姉のいた夏、いない夏。(THE INVISIVLE CIRCUS)
（2000年 アメリカ）（上映時間１時間33分）
監督：アダム・ブルックス
出演：キャメロン・ディアス、ジョーダナ・ブリュースター、クリストファー
・エクルストン
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＜ストーリー＞
姉フェイス（キャメロン・ディアス）の死から７年。妹フィービー（ジョーダ
ナ・ブリュースター）は、その死の真相を探るためにヨーロッパに渡り、姉の
足跡をたどる。パリに住む姉の元恋人に会ったフィービーは、意外な事実を知
るが……。
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＜レビュー＞
ヨーロッパに渡り、謎の自殺を遂げた姉。その死の真相を探るべく、妹もまた
ヨーロッパに渡る。手がかりは、姉がよこした絵ハガキだけ……。 (？.？)
うーん、サスペンスものによくありがちな話ですねぇ。テレビの「火曜○○○
○○」とか「土曜×××××」なんかでもやりそう。 (＾。^/)
だけど、この映画は、サスペンスというよりはロードムービー。妹が姉の滞在
先であるアムステルダムから、パリ、リスボンへと旅を続け、姉の心の軌跡を
たどっていく。
それによって過去の自分を卒業し、新しい人生へと踏み出していくのだ。
サスペンスじゃないから、謎解きのおもしろさはあんまりナシ。
真相を語るのは一緒に旅をする姉の元カレだけ。
「あれこれといろんな証言が飛び出して、謎がどんどん深まっていく！」なん
てこともなければ、「真相に迫ろうとした主人公に魔の手がしのび寄る！」な
んてスリルも全然ありませ〜ん。 (^。^;)
ラストでわかる姉の死の真相も、そんなにビックリするようなものじゃないん
ですヨ。そのへんはかなりガックシきちゃいましたね。 (´ヘ｀；)
まあ、本格的なサスペンスじゃないから、そんなこと期待してもしょうがない
んだろうけど、もう少し工夫してもよかったんじゃないかなぁ〜。
その代わりといっちゃなんだけど、姉の心の軌跡はそれなりに伝わってくる。
60年代末の激動の時代。「世界を変えられる」と信じていた父の影響で、自由
な精神の持ち主だった姉。反戦運動に身を投じたのをきっかけに、どんどん過
激な行動に突っ走っていく。それがやがて彼女を悲劇へと導いていく……。
今から考えればかなり無謀な行動に思えるけど、当時としてはありえることだ
ったんでしょう。普通の若者がちょっとしたことでテロリストになっちゃった
り、命を落としちゃったりする時代だったんですねぇ〜。
でも、そのへんもツッコミ不足で物足りな〜い。 (x_x)
当時の時代の熱気がガシガシ伝わってくるところまではいかないんだよねぇ。
一応、デモの場面なんかも入れてはいるけど、そんなに強烈な印象を残さない
の。「時代に翻弄された姉」の姿をクッキリ出すには、イマイチ説得力不足。
当時を知らない人にはツライものがあるなぁ〜。
若い皆さん、ついてこれますかぁ〜？ (・_・？)
一方、妹の成長物語という視点で見ると、姉妹のキャスティングが効果的。
かなりハデめなキャメロン・ディアスを姉に、わりとジミめなジョーダナ・ブ
リュースターを妹に、という対比がうまいこと生かされている。
自分とはあまりにも違う姉をまぶしい目で見つめていた妹。最初は内気でダサ
い感じさえした彼女が、姉の死の真相を探るうちに少しずつ開放的で情熱的な
女性になっていく。
彼女にとってこの旅は、姉の死の真相をたどるだけでなく、自分の成長のため
に避けて通れないものだったのかもしれませんねぇ。
でもさぁ、そこで姉の元カレの使い方はどーなんだ!?
妹の成長において、重要な意味を持たせようとするのはわかるけど、それにし
たってお手軽ぅ〜。 (｀ヘ´)
奥さんがいるのに、妹の旅にヒョコヒョコついてくるし、そのあげくにアラア
ラ……（どうなったかは、ご想像にお任せしまッス）。
ああいう展開にするなら、もう少し納得できるように心の動きを描いてくれな
いとねぇ〜。
そのへんもツッコミ不足なんだよねぇ〜。なんだかなぁ〜。 (´ヘ｀;)
この映画の原作は、ジェニファー・イーガンの小説『インビジブル・サーカス
』。
で、この映画って、考えてみればかなり深いテーマを持っているんですよね。
姉と妹の絆を中心に、父と母、親と子、そういう家族の関係性の中で、お互い
にいろいろと複雑な心理が見え隠れするワケ。
小説だと、そのあたりはかなりきちんと描けるんだろうけど、映画になっちゃ
うとどうしても中途半端なの。そこが厳しいよねぇ〜。
いかにも、原作をソツなくなぞりましたって感じがしてサ。
てなわけで、まとめますとですねぇ〜。
激動の時代を背景に、姉妹の絆の強さと妹の成長を描いたロードムービー。
小説の映画化の割にはテンポが良くてムダがないし、ヨーロッパ各地の風景も
印象的。
ただし、サスペンス的な物足りなさや時代性の欠如、登場人物の心理描写の浅
さといった欠点が、ドバーッと目立っちゃいましたネ。
しかし、まあ、姉妹の絆ってそんなに強いもんなんでしょうか？
ちなみに、僕には弟がいますが、めったに会いません。会っても口をききませ
ん。 (＾。^/)
やっぱり、どっちもまだ生きてるからかなぁ。姉のフェイスみたいに死んじゃ
うと、かえって絆が強まるのかなぁ？
なに？ 「じゃ、兄のお前が死ね！」ですと？ イヤじゃ、イヤじゃ。そんな
ら、僕、今日から弟になりまぁ〜す。 (＾0＾)
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）
（『チャーリーズ・エンジェル』のキャメロン・ディアスしか知らない人には
、こういう役は新鮮に思えるんじゃない？）
＜ぽち＞