クローサー (CLOSER)
| （2004年 アメリカ）（上映時間１時間43分） 監督・製作：マイク・ニコルズ 出演：ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、クライ ブ・オーウェン ＊丸の内プラゼールほかにて全国公開 ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/closer/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ ある日のロンドン。出勤途中の新聞記者ダン（ジュード・ロウ）は、交差点で ニューヨークから来たストリッパーのアリス（ナタリー・ポートマン）が交通 事故にあう現場に出くわす。それをきっかけに２人は恋に落ちる。一方、小説 を出版するダンの肖像写真を撮影したアンナ（ジュリア・ロバーツ）は、ダン のいたずらがきっかけで、皮膚科医のラリー（クライブ・オーウェン）と知り 合い、恋に落ちる。だが、やがて４人の関係は錯綜していき………。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 舞台劇のような会話で恋愛の本質を突いた大人のための映画 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 大人な映画だなぁ〜。 （￣−￣） まあ一応ラブ・ストーリーには違いないのだが、感動したり、切なさに涙する ような映画ではありません。 フツーのラブ・ストーリーを想像して観にいくと、痛い目にあっちゃいます。 小説家志望の新聞記者、フォトグラファー、ストリッパー、医者という４人の 男女が知り合い、ああだこうだで愛とセックスのスッタモンダをくり広げる話。 「あれも欲しいこれも欲しい」で、混乱を巻き起こすダン。自信家のラリー。 ２人の間で揺れ動くアンナ。そしてさびしがり屋のアリス。 ４人とも人物の造形が見事で、それぞれの内面がキッチリ描かれています。 ただし、身勝手といえば身勝手な話で、特にジュード・ロウ演じるダンのデタ ラメさにあきれてしまう人も多いことでしょう。 そのほかの人物たちも、考えようによってはみ〜んな身勝手。 とても、感情移入できるような話ではありません。 ( ´△｀) だけど、スクリーンから距離を置いて一歩引いて観ると、これがけっこう楽し いのですヨ。 何が楽しいかというと、４人の会話。原作が世界的にヒットした舞台劇という ことで、会話が異常に多いんだけど、それがユーモアとウィットに満ちていて、 スリリングで、とってもセンスがいいんです。 普通、これだけ会話ばかりの芝居を見せられると飽きるものですが、よくでき た舞台劇を観ているようで、ちっとも飽きませんでした。 時間も飛び飛びで進むので、ボーッとしていると混乱しそうですが、そのへん も会話の中でうまく処理していて、とまどうことはありませんでした。 しかも、その会話の中に、愛とセックス、情熱、憎しみ、嫉妬、ウソ、真実、 駆け引きなど、いろんな恋愛の要素が詰まっていて、「うーむ」とうならされ てしまうんですよねぇ〜。 (´へ｀; 特に男女の心理のビミョーなすれ違いが、巧みに描かれています。 そのキーワードは「ストレンジャー」。男も女もみんな相手にとっちゃストレ ンジャーってことですね。 まあ、とにかく見事な脚本です。 ４人とも、どうしようもない人ばっかりですけどネ。それでも、これって恋愛 の一つの本質を突いている気がするなぁ〜。あそこまで極端でなくても、彼ら の気持って何となくわかる気が……。 ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、クライブ・ オーウェンという４人を揃えたキャストも生きています。 特にナタリー・ポートマンの真っ直ぐさと、クライブ・オーウェンの品のなさ が出色。彼とジュリア・ロバーツが知り合うきっかけは、爆笑モノです。 監督は『卒業』などでおなじみの超ベテランのマイク・ニコルズ。驚くような 演出ではないけれど、原作の舞台劇の魅力を十分に生かしたところはさすがで した。 恋愛のどうしようもない部分を描いているので、それなりに恋愛経験のある大 人のほうが楽しめる映画だと思います。「白馬の王子様がきっと……」な〜ん て信じている人は、覚悟してから観ましょうね。 これから本格的恋愛に突入するカップルなんかも、覚悟が必要です。観ている うちに、「恋愛ってこんなものなの？！」なんて暗い気持ちになったりして… …。 かといって、倦怠期のカップルとかが行ったら、なおさらお先真っ暗な気分か もね。 なになに？ 「そんなこと言ったらカップルで行けないじゃないかぁ〜〜！」 ですって？ ま、恋愛経験のほとんどないボクが言っても、な〜んの説得力もありませんか ら（笑）。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （一風変わった恋愛映画。会話の中で恋愛の本質を突いて、ユニークな味わい を出しています。あまりのドタバタぶりについていけない人もいそうなので、 感情移入せずに距離を置いて観たほうがいいかも。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年５月21日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後２時45分の 回。 |