バタフライ・エフェクト(THE BUTTERFLY EFFECT)
| （2004年 アメリカ）（上映時間１時間54分） 監督・脚本：エリック・ブレス＆J・マッキー・グラバー 出演：アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート、ウィリアム・リー・ス コット、エルデン・ヘンソン、メローラ・ウォルターズ、エリック・ストルツ ＊ シネマミラノ、東劇ほかにて全国公開 ホームページ http://www.butterflyeffect.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ エヴァン（アシュトン・カッチャー）は、ごく普通の少年だったが、時々、記 憶を喪失する障害を持っていた。医師は彼に、治療のために毎日、日記をつけ ることをすすめる。エヴァンには幼なじみのケイリーとその兄トミー、気の弱 いレニーという友人がいたが、13歳の時に、ある事件が起きて、エヴァンは母 とともに街を離れる。やがて大学で心理学を学び始めた彼は、ある日書きため た日記を読むうちに、不思議な現象に出くわすのだった……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 記憶のトラブルから思わぬ展開に突入するアッと驚きの映画 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 出演者で知っているのはアシュトン・カッチャーぐらい（ていうか役者として よりも、デミ・ムーアの16歳年下の恋人として有名）。監督も誰やそれ？ っ て感じ。まあ、はっきり言ってＢ級の低予算映画でござんしょう？ (・_・？) なのに、ミニシアターランキングの上位にいるのはなぜだ？ なぜだ？ なぜ なんだぁ〜〜〜〜！！！！ て、別にそこまで力まなくても良いのだが、とりあえず興味本位で観にいきま した。 そしたら、アナタ、これがまぁ、なかなかにおもしろいじゃありませんこと。 まさに、「怪作」という表現がピッタリの映画。 映画の冒頭で「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」と いうカオス理論なるものが登場します。 その言葉どおりに、小さな渦がどんどん大きくなって、とんでもない迷宮に入 っていく不思議な映画なのです。 最初は現在進行形の話。主人公の青年エヴァンが、何やら切羽詰まった様子。 と思ったら、いきなり舞台は彼の子供時代に。時々、記憶を失うエヴァン。教 室で不気味な絵を描いたり、病院に収容されている父を見舞ったりと、肝心の 時に記憶がブッ飛ぶ。そこで、治療にあたった医師は、毎日の出来事を日記に つけるようにすすめる。 そんな中、友人のトミーとケイリー兄妹の父親が、地下室にエヴァンたちを誘 いこむ。しかし、そこでもエヴァンの記憶は失われる……。 続いて舞台はそれから数年後に。 13歳になったエヴァンたちは、ちょっとしたイタズラから大事件を引き起こす。 そこでも彼は肝心のところで記憶を失い、母とともに街を離れる。ケイリーに 「必ず迎えに来る」と言い残して……。 それから、さらに数年後。大学生になったエヴァンは子供の頃の日記を取り出 し、読み始める。そこから事態は思わぬ方向へ進み始める……。 子供の頃のエヴァンたちの描写は、『スタンド・バイ・ミー』的なアヤシイ雰 囲気があって魅力的。しかも、時々記憶をなくすエヴァンをはじめ、ワケあり の人物がたくさん登場するので、ますますミステリアスな雰囲気が漂う。 そんな子供時代の失われた記憶の秘密を、エヴァンが日記を頼りに探り出し、 ついに衝撃の事実に出会うのだぁ〜！ ゲゲゲー！！！ という話だと思った のですヨ。 なんせそこには精神的トラブルだの、殺人だの、事故だの、児童ポルノだの、 ヤバいネタがいっぱい転がっていそうなんだもん。 ところが、なんとまぁ、話はそれで終わらないのです。 途中からは、突然、エヴァン自身がそれまでと違う人生を生きるという展開。 え？ これっていきなり別の映画になっちゃったのか？ 同じ登場人物による 別のドラマ？ と思うぐらいのワケのわからん展開。 (゜ヘ゜)？ いったい何が起きたかというと、実は、エヴァンがある特殊な能力を持ってし まったのです。あんまり言うとネタバレになるけど、どうしようかしら。 ↓以下ネタバレなのでご注意！ ＜要するに、エヴァンがタイムスリップして、運命を修正してしまうのだ。＞ ↑ネタバレ以上 て、一行だけかい！ ま、とにかく「そんなのありえねぇ〜」と思いつつも、見せ方がうまいのでつ いつい引き込まれます。おまけに、ああいう能力って、誰もが持ちたいと思う 普遍的なものだからなおさら興味を引かれてしまうのです。 この意表を突いた展開によって、この映画はある意味全部真実で、同時に全部 ウソというとんでもない映画になっているのです。もはや、虚実入り乱れると かいう次元ではありません。 こうして、ワケのわからない緊張感の中に放り込まれ、主人公の特殊能力に操 られて、最後までグイグイと引っ張られてしまう。おまけに、最後の最後で、 それまでの話が実はシンプルなラブ・ストーリーだったことがわかるという粋 な結末。 いや、ホント、見事な怪作。ただのサスペンスとも、ＳＦとも、心理ドラマと も違う、不思議な映画なのでした。 けっこう雑だったり、都合よすぎのところもたくさんあるんですけどね。でも、 アイデアと見せ方のセンスがいいから、それほど気になりません。 ある意味、とても不可思議で、そしてとてつもなくコワイ映画。とりたてて深 い内容ではありませんが、けっこう楽しめるはず。 もしもエヴァンのような能力を持ったら……と考えただけで、背筋がゾッとし てしまいます。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （不可思議で恐ろしいサスペンス。ユニークな映画をお探しの方にはオススメ です。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年５月26日（木）ワーナー・マイカルシネマズ板橋にて。午後２時25分の 回。 |