ビューティフル(BEAUTIFUL)
（2000年 アメリカ）（上映時間 １時間53分）
監督：サリー・フィールド
出演：ミニー・ドライヴァー、ハリー・ケイト・アイゼンバーグ、ジョーイ・
ローレン・アダムス、キャスリーン・ターナー、レスリー・ステファンソン
初公開2002年１月
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
貧しい家庭に生まれ、親の愛情に恵まれずに育ったモナ（ミニー・ドライヴァ
ー）は、ミス・アメリカに選ばれることを夢見て、幼い頃から涙ぐましい努力
をする。だが、妊娠し出産。子持ちではミスコンに参加できないことから、娘
を親友のルビーに託す。その事実を知ることなく７歳になった実の娘ヴァネッ
サ（ハリー・ケイト・アイゼンバーグ）は、モナを母ルビーの親友と信じて育
つ。やがて、数々の裏工作が功を奏し、モナはみごと州代表となり全米決勝戦
の舞台に上がるのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大甘のヒューマン・コメディだが、それなりに感動できる映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
オスカー女優サリー・フィールドの初監督作品。彼女といえば、最近ではＴＶ
ドラマ『ＥＲ』での躁鬱病の母親役の演技が評判を呼び、エミー賞も獲得した
とか。
ちなみに、『ＥＲ』にはその他にも、ジェームズ・クロムウェルなど映画で活
躍する俳優が、けっこうゲスト出演しています。
ついでにいえば、エリザベス・コーディ役のアレックス・キングストンは、レ
イフ・ファインズの元奥さんだそうです。へぇ〜、知らなかった。どーでもい
いけど。 (＾。^/)
さて、そんなサリー・フィールドの初監督作品ですが、初監督にしてはソツな
くまとまっています。けっして驚くような演出はない代わりに、落ち着いて楽
しめて、それなりに感動できる映画に仕上がっています。
物語は小さい時から「ミスコン命！」できた少女がやがて出産。子持ちでは念
願のミスコン優勝が実現できないため、子供を友人に託し彼女の子として育て
てもらう。でも、どう見ても２人は似ているわけで、疑問も持ち上がってきて
……という感じです。
典型的な母子もの。一度は捨てた娘だけれど、やっぱり母親の愛情は捨てきれ
ずということで、これは古今東西の物語の普遍的パターン。
しかし、それをミスコンと混ぜ合わせたことで、なかなかおもしろい映画にな
っています。
全編がコミカルで、ミスコンをおちょくっているようなところもたくさん出て
くる。主人公モナに、とてもミスコンに出られそうもない（？）ミニー・ドラ
イヴァーを持ってきた意外性も楽しかった。
しかも、彼女を本質的にはいい人なんだけれど、ミスコンのためにはキタナイ
ことも平気でやる、かなり性格のねじまがった女に描いているところもよい。
そして、何よりもいいのが娘のヴァネッサですね。ハリー・ケイト・アイゼン
バーグという女のコが演じているんだけれど、これがミニー・ドライヴァーそ
っくりなの。可愛くて、ちょっと生意気で。このコがかつて母親が子供の頃に
やったのと同じ行動を取るシーンがあるんですが、このあたりの描き方は秀逸。
主人公モナと親友ルビーが子供時代に友達になるところも、ダラダラと描かず
にコンパクトにキチッとまとめていて、好感が持てました。 (^-^)
ただし、モナがミスコンにのめりこむあたりの経緯は描写不足。親の愛情の欠
如が原因だとセリフでは言っているけれど、それがドラマとしてキチッと描か
れていない。
また、「娘なんか関係ないわ」という感じだった主人公が、やがて母親の愛情
を取り戻すところも、ちょっと急仕上げという感じ。もう少しそのあたりを繊
細に描いてもよかったのでは？
それにラストは「いかにも」という感じでお決まり過ぎますよね。あそこまで
やる必要があったのかな。ボクだったら、あのまま静かに会場を去らせるけど
ね。
まあ、それでも感動的なのは確か。泣かせどころを知っているからこそ、こう
いう展開にしたのかもしれません。そういう点でも、実にソツなく楽しませて
くれる映画だと思います。後味もスッキリ。母と娘の絆の物語として、まずま
ず合格点の映画といえるでしょう。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（お決まり過ぎる映画ではあるものの、それなりに感動はできるはず。家族で
安心して楽しめます。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年７月13日（日）ビデオにて。