カンパニー・マン(CYPHER)


(2001年 アメリカ)(上映時間1時間35分)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:ジェレミー・ノーザム、ルーシー・リュー、ナイジェル・ベネット
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<ストーリー>
平凡な生活に見切りをつけたモーガン・サリバン(ジェレミー・ノーザム)は
、多国籍企業デジコープの産業スパイになる。ジャック・サースビーという名
前と、ある任務を与えられてアメリカ各地を飛び回るが、しばしば激しい頭痛
と不思議な夢に襲われる。やがて、彼はナゾの美女リタ(ルーシー・リュー)
と出会い、雇い主の恐ろしい陰謀を知らされる……。

<レビュー>
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先の読めないドンデン返しと無機質な映像にKOされちゃいましたぁ〜
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産業スパイのお話。キーワードは「洗脳」。
な〜んて言うと、現代社会を活写したリアルな話のようにも思えますが、そう
ではありません。舞台は極度にハイテク化された近未来社会。そこで展開され
るのはかなり現実離れしたSFサスペンス。
でも、そうだと割り切って観ると、これがけっこうおもしろいんですヨ。

主人公は会社員のモーガン。平凡な生活にうんざりした彼はある会社の産業ス
パイになって、全米各地の会議のようすをスパイする。初めはワクワクのスパ
イ生活に満足していたモーガンだが、だんだんワケのわからない渦に巻き込ま
れていく。ナゾの美女リタと出会ったことから、自分が陰謀に巻き込まれてい
ると知るのだ。
しかし、それとて本当かどうかわからない。いったい何が真実で何がウソなの
か。誰が味方で誰が敵なのか。ちっともわからない展開。物語は二転三転のド
ンデン返しを見せながら、「ええ〜!!!」というビックリの結末に突入だぁ
〜〜! (^o^)/

いやぁ〜、このドンデン返しの連続は見事です。複雑で先の読めない展開。主
人公モーガンの洗脳&混乱ぶりを通して、観客も同様の疑似体験ができます。
特にラストの大ドンデン返しには意表を突かれましたゾ。「へぇ〜、そうだっ
たのかぁ〜」とただ驚くばかり。そうくるとは、ちっとも読めませんでしたな
。これって、ボクが素直すぎるせい? (・_・?)

企業間の熾烈な競争を背景としたスパイ話から、最後はなんと「愛」の物語へ
と持っていくセンスにも、「うーん」と唸らされてしまいました。
ホント、細かいところまでよくできた脚本です。

その脚本を生かす映像もいいんですヨ。冒頭はセピア色がかった映像が印象的
。予想外のアングルからの映像や極端なアップ、そして主人公の夢で使われる
カッ飛んだ映像、スリリングで煽り立てるようなシーンなど、とにかくユニー
ク! 全体的に無機質かつ不気味な感じで、この映画の雰囲気に見事にマッチ
しています。

ユニークといえば、ハイテク社会が舞台だけにセットや小道具もかなりユニー
ク。宇宙船のようなデータ金庫をはじめ、会社の中の風景、気色悪い洗脳マシ
ーン、セキュリティロボットなどなど、どれも夢に出そうなほどに刺激的だわ
〜ん。 (^_-)-☆

監督のヴィンチェンゾ・ナタリは長編デビュー作の前作『CUBE』で注目さ
れたとか。スマン、それ観てないわ。今度ビデオで観ようっと。
でも、観客を驚かせることにかけては、かなりの才能の持ち主だし、映像のセ
ンスもバツグンです。

スケールはそれほど大きくないけれど、ラスト近くにアクションシーンが用意
されているのもニクイばかりの心配り。
全体としては、インディーズっぽい自由な雰囲気が漂っているんですが、それ
でもちゃ〜んと観客の目を意識して、ていねいにつくられているんですよねぇ
〜。

欠点といえば、主人公モーガンの迷いや悩み、美女リタへの思いなどがクッキ
リとは描かれないこと。ハイテク社会の恐ろしさなども、そんなに強烈には伝
わってこない。
ていうか、最初からそういう細かな心理描写はバッサリ切っちゃってます。こ
れはきっと、グダグダとそういうものを描かなくても、ドンデン返しのおもし
ろさや映像で観客を楽しませる自信があったからでしょう。
確かにこの映画には、こういう描き方のほうが合っていると思います。中途半
端な心理描写などないほうが潔い!

配役もユニークです。主役のジェレミー・ノーザムはジェームズ・アイボリー
監督の『金色の嘘』やロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』
などのクラシカルな雰囲気の役が多い人。だけど、今回はまったくタイプの違
う役。
そして、美女リタ役はルーシー・リュー。『アリー・my・ラブ』のコワイ役
や『チャリーズ・エンジェル』のツヨイ役もいいけど、こういうナゾめいた役
もなかなかハマってますねぇ〜。

ユニークな映像とドンデン返しの連続で、思わず見入ってしまったこの映画。
同じSFサスペンスでも『マイノリティー・リポート』に比べれば、大人と子
供ほどスケールが違いますが、単純に「おもしろい」だけならこっちに軍配を
上げちゃいます。前売1300円は安いゾ!
しかし、まあこんなに話題性の低い作品を短期間とはいえ全国ロードショーに
する配給会社はエライというか、勇気があるというか、無謀というか……。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない?】
(とにかくビックリしたい方にはオススメ。複雑な話に混乱しないようにしま
しょう。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年1月22日(水)池袋HUMAXシネマズ4にて。午前11時20分の回。


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