セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ (CECILE B.DEMENTED)


(2000年 アメリカ・フランス)(上映時間1時間28分)
監督・脚本:ジョン・ウォーターズ
出演:スティーヴン・ドーフ、メラニー・グリフィス、アリシア・ウィット、
   ラリー・ギリアード・ジュニア、マイク・シャノン、マギー・ガイレンハール

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<ストーリー>
ボルティモアのチャリティー試写会の会場から、ハリウッド女優のハニー(メ
ラニー・グリフィス)が誘拐される。犯人は自主映画監督セシル・B(スティ
ーヴン・ドーフ)とスタッフたちだった。ハリウッドの商業主義を拒否する彼
らは、ハリーをヒロインにした映画「狂える美女」の撮影を開始する。最初は
嫌がったハニーだが、次第に興味を持つようになって……。

<レビュー>
史上最大の悪趣味映画(!?)『ピンク・フラミンゴ』などで知られるカルト映
画の巨匠ジョン・ウォーターズ監督の新作でおます。
エ、ヘ、ヘ、ヘ、そうなんスよぉ〜。今回もまた、一筋縄ではいかないクセモ
ノ映画なんスよぉ〜。 _(^^;)ゞ

自分の理想のためには手段を選ばない狂信的な映画監督セシル・B・ディメン
テッド。彼と仲間たちが、ハリウッド女優ハニーを誘拐する。彼女をヒロイン
にした究極のリアリティーを追求した映画『狂える美女』を撮影しようという
のだ。
無理やり髪をブロンドにさせられたり、趣味の悪い服を着せられたハリーはご
立腹。
だが、ゲリラ撮影が進むうちに、だんだんその気になってきて……。

いやぁ〜、全編にブラックな笑いがテンコ盛りですなぁ〜。
ハリウッドの商業主義をバッサバッサと斬りまくっておりますヨ。
バサッ! シュバッ! ズザ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!  \(´。`;)ノ

でもねぇ、ハリウッド批判はあくまでも物語の背景で、そんなに深くえぐって
ないんだな。
『フォレスト・ガンプ』や『パッチ・アダムス』なんかをパロッたりしてるけ
ど、ハリウッドのダメさをきちんと描いたりはしていない。ほとんどは、犯人
グループのセリフで悪口を言わせてるだけ。

これが、例えばティム・ロビンスあたりだと、真正面からきちんと批判するん
だろうけどネ。ウォーターズ監督にはそういう気は、ぜ〜んぜんないみたい。
とにかく、何でもいいから、み〜んな笑い飛ばしちゃえ〜!!
そんな感じなんですヨ。

だってさぁ、犯人グループがとんでもないヤツラばっかりなんだもん。ポルノ
女優だの、ヤク中だの、悪魔教信者だの、「何じゃコイツら!?」ってのがズラ
ズラ〜っと勢揃い。
おまけにみんな、尊敬する映画監督の名前の刺青を彫ってんの。デビッド・リ
ンチ、スバイク・リー、サム・ペキンパー、オットー・プレミンジャー……。
困った人たちデス。まったく。 (^0^)

それを束ねるのがリーダーで監督のセシル・B・ディメンテッド(昔の巨匠セ
シル・B・デミルをパロッてるらしい。ディメンテッドは狂ってるって意味な
んだって)。
こいつも完全にイッちゃってるんだわ。「女優魂を見せろ!」とか言って、ハ
ニーにビルからダイブさせたり、髪の毛を燃やさせたり……。いくら「究極の
リアリズム」を追求するったって、そこまでやるかぁ!?
あげくのはてが、「裏切り者は許さん!」とか言っちゃって、仲間に自分の名
前の焼き印まで押させるんだから。やれやれ。  ┐(´-`)┌

まさに、シネマ・テロリスト集団。おまけに、かなりおマヌケ。
そんな彼らに誘拐された人質が、いつのまにか仲間になっちゃう。
要するに、困った"キ○ガイ"たちのワケのわからん行動を徹底的に笑っちゃう。
そーいうおバカ映画なわけです。

ただ、いくらおバカ映画でも、もう少し登場人物の心理をきちんと描いて欲し
いところもあったゾ。最初は嫌がっていたハニーが積極的になるあたりの心理
なんかは特に。
落ち目の女優が事件で意外な注目を浴びて、カムバック気分で生き生きと演じ
るようになるところを、もう少しクッキリ描いて欲しかったな。 (~ヘ~;)

ラストももうひとひねり、大ドンデン返しがあると、もっと面白かったのにぃ
〜!!
ハリウッドの商業主義を批判してたテロリストも、実はそこにドップリつかっ
てたとかね。

それにしても、メラニー・グリフィスはどうしたんだ!? (・_・?)
「もう落ち目で主役はできない」みたいなことを言われながら、喜んで演技し
てんだもん。カンペキに壊れてる。
夫のバンデラス君は、どう思ってんでしょ? いったい。 (^。^/)

セシル・B役のスティーヴン・ドーフは、こういう役をやるには二枚目過ぎる
ぅ〜。この人、『タイタニック』でレオ様がやった役を断ったってウワサなん
スけどね。そういう栄光に背を向けて、マイナーな映画ばっかり出てる不思議
な人です。

こういう映画って、監督や出演者は楽しいと思う。やりたい放題やってるんだ
からサ。
でも、全然ついていけない人もいるんじゃない?
僕的には、ハチャメチャさにけっこう笑えたけど、誰にでもおすすめできる映
画じゃありませんネ。ハイ。

ただ、ウォーターズ監督がハリウッドを批判する気持ちはよくわかる。
最近のハリウッドって絶対におかしいもん。原作ものやリメイク、続編なんか
ばっかりでしょ。しかもやたらにお金かけてるし。
この映画に、内心で拍手を送る良心的なハリウッドの映画人も多いと思うゾ。

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)
(いくら悪趣味でも、今回はイヌのウンチを食べたりしませんから、まあウォ
ーターズ監督の作品の中では安心して観られるかも。え? それじゃ物足りな
いって? おいおい。)
                               <ぽち>


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