エイミー(AMY)
（1997年 オーストラリア）（上映時間１時間43分）
監督：ナディア・タス
出演：アラーナ・デローマ、レイチェル・グリフィス、ベン・メンデルソーン、
ニック・バーカー、ケリー・アームストロング
＊ポニーキャニオンより【ＶＩＤＥＯ】【ＤＶＤ】発売中
＜ストーリー＞
人気ロック・スターの父親ウィル（ニック・バーカー）がステージで感電死する
のを目撃した少女エイミー（アラーナ・デローマ）。それ以来、口もきけず、耳
も聞こえなくなってしまう。福祉局の役人の干渉を嫌った母親タニアは、彼女
を連れてメルボルンへ。労働者階級が住む地区に古い借家を見つけ間借りす
るが、近所に住むのは変わった人ばかり。ところが、ある日、隣に住む売れな
いミュージシャンのロバートが、エイミーの耳が音楽には反応し、歌も歌えるこ
とを発見する……。
＜ストーリー＞
音楽を聞いただけで「参りましたぁ〜！！ ｍ（＿＿）ｍ」となっちゃう映画がある。
たとえば、サザンの桑田圭祐が監督した『稲村ジェーン』。映画の中身は完全
な『ビッグ・ウェンズデー』の二番煎じ。点数をつければゼロ。だけど、音楽は満点
なんだよなぁ〜。あそこまで極端な映画も珍しい。
この映画も音楽が大きな要素を占めている。
エイミーが今は泣き父親のウィルと歌う「ＹＯＵ＆ＭＥ」という曲が最高！！
もうこれだけで、涙がウルウルしてきちゃうんですヨ。 (T^T)
それにエイミーを演じるアラーナ・デローマちゃんのカワイイこと。
あの顔を見ていると、文句を言う気力なんかなくなっちゃいますネ。ホント。
映画の中身も、『稲村ジェーン』とは違って、なかなかのレベルです。
ストーリー的には、耳も聞こえず、口もきけないエイミーの心の傷の原因を探り、
それを克服させることで再び言葉を取り戻すというありがちな話。
途中ちょっと無理な展開もあったりして、特別に素晴らしい脚本というわけでは
ないと思う。
だが、エイミーが音楽だけには反応する、という設定がバツグンにウマイ。
それは事故死したロック・スターの父と彼女をつなぐ絆であり、周囲の人々との
唯一のコミュニケーションの手段でもある。
隣に住む売れないミュージシャンのロバートが、彼女とその秘密を知ったことから、
話が次々に転がりだしていくわけだ。
この設定は、ところどころでミュージカル的な場面が展開されるという効果も生
み出している。特に、警官たちがエイミーに歌いかけるシーンは爆笑モノ。
そのほかにも、ヒステリー女や水まきオバサン、アル中オヤジといった強烈な個性
の隣人たちを登場させたりして、ユーモラスなタッチで物語を展開させている。
こうした雰囲気が、明るくポジティブなエイミーの態度とあわせて、
映画全体を温かくなものにしているんですねぇ〜。
ラストは絵に描いたようなハッピーエンドで、突っ込みの１つも入れたくなるが、
そこに至るまでの過程から考えて納得するしかない。これまたとってもウマイ持って
行き方だ。
ただなぁ、エイミーの父親の感電死の場面が、なんだかみっともないんだよなぁ。
もう少しロック・スターらしくカッコよく死なせてやれなかったものだろうか。
もっとも、カッコよく死んだら、エイミーだってあれほどのショックは受けなかったかも
しれないけど……。
《ぽちのオススメ度》
★★★＋1／2★
（これぞハートウォーミング！！ って感じの温かな映画です。少しぐらいのアラは、
エイミーちゃんの笑顔で許しちゃう〜！！！）