ーン・スプレマシー(THE BOURNE SPUREMACY)


(2004年 アメリカ)(上映時間1時間48分)
監督: ポール・グリーングラス
出演: マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、ジョアン・アレン、ブライア
ン・コック、ジュリア・スタイルズ、カール・アーバン
*日劇1ほかにて全国公開
ホームページ http://www.bourne-s.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
記憶喪失となった元CIAの秘密組織員ジェイソン・ボーン(マット・デイモ
ン)。過去を捨てて恋人マリー(フランカ・ポテンテ)とインドで暮らしていた
が、ナゾの刺客によってマリーが殺されてしまう。その頃、ある事件のファイル
を求めて情報屋と接触していたCIA捜査員が殺され、その犯人としてボーンが
浮上する……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

前作をはるかにしのぐ緊迫感とアクションで見ごたえタップリ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


マット・デイモンが、アクションに大挑戦した『ボーン・アイデンティティー』
の続編。パート2ものはパワーダウンしてしまう映画も多いのだが、この映画は
すべての点で前作よりパワーアップしています。 (⌒▽⌒)

記憶喪失で発見されたボーンが、CIAの秘密活動に従事していたことを思い
出し、自分を陥れようとする敵をやっつけて、マリーと恋に落ちる。というのが
前作のあらすじ。

今回、ボーンとマリーはインドのゴアで静かに暮らしているのだが、ナゾの殺
人者が2人を襲い、マリーが死んでしまう。
一方、CIAの秘密捜査が何者かの仕業で失敗に終わり、ボーンはその犯人と
して追われる身になる……。

こうして、濡れ衣によって犯人にされたボーンが、CIAに追われ、その追及
を逃れるうちに失われた記憶が少しずつよみがえり、かつて自分が何をしたのか、
その裏にどんな陰謀があったのかが明らかになるという仕掛け。

前作では、アクションとともに、ボーンの「オレはいったい誰なんだぁ〜〜〜!!」
という悩み、苦しみが大きなテーマになっていたものの、その割には食い足りな
くて、中途半端な感じがしました。
でも、今回は、記憶喪失の話はサスペンスのネタのレベルにとどめて、「オレ
は誰なんだぁ〜〜〜!!」という叫びも控えめ。それが好結果につながり、前作
のようなダルさがまったくありません。

インド、イタリア、ドイツ、ロシアと世界のあちこちを舞台に、追いつ追われ
つの緊迫のドラマが展開。カーアクション、水中アクション、格闘と、超スリリ
ングなアクション場面が次々に登場。特にカーアクションの迫力は最近の映画の
中でも出色。

監督のポール・グリーングラスは、ドキュメンタリー出身だそうですが、なる
ほどリアルで迫力満点の映像。なかでも手持ちカメラの使い方がバツグンにうま
い。アクションシーンはもちろん、インターネットで検索するだけのシーンまで
スリリングにしてしまうのですから、タダ者ではありません。 ( ̄〜 ̄)

もちろん、このテの映画にありがちな、都合良すぎなところもあるのですが、
それを感じさせない演出が見事。途中で本当のワルが誰かわかってしまうものの、
それ以降も緊迫感は少しも途切れません。

いちばん感心したのは、ラスト近くでボーンが自分の過去を告白するシーン。
手持ちカメラのゆらゆら揺れるアップの映像で、ボーンと告白相手の不安定な心
情を巧みに切り取るのです。

聞くところによると、最初は続編を嫌がっていたマット・デイモンがその気に
なったのは、この監督と仕事ができることも一因だったとか。なるほどねぇ〜、
と思わせる演出でした。

そのマット・デイモンは前作同様に、見事なアクションを披露するとともに、
持ち味の陰影ある表情もうまく出していました。同時に彼を追うCIAリーダー
役のジョアン・アレン(『ザ・コンテンダー』)の存在感がズバ抜けていました。
彼女なしにこの映画はなかったと思います。

脚本も良かったし、演出、役者、どれをとってもよくできたアクション・サス
ペンスで、見ごたえタップリ。前作は完全に超えましたね。

愛する人を殺された怒りを持ちながら、人を殺すことにためらい、殺してしま
ったことに後悔をおぼえる異色のヒーロー。やたらめったら敵をやっつけるヒー
ローよりも、こっちのほうが人間臭くていいなぁ〜。 (o^v^o)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★) 【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない?】
(ありきたりのエンタメ系アクション映画とはひと味もふた味も違う映画。観
るなら、一応前作もチェックしておいたほうがよいでしょう。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2005年2月19日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回。


[レビュートップページ][「ほ」のページ]