アメリ (LE FABULEUY DESTIN D'AMELIE POULAIN)


(2001年 フランス)(上映時間2時間1分)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ヨランド・モロー、ジャ
メル・ドゥブーズ、イザベル・ナンティ、ドミニク・ピノン
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<ストーリー>
空想の世界で遊ぶ内向的な少女アメリ(オドレイ・トトゥ)。大人になった彼
女は、ある日、周囲の人々に幸せを与える喜びを発見する。それ以来、他人を
幸せにするために、あれこれと手の込んだイタズラを考え出す。そんなある日
、不思議な青年ニノ(マチュー・カソヴィッツ)に出会い、ひとめぼれしてし
まうアメリだったが……。

<レビュー>
なんたって主人公アメリの笑顔がいいんですよねぇ〜。 (*^_^*)
チャーミングで、キュートなんだけど、どこか屈折した感じ。子供みたいに純
粋なんだけど、内向的で自分の殻に閉じこもっている。
そんな彼女の性格があの笑顔に象徴されているんです。クルクルした眼がたま
んないッ! あれだけでかなりポイント高いゾ!

物語はまず彼女の少女時代を駆け足で紹介。
冷たいパパと神経質なママのもとで育った空想好きな少女は、やがて大人にな
ってからも内向的な性格で空想ばかりしている。
趣味は、クレーム・ブリュレのカリカリの焼き目をスプーンで壊すことと、サ
ンマルタン運河で水切りすること。

そんなある日、たまたま部屋で昔の住人の宝箱を発見。持ち主を探し出して返
してあげる。それですっかり他人に幸せを運ぶ喜びに目覚めた彼女は、あれや
これやとイタズラを仕掛けて、周囲の人々にささやかな幸福を届ける。
その対象になったのは、亡き夫が忘れられないアパートの女管理人、店主にい
じめられている食料品店のちょっとニブイ店員、ルノワールの贋作製作を続け
る老人、そして彼女が勤務するカフェの人々などなど。

そんななかで、アメリは、スピード写真のブースのまわりに落ちている捨てら
れた写真のコレクターという不思議な青年ニノと出会う。ひとめぼれしてしま
った彼女は、いろんな手段を使って接近を図るのだが、内向的な性格が災いし
てなかなか前に進めない。さてさて、その恋の結末は???

ジャン=ピエール・ジュネ監督は、『デリカテッセン』(1991年/マルク・キ
ャロと共同監督)で人肉を料理してたグロテスクなお方デス。(『エイリアン
4』も監督してましたね。)
そんなダークな方が「観たら幸せになれる映画」を撮ったって聞いて、「いっ
たいどんな映画なんじゃい?」と不安に思ったんですけどねぇ〜。
ご安心ください。やっぱりヘンな映画でした。 (^0^)

まずなにがヘンかというと、登場人物がみんなヘン!
アメリの両親やカフェの女主人、従業員、お客、アパートの管理人や住人たち
。とにかくまともな人は1人も出てきません。
この人たちに比べたらアメリなんてまだまだ序の口。甘すぎるぅ〜。 (^O^)/

そんなクセのある人たちが巻き起こすエピソードを、ギッシリと盛り込んでい
るんですヨ。
それも異様にディテールにこだわって描いている。たとえば、アーティチョー
クを宝石のように扱う食料品店員だとか、梱包用ビニールのプチプチをつぶす
ことが唯一の楽しみというカフェの客だとか……。
そういういろんなエピソードを観ているだけで、自然に笑いがこみあげてきま
す。

僕的に特に笑えたのが、アメリがお父さんの小人の人形に世界旅行をさせるエ
ピソード。おバカなんだけど楽しいんだよねぇ〜。 (^。^/)

アメリは空想の中で生きる女性。そこで、現実と空想の世界をごちゃ混ぜにし
たところもユニーク。
落胆したアメリがいきなり水になっちゃったり、心臓が真っ赤になってドクン
ドクンと波打ったり。CGなんかを使って、現実と空想の境目をごく自然に超
えちゃってるんです。
そういう場面もかなりヘンだけど、楽しかったなぁ〜。 (#^.^#)

アメリは他人を幸せにするために、いろんなイタズラを仕掛けます。でも、そ
んなの余計なお世話なんですよね。おまけに、けっこうきわどいイタズラだっ
たりする。

それなのに、そんなにイヤな感じはしないんです。
だって、アメリって何をやっても憎めないキャラクターなんだもん。
それに、そういうクセのある部分と、ちょっとウルってきそうなイイ話、かわ
いらしいアメリの恋(よく考えたらタダのラブ・コメなのだが……)なんかを
うま〜くブレンドしているんです。
だから、とっても後味がいいんですよねぇ〜。 (^。^;)

いやぁ〜、最初から最後までクスクス笑いっぱなしで、2時間1分があっとい
う間でした。
しかも、全体のタッチが、とっても温かいから、観終わってホンワカした気分
になれます。ノスタルジックな雰囲気も心地いい。
「失敗を恐れて自分の殻に閉じこもってちゃダメよ!」っていうメッセージも
押しつけがましくなく伝わってきました。

「観たら幸せになれる映画」っていうのはウソじゃありませんでしたね。とっ
てもステキなファンタジーです。
まあ、かなりヘンな映画なのは間違いないんですけど。 (^0^)

ところで、この映画、フランスじゃ1週間で120万人動員の大ヒット。日本でも
ミニ・シアターとはいえ連日大盛況。
ふーん、みなさん、そんなに心を温めてもらいたいですか? そんなに寒い人
生ですか?? そんなに疲れているんですかぁ〜〜〜〜〜〜????
(てなことを言ってる本人も相当に心が寒い。ま、いいか!? 冬なんだし。)

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
(一見、ラフなようでいてかなり緻密に作られた映画だと思います。この温か
〜な感じがたまりませんなぁ。もう何も言うことはありません。ドップリと浸
かっちゃってください。)
                              <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2001年11月27日(火)渋谷シネマライズにて。午前9時50分の回。


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