コンフェッション(CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND)
（2002年 アメリカ）（上映時間１時間53分）
監督・製作・出演：ジョージ・クルーニー
出演：サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア、ジュリア・ロバーツ、ルト
ガー・ハウアー、マギー・ギレンホール
＊丸の内ピカデリー2ほかにて全国公開
ホームページ http://www.confession.jp/
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＜ストーリー＞
1970年代、ＴＶの人気バラエティー番組を手がけるプロデューサー、チャック
・バリス（サム・ロックウェル）にはＣＩＡ工作員という誰にも知られていな
いもう１つの顔があった。二重生活の中で、次第に制御不能の状態となってい
くチャック。やがて、工作員の中に内通者がいることが発覚し、彼は自分の命
が危険にさらされていることを知るが……。
＜レビュー＞
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初監督にしては鮮やかなジョージ・クルーニーの手腕
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テレビのバラエティー番組で視聴率を荒稼ぎするテレビプロデューサー兼司会
者のチャック・バリスによる意外な告白。「実はオレはＣＩＡの工作員だった
ッ！」 Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
本人の自伝に基づいて描かれた話ですが、なんだかウサンくさいと思いません
か？ 本人がマジメ人間だったらともかく、バカ番組を連発して何かとテレビ
界を騒がせてきた人だけに、なおさら怪しい感じ。ホントの話なんでしょうか
？
そうです。この映画で初監督を務めた俳優ジョージ・クルーニーも、まさにそ
の視点からこの映画を描いています。つまり、真実なのか、本人の妄想なのか、
どちらとも取れるような演出を試みているんです。
過去を再現したドラマに加え、本人の独白、関係者の証言などを織り交ぜ、テ
ンポよく主人公の生き様を描写。時代ごとに映像の色彩を変えたりする細かな
テクニックも駆使して、虚実の間で揺れ動く人物像を生き生きと描いています。
とても初監督とは思えませんね。その見事な手腕には素直に感服してしまい
ました。
脚本を執筆したのは、『マルコヴィッチの穴』のチャーリー・カウフマン。こ
ういうクセのある話は得意だけに、脚本にもキレが感じられます。
また、主演のサム・ロックウェルが予想以上に良い。『グリーンマイル』（19
99）の時はそんなに目立ちませんでしたが、ここでの存在感はバツグンです。
こんなワケのわからん人物を演じるのはけっこう難しいと思うのですが、実に
熱く、そして生き生きと演じきっています。
伝説のアホ番組『ゴングショー』のホスト役のなりきりぶりなんて、楽しい、
楽しい。 (*^_^*)
ただし、元の話が相当にウソくさいですからね。ボクなんかどうしても途中で
本人の妄想だと感じちゃうんですよね。
ＣＩＡは何であんなダメダメな女たらしを工作員にするのか？
そんなに簡単に殺しを命じられて実行できるのか？
などなどの疑問が湧きあがって、気になって仕方がない。真実とウソの間とい
うよりは、はるかにウソ寄りに見えてしまって、途中でかなり引いてしまった
んです。
おかげで、『オーシャンズ11』仲間のブラッド・ピットとマット・デイモンの
カメオ出演もよくわからんかったゾ。あーあ、もったいない。（たぶんアレだ
と思うけど……）
後半30分は一転してかなりシリアス。ジュリア・ロバーツ演じる女スパイがカ
ギを握る内通者をめぐるサスペンスや、ドリュー・バリモア演じる恋人と主人
公との真実の愛、主人公の過去のトラウマや出生の秘密といったシビアな話が
どんどん展開されます。
でも、そこに至るまでが全く違うタッチで描かれてきたから、なんだか取って
つけたような印象はぬぐえません。どうにもしっくりこないんですよね。
要するに、この映画の大きな魅力は、ウソか真実かわからない怪しい物語とい
うところにあるわけですが、それが同時に後半のオチの付け方を不自然なもの
にしてしまっている感じがするのです。
もっと前半をシリアスに描いて、観客が最初は真実の話だと信じたら、そのう
ちにどうもアヤシクなってだんだん変な方向に進み始める……な〜んて展開に
した方が良かったのでは？
でなきゃ、ある種のファンタジーと割り切って、ラストに向かってどんどん暴
走させちゃうとかね。ＣＩＡ仲間とゴングショーをやっちゃったりしてサ。
まあ、それでもジョージ・クルーニーの初監督作品としては良くできているし、
このワケのわからん人物の生き様はユニークで見応えがあります。
世の中にはヘンな人がいるもんだなぁ〜。ボクなんかまだ可愛い方ですね。（
そうかぁ？？？）
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
（良くできた映画です。ただボクのように「こんなのウソだよ〜！」と途中で
断定しちゃうとつまらなくなりそう……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年８月20日（水）池袋シネマ・ロサにて。午後１時の回。