡き父との関係、交通整理をする男のエピソード、 ライター、傘、カメ、バレエといったドラマを彩るアイテムの使い方なども巧 みです。 後半は、このテのドラマの定番で、ミナの病状が変化します。しかし、そこで も、けっしてジメジメした感動には持ち込みません。たとえば、ヨンジェがミ ナの病気について知る直接的なシーンは排除します。その前後の彼の態度で、 悲しみを募らせていく仕掛け。 ラスト近くには、ヨンジェの正体についてある秘密が暴露されるのですが、こ れは余計だった気がしますねぇ。別にああいう設定でなくても、十分に感動で きたんじゃないかなぁ〜。 (−_−) それから、日本版は日本語の主題歌(セカイイチの「虹」)が入るんだけど、 これもなんだか違和感がありました。韓国映画なんだからサ、やっぱりハング ル語の歌じゃないとねぇ〜。 ヒロインのイム・スジョンは『箪笥』(2003年)で注目されたコ。クリッとし た大きな目が印象的です。相手役のキム・レウォンも安定した演技。ヒロイン の母親役のイ・ミスクの自然な演技も心に残ります。 監督は『子猫をお願い』の助監督などを経てこれがデビュー作となった女性監 督のイ・オニ。ヒロインの少女らしいキラキラした輝きと繊細な心理描写は、 女性監督ならではの演出かも。 ストーリー展開など、とりたてて、どうということのない映画ですが、生き生 きとした描写は魅力的。押し付けでない感動が味わえるはず。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ (ピュア恋愛映画として合格点はあげられる感じです。青春ラブ・ストーリー の好きな方にはオススメ。) <ぽち> 〔鑑賞データ〕 2006年1月7日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後2時の回。 |