ビロウ(BELOW)
（2002年 アメリカ）（上映時間１時間45分）
監督：デヴィッド・トゥーヒー
出演：マシュー・デイヴィス、ブルース・グリーンウッド、オリヴィア・ウィ
リアムズ、ホルト・マッキャラニー、スコット・フォーリー
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＜ストーリー＞
第二次世界大戦中の大西洋。アメリカ軍潜水艦タイガー・シャークは、英国病
院船の生存者３名を救出する。だが、そのうちの１人は潜水艦には不吉といわ
れる女性だった。やがて、ドイツ軍の敵艦が急接近する中、救助した１人がド
イツ兵だとわかり、艦長代理が射殺してしまう。それから、艦内では無気味な
現象が次々に起こり……。
＜レビュー＞
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潜水艦をオバケ屋敷に仕立てたユニークな発想が光るサスペンス
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「潜水艦ものにハズレなし」とはよくいわれる話。
その潜水艦ものにホラー映画の要素も組み込んだユニークな映画です。
第二次世界大戦中の大西洋で、アメリカの潜水艦が、撃沈されたイギリスの病
院船の生存者３名を救助。それをきっかけに艦内では次々に不思議なことが起
きる。その内なる見えない敵と、外の敵＝ドイツ軍という２つの恐怖に包まれ
て、乗組員たちが右往左往する……というのが物語の基本的な構図。
でも、それだけではありません。そこにいろんな要素を組み込んで、恐怖感を
高め、ナゾを深めているんです。
例えば潜水艦に不吉とされる女性が乗り込んでくるという意外な展開。
あるいは、艦内で次々に起きるオカルトチックな怪奇現象の数々。
さらに、航海の途中で事故死したという艦長の死をめぐるミステリー。
なかでも特に感心したのが音の使い方。普通の潜水艦ものでも深海のミステリ
アスな音が大きなポイントになるけれど、この映画ではそれ以外にも様々な不
思議な音を使って、雰囲気を盛り上げていきます。
緊張の艦内に突然鳴り響くベニー・グッドマンのレコードの音、ドイツ軍の（
？）爆雷がゴロゴロと船体を通って爆発する音、死者からの（？）不気味な忠
告の声などなど。背筋ゾクゾクものの効果的な使い方ですヨ〜。 (>_<")
中盤は船体トラブルが続出し、引き続き起きる怪奇現象とともに乗組員たちを
恐怖のどん底に陥れます。
そして、１人、また１人と奇怪な死を遂げていく乗組員たち。艦内はもはやオ
バケ屋敷状態。次に死ぬのはお前だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜！！
Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
つまり、実際に船体が傷んでいき、乗組員たちが生存の危機を迎えるというよ
くある潜水艦もののパターンにプラスして、ホラー映画のコワさも体験できる
ワケです。まさに「一粒で二倍のおいしさ！」。
平凡な小道具や、ささいなしぐさから恐怖を高める演出も見応えがあります。
しかも、例の艦長の死をめぐるミステリーも真相は二転三転。ようやくラスト
近くになって、すべての真相が明かされる。はたして、その真相とは？
ただねぇ、この真相はイマイチでしたね。もう少し意外性があるかと思ったん
ですが、それほどでもなかった。
それに、たくさん起きる怪奇現象の原因がなんだったのか。結局、最後までわ
からないところもちょっと拍子抜け。まあ、このテのホラー映画で原因がナゾ
のままというのはよくあることなので、その定番通りの展開ではあるのですが
……。
さて、こうして数々の危機に直面し、多くの仲間を亡くしていった乗組員たち
が、最後にどうなったのか。それはもちろん、観てのお楽しみということにし
ておきますが、全体としてはなかなかに楽しめる潜水艦サスペンスでした。
ホラー映画の要素を取り込んだりして、あれやこれやで楽しませてくれるとこ
ろが見事。普通、これだけ手を広げちゃうと、収拾がつかないことが多いけれ
ど、この映画はそのへんをよくまとめています。娯楽作品としての水準は充分
にクリアしている。
ところで、どうしてこの映画を観ようかと思ったかというと、『π』『レクイ
エム・フォー・ドリーム』というカッ飛んだ映画２本で、ボクの心を釘付けに
したダーレン・アロノフスキー監督が、製作と脚本に参加しているから。
たぶん、潜水艦サスペンス＋ホラーというユニークな構成も、彼が考え出した
んじゃないかなぁ〜。かなりの鬼才です。この人。
もしも、彼が自分で監督したら、もっともっとカッ飛んだ映像のスサマジイ映
画になったかも。などと欲張ったことを考えつつ映画館を後にしました。アロ
ノフスキーさんよ、早く次の監督作を見せてちょーだいッ！！！ (^人^)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観て損はナシ】
（ユニークな構成が光る潜水艦サスペンス。サスペンス好きのみならずホラー
映画好きにもオススメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年２月26日（水）新宿武蔵野館にて。午後４時30分の回