大停電の夜に
| （2005年 日本）（上映時間２時間２分） 監督：源孝志 出演：豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、吉川晃司、寺島しのぶ、井川遥、 阿部力、本郷奏多、香椎由宇、田畑智子、淡島千景、宇津井健 ＊ 丸の内ピカデリー2ほか、松竹・東急系にて全国公開 ホームページ http://daiteiden-themovie.com/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 天体望遠鏡を覗いていた翔太（本郷奏多）は大学病院の屋上に麻衣子（香椎由 宇）が立っているのを見つける。ある病室では、死期の近づいた父親から息子 の遼太郎（田口トモロヲ）がある告白をされる。電話に出ない相手に「会いた い」とメッセージを残す美寿々（井川遥）。ジャズバーのマスター木戸（豊川 悦司）は受話器の向こうの相手に「今夜、待っている」と伝える。バーの向か いのキャンドル・ショップの店長のぞみ（田畑智子）は窓越しに木戸を見つめ ている。突然現れた元ヤクザの銀次（吉川晃司）を見て逃げ出す礼子（寺島し のぶ）。孫へのクリスマスプレゼントの準備をしている義一（宇津井健）と小 夜子（淡島千景）夫妻。そんな彼らが突然の大停電に襲われる……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 クリスマスにはピッタリの心地よい群像劇。映像がバツグン 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 クリスリマスを前にした人々の群像劇。といえば、たしかイギリス映画の『ラ ブ・アクチュアリー』もそうでしたよね。でも、この映画がユニークなのはそ こに大停電という要素が加わっていること。 「大停電の割には、みんなのんびりしているなぁ〜」と思ったら、それが源孝 志監督（『東京タワー』）が狙ったところだったみたいです。そういう中でも ポジティブな姿勢の人たちを描きたかったとか。 登場するネタは、不倫、失恋、出産、病気、事故など、けっこうシビアになり そうなネタもあるんですけど、それでもけっしてドロドロになったり、大騒ぎ することはありません。停電の中でも、冷静にごく普通の日常を送りつつも、 そこでアレコレとした出来事があって、最後はホンワカとした結末を迎えると いう映画。 いちばんスゴイのは映像です。 o(*'o'*)o だって、停電なんですヨ。暗い中でどんな映像を構築するのか想像もできない でしょ。でもねぇ、田畑智子演じるのぞみがローソク屋さんっていう設定を生 かして、ローソクの光をうまいこと使ってるんですよね。それがとってもロマ ンチックで、スタイリッシュで、優しい映像を生み出しているんです。最近の 映画の中でも、映像的には最も素晴らしい一作かも。 音楽もなかなかで、ムードたっぷりのオシャレなジャズが全編に流れます。 オープニングのキャスト紹介が英語っていうのもオシャレですよねぇ〜。 でもって、そのオシャレな雰囲気がスクリーン全体に漂い、そのまんま最後ま で突き進みます。 ちょっぴりしんみりしたり、ロマンチックな気分に浸りながら、観終わったと きにはポカポカしてくる。そんな映画です。 ただなぁ、よく考えたら典型的な人情話だもんなぁ。どのエピソードも陳腐だ し、キレイごとすぎるんじゃない？ 思わず「うーん」とうなるところや、胸 をグイグイ揺さぶられるところはナシ。セリフもあんまり良いとは思えません でした。 ( ￣っ￣) 実はこの映画の停電の原因って、とってもファンタジックなのね。だとしたら、 もっとファンタジーっぽく、ブッ飛んだ部分があるほうが、ボク的には好みで した。 たぶんこの物語を白日の下でやったら、ちっともつまらなかったことでしょう。 停電というアイデアがこの映画の最大の魅力。 役者陣はさすがにこれだけ集めれば、み〜んな見応えがあります。特に田畑智 子はまるで天使のような存在で印象的。いちばん輝いていました。 ロマンチックで、温かくて、心地よくなれる映画なのは間違いなし。少し早い けれど、クリスマスに観るにはピッタリの映画でしょう。 (*´∇｀*) 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆（＋1／2★） （物語自体はどうってことのない人情話で不満だけど、映像や俳優の演技でそ れなりに観られる映画になっています。心地よくなりたい方はどうぞ。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年11月19日（土）池袋シネマ・ロサにて。午後3時30分の回 |