チルソクの夏
（2003年 日本）（上映時間１時間54分）
監督・脚本：佐々部清
出演：水谷妃里、上野樹里、桂亜沙美、三村恭代、淳評、高樹澪、山本譲ニ、
夏木マリ、谷川真理、イルカ、金沢碧
＊シネマミラノほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.chirusoku.jp/
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＜ストーリー＞
1977年。下関の高校の陸上部員だった郁子（水谷妃里）は、釜山で行われる関
釜陸上競技大会に出場するため、チームメイトたちと韓国にやってくる。大会
が行われた７月７日、彼女は安大豪という韓国人の少年と出会う。お互いに淡
い恋心を抱いた２人は、来年の夏に再会する約束をして別れるのだが……。
＜レビュー＞
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甘酸っぱい初恋をまっすぐに描いた青春映画。胸にググッと迫ります
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好きだなぁ〜。こののんびりしたテンポ。けっして感情過多にならず、奇をて
らうこともなく、青春をまっすぐに描いていく。その姿勢がとてもいいんです。 (＾。^/)
時代設定は1977年。主人公は山口県下関市の高校の陸上部員、遠藤郁子という
少女。彼女は、韓国の釜山で開かれる関釜陸上競技大会に出場するため、３人
の親友とともに韓国を訪れる。
大会が行われた７月７日、彼女は安大豪という韓国の男子選手と出会う。その
夜、戒厳令によって夜間の外出は禁止されていたにもかかわらず、安は郁子が
滞在している宿舎まで会いにやってくる。お互いに淡い恋心を抱いた２人は、
来年の夏に再会する約束をして別れる。その後２人は文通をするが、お互いの
親が交際に反対する……。
「チルソク」とは韓国語で七夕のこと。七夕に出会った日本人の少女と韓国人
の少年が、１年後の七夕の再会を約束してからの１年間のお話。２人の国境を
越えた初恋を描いています。
双方の両親が交際に反対するというのは、ロミオとジュリエットのようなスタ
イルではあるものの、けっして大げさな描き方をしないで、等身大の青春を映
し取っている。おかげでとっても爽やかで、素直に感動できる映画になってい
ます。 (*^_^*)
青春映画は、登場する若者たちをいかに生き生きと描くかが大きなポイント。
それが、同世代の若者の共感を呼ぶと同時に、かつて青春だった人たちのノス
タルジックな思い出を呼び覚ましてくれるのです。
この映画でも、主人公の郁子を中心に、４人の女子高生たちが生き生きと描か
れています。陸上に打ち込んだり、恋をしたり、親とケンカしたり、笑ったり、
泣いたり、苦しんだりする姿をありのままに、実にみずみずしく描いていま
す。演じる４人の少女たちも、これまた純朴な感じでいいんですよねぇ〜。
まぁ、いまどきの女子高生から見れば、あまりにも純情すぎるのは確か。でも
ねぇ〜、当時の音楽（ツイストやピンク・レディーなど）も使いながら、1977
年という時代をうまく表現しているので、当時を知らない人の目にも、けっし
てウソくさくは映らないと思いますヨ。
郁子と安の恋の障害になる韓国の人たちの反日感情や、日本人の朝鮮人差別な
ども盛り込みつつ、文通だけの２人の恋の行方をのんびりと、そして温かな視
点で見つめていきます。
演出は『半落ち』の佐々部清監督。人間に対する温かな眼差しが、この映画に
もよく表われています。
そして、いよいよ１年後のチルソクの日。このクライマックスは切なかったで
すねぇ〜。胸に迫りましたねぇ〜。
状況は違えど誰にでもこういう甘酸っぱい恋の思い出があるわけで、それにダ
イレクトに訴えかけてくるんですよ。だから、よけいに切なくなる。
話の展開自体はありがちなんですけどね。プロローグとエピローグで現在の主
人公たちを描いて、全体をサンドイッチするのもよくある手法。だけど、わか
っていても感動してしまう。特にラストの「なごり雪」ではもう胸がググーッ
ときました。 (T^T)
その「なごり雪」を歌ったイルカが学校の先生役でチラッと出たり、主人公の
父親役で演歌歌手の山本譲二が出たり、成長したかつての女子高生役でマラソ
ンランナーの谷川真理が出たりといったユニークな配役も楽しいところ。
主人公たちと同世代の人はもちろん、それよりも年上、年下の人たちの胸にも
しっかりと響く青春映画ではないでしょうか。
純な若者の初恋を、変わったことや、大げさなことをしないで素直に描いたこ
とが、この映画をとても魅力的なものにしています。
観終わって、つい自分の初恋を思い出してしまいそうなこの映画。あなたの初
恋はどうでしたか？
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（温かでノンビリとした映画。みずみずしい初恋が、胸にジンワリしみてきま
す。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年４月23日（金）シネマミラノにて。午後２時40分の回。