ドラゴンヘッド
（2003年 日本）（上映時間２時間２分）
監督：飯田譲治
出演：妻夫木聡、SAYAKA、山田孝之、藤木直人
＊日劇ＰＬＥＸほか東宝洋画系にて全国公開
ホームページ http://www.dragonhead-movie.jp/
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＜ストーリー＞
修学旅行帰りの高校生青木テル（妻夫木聡）を乗せた新幹線は原因不明の事故
に遭遇し、トンネル内に閉じ込められる。テルの他に、同級生のアコ（SAYAKA
）と高橋ノブオ（山田孝之）だけが奇跡的に生き残るが、ノブオは狂気に走っ
ていく。やがて、テルとアコはトンネルを脱出して、東京を目指して歩き出す
が……。
＜レビュー＞
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荒廃した世界を描いたスケールの大きな映像と、それに追いつかないドラマ
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暗〜い映画です。なにしろ、オープニングから約40分はトンネルの中。やっと
地上に出たかと思ったら、そこは一面が灰色の世界。ラストには再び地下世界
が舞台となる。うわ〜〜〜っ、太陽はどこに行った？ お日さまに会いたいよ
〜〜〜！！ (>_<)
トンネルの中で大破した新幹線の中で目覚めた高校生テル。級友のほとんどが
命を落とした中、奇跡的にアコとノブオとともに生き残る。助けが来るのを信
じて待つテル。だが、ノブオは次第に狂気に走っていく。
このトンネル内のシーンは圧巻でした。 Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
テルやアコはいったい何が起きたのかわからず混乱しているわけですが、観客
も「いったい何がどうなってんの？」というワケわからん状態。それをずーっ
と引きずりながら、暗闇の中で展開される３人の会話に耳を傾ける。その緊迫
感がたまりません。
いじめられっ子だった背景もあり、ズンズンと狂気へ走って行くノブオ。それ
に対して、何が何でも生き抜くと決意するテル。やがて事態は思わぬ方向に…
…。
テルとアコがやっと地上に出たと思ったら、そこは信じられないような世界。
一面は灰色に包まれ、空には分厚い雲。そこから降り注ぐ灰。
ここでも、「いったい何が起きたの？」という不安な気持のまま、観客を不気
味な世界へと誘い込んでいきます。 (？_？)
いやぁ〜、この灰色の世界を目にした瞬間、ボクはブッたまげてしまいました。
今まで見たこともない気味の悪い世界が広がっているんですから。映像のスケ
ール感は、これまでの日本映画にはなかったもの。ハリウッドの超大作の映像
さえ凌駕しています。
まあ、ウズベキスタンでロケをしたり、かなり大がかりなＣＧを使っていて、
これだけ大仕掛けにすればこのぐらいできて当然、という気もしますが……。
その後、テルとアコはさまざまな危険な体験をしながら、東京を目指していき
ます。そこで描かれるのは極限状態に追い詰められた人間の姿。恐怖と絶望の
中で、いったい何を考えどう行動していけばいいのか。テルとアコを通して、
シリアスなテーマが突きつけられていく。
だが、ボクはこのドラマに大いに不満がある。極限に追い詰められた人間の心
理を十分に描ききったとはとても思えません。
あまりにもリアリティーがないんだよね。テルとアコが出会うヤツらがみんな
頭がどこかにイッちゃった人ばかりで。
トンネルの中で狂気に走ったノブオは、イジメられっ子という背景があるから
まだ許せます。でも、殺し合いをする住民とか、自暴自棄になった自衛隊員だ
とか、頭に変な手術をされた子供とか、ワケわかんないッス〜〜。(・_・")？
いや、ワケはわかるんですヨ。要するに人類滅亡の危機に直面して、恐怖であ
あなっちゃったってことなんだろうけど。それでもねぇ〜。彼らが狂気に走る
背景がきちんと描かれず類型的に狂っていくだけ。はっきり言ってマンガの世
界で、リアリティーはほとんど感じられず。いくら原作がマンガだからって、
描き方が大雑把過ぎますぜ。
ラスト近くで登場する「あるものを食べると、あることになる」という設定も、
これまたあまりにも稚拙な描き方。恐怖感を感じるというよりは笑っちまいま
したヨ。あそこまでやるなら、権力者の野望をキッチリ描かないと。
そして最大のダメな点が、そういうものを目にしたテルとアコが、「ワー」と
か「キャー」とか「どうなっているの？」とか当たり前の反応しかしないこと。
セリフが陳腐で、上っ滑りしているんだよね。あれじゃ、まるでお子様の学芸
会。と言ったらお子様に失礼かしらん。
まあ、ＳＡＹＡＫＡが芝居がヘタなせいもあるんですけどね。（その代わり超
カ・ワ・イ・イ (⌒^⌒)ｂ ）
そんなところからは何も出てきません。テルやアコの心理がグイグイと伝わっ
てくるようなことは全然ナシ。心に響くものはほとんどなかったデス。
もったいないよなぁ。こんなにスケールが大きくて、迫力ある映像世界を作り
出しているのに、肝心のドラマがこれじゃあねぇ〜。 (´ヘ｀;)
こんなに暗い映画なのに、最後まで飽きさせずに見せてしまう映像の力は正直
スゴイと思う。過去の日本映画にないこのスケールの大きな映像と、独特な世
界観は一見の価値アリ。でも、それだけですね。観終わっても何にも心に響か
ない。２時間映像だけを楽しむ勇気がある方はどうぞ。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆【わざわざ劇場で観なくても!? 他にやることがなければどうぞ】
（ハリウッドにも負けない迫力ある映像と、ハリウッドにも負けない空っぽの
ドラマ。そこまでマネすることはないよな。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年９月11日（木）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後３時の回。