堕天使のパスポート(DIRTY PRETTY THINGS)
（2002年 イギリス）（上映時間１時間37分）
監督：スティーヴン・フリアーズ
出演：キウェテル・イジョフォー、オドレイ・トトゥ、セルジ・ロペス、ソフ
ィー・オコネドー、ベネディクト・ウォン
＊シャンテシネほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://datenshi.jp/
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＜ストーリー＞
ロンドンで昼はタクシー運転手、夜はホテルのフロント係として働くナイジェ
リア人の不法滞在者オクウェ（キウェテル・イジョフォー）。そして、同じホテ
ルでメイドとして働くトルコ人難民シェナイ（オドレイ・トトゥ）。２人は勤務
先のホテルである事件に遭遇し、難民たちをめぐる危険な現実に直目する……。
＜レビュー＞
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社会派や恋愛の要素をうま〜くブレンドした犯罪サスペンス
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『アメリ』ですっかり有名になったオドレイ・トトゥが出演している映画。
監督はスティーヴン・フリアーズですが、この人、なんでもやっちゃうんです
よね。『危険な関係』（1988）『グリフターズ／詐欺師たち』（1990）『ジキル
＆ハイド』（1996）『ハイロー・カントリー』（1998）『がんばれ、リアム』
（2000）『ハイ・フィデリティ』(2000)と、その監督作品は実にバラエティーに
富んでいます。
そして、今回もまたユニークな映画を監督しました。
不法滞在で、しかも過去にワケありらしいナイジェリア人オクウェ。24時間働
きづめの彼は、同じホテルで働くトルコ人難民シェナイの家に居候させてもらっ
ている。
ある日、ホテルの部屋でオクウェは不気味なものを発見する。それは人間の心
臓だった。いったい何がここで行われていたのか。真相を突き止めようとするオ
クウェは、やがて恐ろしい事実を知る。
そして、それがシェナイの身の上にも大きな変化をもたらすのだった……。
不法滞在の男と難民の女をめぐるドラマ。彼らが置かれた厳しい現実が描かれ
ます。それはあまりにも過酷なもの。ネタバレになるのではっきりは書きません
が、人間の命に関わる恐ろしい事実。現代社会の闇そのものです。 （∋_∈）
となると、どうしてもこれを社会派ガチンコ勝負の映画にしたいところですが、
そこはさすがにスティーヴン・フリアーズ。そうではなくて、エンターティメン
ト性を持った犯罪サスペンスの枠組みを使って描いているのですヨ。
その柱になるのが前半に出てくるオクウェが発見した心臓のナゾ。これについ
ては、意外に早く事実がわかってしまうのですが、その後は元ドクターであるオ
クウェに究極の選択が突きつけられるという緊迫感あふれる展開。
しかも、オクウェに思いを寄せるシェナイにも、難民ゆえの過酷な運命が次々
に襲いかかってきて、緊張が途切れることはありません。 ｏ（＾ｏ＾）ｏ
乾いたタッチの映像も魅力的。主人公たちの置かれた厳しい現実を反映してい
て、切なさが漂ってきます。たまらんのぉ〜。
そして、クライマックスでは実に意外で痛快なドンデン返しが……。
まあ、甘いといえば甘い仕掛けには違いないのだが、過酷な現実からどうにか
して立ち上がろうとする主人公たちのたくましさが見事に表現されています。
おまけに、そこに至るまでに主人公たちのツラサを嫌というほど見せられてい
る観客にとっても、思わずホッとしてしまう仕掛け。 (^。^;)
ラストの空港でのシーンも印象的。２人の男女の強い絆と切ない現実を同時に
表現した、余韻タップリのラストでした。
日本ではあまり知られていませんが、オクウェ役のキウェテル・イジョフォー
（『ラブ・アクチュアリー』）が影を持つ男を好演。運命に立ち向かうたくまし
さが心に残ります。
一方、シェナイ役のオドレイ・トトゥはトルコなまりの英語で熱演、『アメリ』
とはまったく違う顔を見せています。（といっても、トルコ語なんか知らんから、
なまりがうまいのかどうかわかりゃせんのですがね。 (＾0＾） ）
というわけで、犯罪サスペンスの魅力に、社会派や恋愛の要素をうま〜くブレ
ンドした映画。その分、個々の突きつめ方は甘いし、特別に突き抜けたところ
のある映画ではないけれど、見応えは十分でした。
しかし、まあ、ああいう恐ろしいことを東南アジアとかでやってるという話は
聞くのだが、ロンドンあたりでもホントにやってるのだろうか。もしかしたら日
本でもやっていたりして……。おおコワ！ {{
(>_<) }}
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（犯罪サスペンスと社会派映画、恋愛映画など、様々な要素が混ざった映画。
主人公たちのたくましい生き方が良い！）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年８月24日（火）シャンテ・シネにて。午後４時25分の回。