ドミノ(DOMINO)
| （2005年 アメリカ）（上映時間２時間５分） 監督：トニー・スコット 出演：キーラ・ナイトレイ、ミッキー・ローク、エドガー・ラミレス、ルー シー・リュー、デルロイ・リンドー、クリストファー・ウォーケン、ミーナ・ スヴァーリ、ジャクリーン・ビセット ＊日比谷スカラ座ほかにて全国公開 ホームページ http://www.domino-movie.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 金持ちの娘、ドミノ（キーラ・ナイトレイ）は、空虚な人生に嫌気が差し、新 聞広告を見て逃亡犯や仮釈放中の犯罪者の身柄を拘束するバウンティハンター の世界に飛び込む。エド（ミッキーローク）とチョコ（エドガー・ラミレス） という仲間とともに危険な仕事をこなしていくドミノ。仲間との信頼関係も生 まれるが、やがてネバダ州で現金盗難事件が発生。ドミノたちは盗まれた金の 回収を依頼されるが、事件の背後には複雑な事情が絡んでいた……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 トニー・スコットが鮮烈な映像で描いた狭間で生きる女の光と影 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 リドリー＆トニーのスコット兄弟といえば、どちらもすさまじい映像美で知ら れる監督。しかし、兄リドリーがその映像美に酔って上っ面の様式美に陥りが ちなのに対して、弟トニーは常に荒々しいパワーをキープしたアツい映画をつ くり続けています。そのノリといい、魂といい、音楽で言ったらロック！ っ て感じ。ボクが好きな監督の１人です。 (⌒-⌒) そのトニーの今回の映画は、実在のバウンティハンター（賞金稼ぎ）、ドミ ノ・ハーヴェイの物語。彼女がＦＢＩに捕まってルーシー・リュー演じる捜査 官の取調べを受けるというスタイルで、過去の出来事を綴っていきます。 前半は、名優ローレンス・ハーヴェイの娘に生まれ、富と美貌に恵まれながら、 なぜ彼女が賞金稼ぎになったのか。そして、それからの彼女がどんなことをし てきたのかを明らかにします。それもクドクドと余計な説明などせずに、バン バンとテンポのよい映像でたたみかけていくんです。 やっぱり映像がスゴ過ぎ！！！ Ｗ（゜ｏ゜）Ｗ 手持ちカメラを多用したり、短いカットをつないだり、早回しを使ったり、ア レコレと細かなテクを繰り出しながら、鮮烈で美しく、光と影が交差する魅力 的な映像を構成。それはキーラ・ナイトレイ演じる主人公ドミノの不安定で 荒々しい人生を、そのまま投影させた映像でもあります。 そこからチラチラ見えるのは、ああいう形でしか自己表現ができなかった女性 の哀しみ。 ドミノは狭間で生きる女です。善と悪、生と死、愛と裏切り、その狭間で生き る女の微妙な心情が観客の胸をえぐります。 後半は彼女に転機をもたらしたある事件を中心に描かれます。様々な陰謀が入 り乱れ、ドミノたちを悲劇へと誘い込みます。 ただし、その事件が複雑でわかりにくいのが残念。後半の事件はもう少しシン プルにしてしまったほうが、わかりやすかったのでは？ 何しろこの映画は、狭間で生きる女ドミノを描くと同時に、映画自体のスタン スも狭間に置いているんです。つまり、実話をもとにした話でありながら、フ ィクションも織り込んで、真実と虚構の狭間でつくられているワケ。だったら、 後半はもう少し整理しちゃったほうがよかったかもネ。 とはいうものの、最後までまったく途切れない緊張感が見事。 クライマックスは手に汗握る展開。ラスベガスの高層ビルの最上階で、ギャン グ、賞金稼ぎ、ＦＢＩなどが入り乱れた、すさまじい争いが繰り広げられます。 そして、せっかくつかみかけたドミノの愛は……。 強さと荒々しさの合間からほんのちょっぴり見せる弱さ。そんな主人公ドミノ を演じたキーラ・ナイトレイは、これまでのイメージを一新させた体当たりの 演技。 その仕事仲間を演じたミッキー・ロークの存在感もケタはずれ。まさかこの人 が、こんなに貫禄のあるオッサンになるとは、若い時には予想もできませんで したねぇ〜。 そのほかにも、主人公の母親役のジャクリーン・ビセット、テレビのプロデ ューサー役のクリストファー・ウォーケンなど脇役陣も充実。 爆笑したのが、かつてテレビの「ビバリーヒルズ高校白書」シリーズで、人気 者になったブライアン・オースティン・グリーンとアイアン・ジーリングが、 そのまんまの役で出演していること。最初テレビ局の依頼でドミノたちを取材 するうちに人質になってしまうのだが、みんなから「まだ生きてたの？」「ず いぶん老けたね」なんて言われたりして、実にかわいそうな役。かつての栄光 を知っている人は寂しいでしょうが、こういう役を引き受けたシャレっ気に拍 手です。 (*゜▽゜ノノ゛☆パチパチ 見事な映像で描かれた、たくましく、カッコよく、そしてちょっぴり哀しい女 性の物語。１人の女性の生き様が深い陰影で写し取られています。 スリリングで、パワーにあふれ、一瞬も目が離せません。２時間５分という上 映時間がちっとも長く感じられませんでした。 かつての『トゥルーロマンス』でもわかるように、トニー・スコットはワルっ ぽい人物を描くのが上手いなぁ〜。 アクの強い映画なので好き嫌いは分かれるでしょうが、ボクはかなり満足。や っぱトニーはいいわぁ〜。リドリー兄ちゃんももっとがんばれよ！！！ (￣▽￣)／ 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆（＋1／2★） （女バウンティハンターの鮮烈な生き様が胸に迫る。すさまじい映像も見応え タップリ。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年10月22日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後１時の回。 |