ビヨンドtheシー 〜夢見るように歌えば〜
(BEYOND THE SEA)
（2004年 イギリス・ドイツ）（上映時間1時間58分）
監督・製作：ケヴィン・スペイシー
出演：ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジョン・グッドマン、ボ
ブ・ホスキンズ、ブレンダ・ブレッシン、グレタ・スカッキ
＊ シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて全国公開
ホームページ http://www.gaga.ne.jp/beyondthesea/
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＜ストーリー＞
ウォルデン・ロバート・カソットは、ブロンクスの貧しい家庭に生まれ、母ポ
リー（ブレンダ・ブレッシン）、姉ニーナ（キャロライン・アーロン）とその夫
チャーリー（ボブ・ホスキンズ）に囲まれて暮らしていた。だが、ある日、リウ
マチ熱で心臓を傷め、医師から「15歳までしか生きられない」と告げられる。そ
んな中でも、昔歌手だった母の影響で音楽にのめりこんだ彼は、やがて、人気歌
手ボビー・ダーリン（ケヴィン・スペイシー）として、その才能を開花させてい
くのだった……。
＜レビュー＞
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ボビーの人生はショーだった！ 歌と踊り満載の楽しい伝記物語
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ボビー・ダーリンって誰？ それ。 （´ρ｀）
♪〜 あ、なんかこの曲、聞いたことがある！ (⌒▽⌒)
てな程度の知識しかないボクなのですが、なんでも全米No.1ヒット「マック・
ザ・ナイフ」などで知られる1950年代の伝説的歌手で、俳優としてもオスカーに
ノミネートされた「カリスマ的エンターテイナー」なのだそうです。
その生涯を映画化したのがオスカー俳優のケヴィン・スペイシー。それも、製
作・監督・脚本・主演までこなしちゃってるんだからスゴイもの。彼のボビー・
ダーリンに対する思い入れの強さが理解できますよねぇ〜。
しかも、この映画の見事なところは、その思い入れが空回りしていないこと。
見せる要素をきちんと取り込んで、彼のことをあまり知らないボクのような人間
も、楽しく観ることができる映画にしているんです。
稀代のエンターティナーを描いているだけに、ありきたりの伝記物とは違って、
歌あり、笑いあり、踊りありのエンターティメントで、彼の人生を描いています。
突然、脈絡もなく歌いだしたり、踊りだしたり、幼少時のボビーと大人になって
からのボビーが一緒に登場したりと、ユニークな構成で、テンポよく、明るく彼
の人生を描写。
これって、たぶん「彼の人生そのものが素晴らしいショーだった！」という視
点で描いているんだと思うなぁ〜
母の影響で音楽に親しみ、やがて人気歌手になり、映画にも出演、女優のサン
ドラ・ディーとのロマンスもあって……というのが途中までの大まかな流れ。
「15歳で死ぬ」といわれた病気の話や、母の死、姉との確執、妻との微妙な関
係など、陰の部分も描かれるけれど、深入りせずにサラッと、ときにはおもしろ
おかしく描いてしまう。とにかくエンターティメンに徹しきっているのだ。
ビックリするのがケヴィン・スペイシーの歌が吹き替えナシということ。ダン
スもこれまた素晴らしい。いったいこの人、いくつ引き出しがあるんでしょう。
はっきり言って、スゴすぎです。
ただし、あまりにも楽しいエンターティメント・ショーばかり続くものだから、
「そんなんでいいのか？」「素晴らしいショーには涙や感動も必要なんじゃない
の？」とやや疑問に思い始めた頃に、ガラッと雰囲気が変わるじゃありませんか。
そこからはシリアスな要素が前面に出てきます。
ボビーが自分の出生の秘密を知り、妻との関係もますます悪化、社会はベトナ
ム戦争の泥沼に突入してしまうという状況の中で、なかば隠遁生活のような暮ら
しをして、反戦歌を歌って人々に非難されていく。その姿を真正面から描いてい
くのです。
そして、そして、クライマックスは、ラスベガスのステージ。そこで意外な歌
を歌い、観客にある人物を紹介してステージを降りる。
ここは、まさに涙と感動の嵐。それまでが明るく、楽しいエンターティメント・
ショーだったから、なおさら感動してしまうのです。この転換が見事。
それでも、ラストはやっぱりエンターティメント・ショー！ 明るく楽しくエ
ンディングを迎えます。
ケヴィン・スペイシーに加え、彼の子供時代を演じたウィリアム・ウルリッチ、
妻役のケイト・ボスワースの演技も見もの。
リアルな伝記映画ではなく、ボビーの人生を素敵なファンタジーとして描いた
映画。わずか37歳で亡くなってしまった彼ですが、その人生がいかに充実した、
素晴らしいショーそのものだったかが、観終わって実感できました。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★） 【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（素晴らしいエンターテイナーの人生を堪能できる映画。ただし、『レイ』の
ようなリアルな伝記ものを期待すると裏切られます。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2005年２月27日（日）ワーナー・マイカル・シネマズ板橋にて。午後３時35分の回。