僕の彼女を紹介します(WINDSTRUCK)


(2004年 韓国)(上映時間2時間3分)
監督・脚本:クァク・ジェヨン
出演:チョン・ジヒョン、チャン・ヒョク、キム・テウ、キム・スロ、チャ・
テヒョン
*丸の内プラゼールほか東急・松竹系にて全国公開
ホームページ http://bokukano.warnerbros.jp/
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<ストーリー>
婦人警官ヨ・ギョンジン(チョン・ジヒョン)は、ある日引ったくり犯と間違
えて善良な高校教師コ・ミョンウ(チャン・ヒョク)を逮捕してしまう。ギョン
ジンはあらゆる方法で自白を迫り、誤解が解けた後も手柄を台無しにされたとふ
てくされる始末。それからしばらくして、交番を訪れたミョンウは偶然ギョンジ
ンと再会。つい逃げ出してしまうミョンウをギョンジンは手錠で捕まえ、夜間パ
トロールに連れ出す。どんなことにも首を突っ込みたがるギョンジンの性格が災
いして、2人は麻薬密売組織による銃撃戦に巻き込まれてしまう。命がけの一夜
を過ごした2人の間には、恋愛感情が芽生え始めるのだが……。

<レビュー>
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『猟奇的な彼女』以上にブッ飛んだポップな映画。最後はちゃんと感動に着地
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「僕の彼女を紹介します」
いえいえ、そんなことされても困ります。彼女のいない相手にそんなことした
らイヤミというもの。 (^0^)
だいたいこの映画、予告編を観た限りでは、コミカルに味付けられただけの切
な〜いラブストーリーなんでしょ?

ほら、ね、オープニングはいきなり主人公ギョンジンの投身自殺シーンだもの。
これはもう、悲しいラストに至るまでを描いた、切なくてたまらないラブストー
リーに決まってるじゃありませんか!

な〜んてお思いの皆さん、それは大きな間違い。実際は、ただ切ないだけの単
純なラブストーリーではないのです。なんせ監督&主演は『猟奇的な彼女』のク
ァク・ジェヨンとチョン・ジヒョンですもの。両者が再びタッグを組んだこの映
画は、前作以上に多彩な表情を見せてくれるユニークな作品なのです。

オープニングの美しい夜景とビルの屋上からの投身シーンに続く前半は、完全
にラブ・コメの展開。『猟奇的な彼女』の主人公をさらに過激にしたような、強
くてコワイ、しかもとんでもない慌て者の婦人警官ギョンジンが、高校教師のミ
ョンウを誤認逮捕。なんだかんだあって、ある日2人は手錠でつながれてしまう
……。

このあたりは、いかにもラブ・コメらしいネタですねぇ〜。でも、そのあとに
登場するのはマジな銃撃シーン。いきなりこんなブッ飛んだ展開になるのが、こ
の映画の大きな魅力。今回はアクションシーンもたくさん登場。ありきたりのラ
ブストーリーとは、ひと味もふた味も違うんですよねぇ〜。 (*^_^*)

その中で目立つのはセンスの良い演出。例えば、ギョンジンとミョンウが仲良
くなっていくところを、クドクドとセリフを垂れ流して描かずに、ポップなシー
ンを次々にテンポよく積み上げていく。おかげで、やや強引に見える2人の関係
の深まりが、ごく自然に受け入れられてしまうんです。
ピアノや紙飛行機といったアイテムの使い方も印象的だし、それがあとあとに
なって再び効果的に使われます。

その後、2人が仲良く旅行に出かけるところでは、ついにギョンジンの空想の
世界まで映像化してしまうブッ飛び方。しかも、これがまた後半の切ない展開で
見事に生きてくるのだ。

そして、この旅行中に、さらに起きる衝撃の出来事。フツーなら、ここからド
ドーンと悲劇へと突入させるはず。しかし、そんな簡単な展開には突入しません。
本当の悲劇はそのあとに訪れるのです。
それは、いかにもありがちでミエミエの悲劇。だけど、その前に一回スカして
いるから、ワザとらしさが緩和されてしまうんですよねぇ〜。

そして、いよいよオープニングの自殺シーンに突入!
あれ? まだ上映時間はタップリ残ってるのに、いったいこの先どうするの?
 と思ったら、アラアラアラ、こんなシビアな場面でそんなことまでしちゃいま
すか? うへぇ〜〜、参っちゃうよなぁ〜。ホントにブッ飛んでるよなぁ〜。
詳しくは伏せますが、自殺シーンで絶対に予想できない事が起きてしまうのだ。
最初から最後まで一筋縄ではいかないんだから。 (*^_^*)

その後に用意された意外な展開と、あまりにも美しいクライマックス。このク
ライマックスは前半からは信じられないような切ない場面で、かなりググッとき
ます。(T^T)

そうです。前半は笑いを中心に、中盤からはシリアスに、アクションなども入
れつつ、いろんな要素を詰め込んで観客の予想を覆しながら、最後はちゃーん
と観客の期待通りの「感動」へと見事に着地させているのです。
「風」を意識したグルグルまわるカメラも印象的ですねぇ〜。

うーむ、この監督さん、『猟奇的な彼女』の時にも感じたのだが、感性のまま
に撮っているようでもあり、緻密な計算で撮っているようでもあり。フットワー
クが軽くて、センスにあふれた脚本と演出です。よく考えたら、強引な展開や
唐突なシーンがありすぎなのに、それを感じさせない仕掛けが見事なんですよね
ぇ〜。

音楽の使い方もセンス良すぎ。オープニングの「Knockin'on Heaven’s Door」
から「Stay」、X JAPANの「Tears」など、観終わって絶対に忘れないよ
うなツボにハマった使い方。

チョン・ジヒョンの婦人警官はピッタリの役柄でした。『猟奇的な彼女』でも
そうだったけれど、男をコケにしてもどことなく憎めないんだよねぇ〜、このコ
ったら。その特徴をうまく生かしているよなぁ。前半と後半の変化が、ちっとも
不自然に見えないんだよね。クライマックスに至る切ない心情もヒシヒシと伝
わってきました。

『猟奇的な彼女』や『ラブストーリー』という過去のジェヨン作品を観てしま
っただけに、さすがに驚きこそ少ないものの、今回もちゃ〜んと見応えある映
画になっています。
ただ切ないだけではなく様々な要素が詰まっているので、いろんな意味で見応
えあるラブストーリーです。特にストレートに泣かせるラブストーリーよりも、
変化球のラブストーリーが好きな人にはオススメですね。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない?】
(『猟奇的な彼女』をパワーアップした感じの映画。感動だけを期待すると物
足りないかもしれませんが、その分、いろんな魅力が揃っています。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年12月13日(月)池袋シネマ・ロサにて。午後3時30分の回。


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