コールド マウンテン(COLD MOUNTAIN)
（2003年 イギリス・イタリア・ルーマニア）（上映時間２時間35分）
監督・脚本：アンソニー・ミンゲラ
出演：ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー、ドナ
ルド・サザーランド、フィリップ・シーモア・ホフマン
＊日劇３ほか東宝系にて全国公開
ホームページ http://www.coldmountain.jp/
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＜ストーリー＞
1864年の南北戦争の末期。南軍兵士として戦い、重傷を負ったインマン（ジュ
ード・ロウ）は、軍を脱走して恋人エイダ（ニコール・キッドマン）の待つ故
郷コールドマウンテンを目指す。一方、エイダは父を亡くし、貧しい暮らしに
耐えながら、インマンの帰りを待ち続けていた……。
＜レビュー＞
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さすがに文芸ロマンの名手。２時間35分少しも飽きさせません！
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古臭いラブ・ストーリーやなぁ〜〜。 (´ヘ｀;)
とは思ったものの、結局、最後まで飽きずに観てしまったこの映画。
なにしろ『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督の新
作ですからねぇ。この手の文芸ロマンは大得意なだけに、２時間35分という長
さをまったく感じさせない演出はさすが。 (*^_^*)
時代は南北戦争末期。従軍したインマンという青年が過酷な戦いに身を投じな
がら、故郷コールドマウンテンに残してきた恋人エイダのことを思い出す。出
会い、そして戦争による別れ……。
てな前半は実にオーソドックスな展開。エイダからの手紙を使って、２人の切
ない思いをあぶり出していきます。
中盤になると、重傷を負い、エイダに会いたい一心でついに軍を脱走したイン
マンの故郷への旅が始まる。そして、同時に、父を亡くし、貧しい生活に苦し
みながらもひたすらインマンを待つエイダの姿が並行して描かれる……。
ここからも基本的にはオーソドックスな展開なんですよね。で、旅の途中でイ
ンマンに起きる出来事はみ〜んな都合良すぎ。
それでも飽きないのは、エピソードの積み重ね方が上手いから。脇役の使い方
がバツグンに巧みなんですヨ。インマンとともに旅をする困った牧師さんだと
か、インマンを助ける山に住む奇怪な老婆だとか、夫を亡くして赤ん坊を抱え
て困っている母親（ナタリー・ポートマン！）だとか、次々にいろんな人が出
てきて、インマンと絡んでいくんです。
一方、故郷で待つエイダの前にもユニークな人物が登場。貧困にあえぐ彼女を
叱咤激励して、パートナーとして農場を再建するルビーは、ワイルドで、ぶっ
きらぼうだが、エイダとは対照的に生活力にあふれた女性。
そんな彼女の存在が、シンプルなラブ・ストーリーにアクセントを与えていま
す。これ、とってもオイシイ役ですよね。演じるレニー・ゼルウィガーがアカ
デミー助演女優賞を獲得したのも納得。ある意味、この映画で一番目立つ役。
そのほかにも、ルビーの父親だの、近所の親切な夫婦だのが登場して、ドラマ
にスパイスを加えています。こういう人たちのエピソードを積み重ねていくこ
とで、単調な話がとてもおもしろくなる。この手法は見事でしたねぇ〜。
興味深かったのは、全体に戦争に対する嫌悪感が漂っていること。南北戦争の
戦場をかなり激烈に描き、脱走兵狩りの悲惨さだの、残された女たちの悲哀だ
のも描いて、戦争のむごたらしさをアピールしています。
でも、まあこの程度のことじゃ、アメリカの観客の心を動かすには至らないの
かも。南北戦争も、イラク戦争も、同じ戦争なんですけどねぇ〜。 (~ヘ~)
人間心理もそれなりに描かれています。ラブ・ストーリーなので、インマンと
エイダのそれぞれの切ない思いが、かなり強烈に焼き付けられています。
ただし、ボク的には、２人の愛にイマイチ乗り切れず。こういう時代がかった
古典的ロマンスが苦手なのもあるけれど、それ以上に２人の出会いがあんまり
パッとしないんだよね。
出会って瞬間的に恋に落ちてもいいんだけれど、それならそれでビビッとなる
瞬間を、もうちょっと鮮やかに描いて欲しかったな。そうすると、２人の再会
を願う切ない気持がもっともっと強烈に伝わってきたはず。なんだか、そこが
薄味すぎて、胸がググッとなるところまではいかず……。
それでも、この手の古典的ロマンスが好きな方はかなり満足できるはず。
南北戦争を舞台にしているし、か弱いヒロインがたくましく成長する姿も描か
れるので、「21世紀の『風と共に去りぬ』」というＰＲコピーがピッタリ。
ま、切ないラブ・ストーリーに涙ウルウルとならなかったボクのような人も、
最後まで飽きずに観られるとは思います。そこがミンゲラ監督の手腕。
しかし、こういう古典的ロマンスもいいけれど、ニコール・キッドマンとジュ
ード・ロウというユニークなコンビなら、もっとヒネッたラブ・ストーリーも
観てみたいと思うのはボクだけだろうか！？
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（たいていの人は飽きずに見られると思います。感動できるかどうかは、好み
の差が出そうですが……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年５月１日（土）池袋シネマサンシャインにて。午後４時の回。