CODE46(CODE46)


(2003年 イギリス)(上映時間1時間33分)
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:ティム・ロビンス、サマンサ・モートン、オム・プリ、ジャンヌ・バリバール
*銀座テアトルシネマほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.code46.net/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
近未来。ウィリアム(ティム・ロビンス)という調査員が上海に入る。パペル
(滞在許可書)の偽造事件を追う彼は、美しく謎めいた女マリア(サマンサ・モ
ートン)が犯人だと突き止める。だが、2人は強く惹かれあい、たちまち恋にお
ちてしまう。その恋がCODE46という法律に抵触することを知らずに……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
近未来で展開されるダブルの禁断の愛。切なさが足りないのが残念
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ウェルカム・トゥ・サラエボ』『ひかりのまち』『めぐり逢う大地』『イン・
ディス・ワールド』『24アワー・パーティ・ピープル』など、いろんな映画をつ
くってきたマイケル・ウィンターボトム監督。今回は、近未来社会を舞台にした
初のSFです。

発想がユニークですねぇ〜。捜査官が犯人を愛してしまうというのは、よくあ
る禁断の愛。ですが、それを近未来で展開することで、さらにもう1つの禁断の
愛の要素を注入しているのです。

それはなにかといえば、遺伝子の規制。近未来では、クローン技術が進んだ結
果、同じ核遺伝子を持つ者同士が交わることを規制する必要が出てきたワケ。そ
こで、タイトルにある「CODE46」という法律を制定。これを背景に、同じ遺伝子
を持つ捜査官と犯人とのダブル禁断の愛がくり広げられます。 W(゜O゜)W

上海という舞台も効果的。人工的で無機質な中に、昔ながらのオリエンタルム
ードが漂い、独特の雰囲気をつくり出しています。それを切り取った映像が実に
美しい。この監督の映画はみんな映像がいいのですが、今回も飛びっきり魅力的
な映像。近未来の街を走る車のシーンが特に美しいぃ〜〜〜。 (*^。^*)

それに、音楽の使い方が巧みなのもこの監督の持ち味。今回も、いかにも近未
来的で、なおかつ切ない音楽を使い、雰囲気を盛り上げています。

近未来社会におけるさまざまな仕掛けもおもしろい。まず、パペルという滞在
許可証の存在。これがないと自由な移動ができず、街の中で生活できず、「外」
と呼ばれる荒れた世界に追放されてしまう。
また、この世界では太陽が有害らしく、人々は太陽を避けて生活している。
てなことについて、別にクドクド説明したりしないんです。ドラマの中で自然
に出てくるだけ。この描き方もこの映画に合っていると思いました。

ラブ・ストーリーと同時にさりげなく管理社会批判を展開しているのも、ウィ
ンターボトム監督らしいところ。恋愛さえ管理され、記憶まで消されてしまう徹
底した管理社会。けっしてただの空想とは思えません。意外に早くそんな世の中
が来たりして。おおコワ〜〜〜! (∋_∈)

ただし、肝心のラブストーリーには、やや不満を感じたなぁ〜。設定だけで切
ない愛ではあるのですが、それでも切なさに胸が張り裂けるところまでは行かず。
何しろ2人の出会いが冴えないんだよね。

なぜにウィリアム捜査官はマリアに惹かれたのか? そこがあんまり見えない
のが残念。
マリアを演じるサマンサ・モートンって実力ある女優さんなんだけど、ボクは
個人的にあんまり魅力を感じないので、なおさらそのへんがあいまいに思えちゃ
う。

マリアの孤独はそれなりに描かれているので、ティム・ロビンス演じるウィリ
アムスの孤独をもっとクッキリ描いて、2人が惹かれる必然性を示して欲しかっ
たのです。そして、夢に出そうなほどビビビーンと鮮烈な出会いにしたならば、
その後の展開がもっと切なくなったと思うのだが。

それでも、さすがにラストは悲しかったです。記憶を失うって、悲しくてツラ
イものですね。ボクもこの間の飲み屋からの帰り道の記憶が……。て、それはた
だの酔っ払いじゃ! (`´メ)

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
(禁断のラブ・ストーリーに、管理社会批判を込めたユニークな近未来SF。
ただし、愛の切なさがイマイチ足りなかったのが残念でした。)
                         <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年9月15日(水)銀座テアトルシネマにて。午後12時25分の回。


[レビュートップページ][「こ」のページ][「アルファベット」のページ]