Ｄｒ．Ｔと女たち (Dr. T & THE WOMEN)
（2000年 アメリカ）（上映時間２時間２分）
監督：ロバート・アルトマン
出演：リチャード・ギア、ヘレン・ハント、ファラ・フォーセット、ローラ・
ダーン、シェリー・ロング、タラ・リード、ケイト・ハドソン、リヴ・タイラー
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＜ストーリー＞
ドクターＴことドクター・サリヴァン・トラヴィス（リチャード・ギア）は、
ハンサムで女性にモテモテの産婦人科医。家族からも患者からも頼りにされて
いる。そんなある日、妻ケイト（ファラ・フォーセット）が精神に変調をきた
してしまう。娘の結婚式も重なり、神経をすり減らしたトラヴィスは、女性ゴ
ルファーのブリー（ヘレン・ハント）と深い関係になってしまうが……。
＜レビュー＞
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女だらけの映画を撮る老監督の若々しさに完敗ですぅ〜！
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女だらけの水泳大会……じゃなくて、女だらけの映画デス。 (＾。^/)
主人公のドクターＴを除けば、出てくるのはほとんど女、女、女。男はテッテ
ー的に排除されております。
そんな女性たちが、いろんなトラブルを巻き起こしてドクターＴを振り回し、
混乱の中に叩き込んでいくんです。
産婦人科医ドクターＴは、女性にとって頼りがいのある存在。クリニックには
彼を頼って、いつも患者がたくさん押し寄せてくる。
家に帰れば、妻と２人の娘、それにアル中気味の義理の妹と彼女の３人の幼い
娘とともに暮らしている。彼らもまた、良き家庭人であるドクターＴを頼って
いる。
だが、そんなある日トラブルが起きる。妻ケイトがショッピングセンターで、
突然服を脱ぎ始めたのだ。
医師の診断によれば、それは「ヘスティア・コンプレックス」。物質的にも家
庭的にも恵まれ過ぎて、かえって前向きに生きる意欲を失い、幼児へと退行し
てしまう病気だという。そのため、ケイトは精神療養施設に入ることになる…
…。 (T^T)
不幸のあまり精神がおかしくなるというのはよくある話。
でも、ここでは幸せのあまりおかしくなってしまう。この設定が効いてますね
ぇ〜。
ドクターＴは、面倒な患者にも優しく対応するリッパな医者。家庭でも、良き
夫だし、良き父親。なのに、次々と女性たちによってトラブルに巻き込まれち
ゃう。なんという皮肉なんでしょう。
しかも、それを演じるのがモテモテ役ばかりのリチャード・ギアですから。二
重の皮肉ですヨ。これは。 (^-^)
でもって、トラブルはまだまだ続く。ドクターＴの娘ディディが結婚式を挙げ
るのだが、彼女は大学時代の友人マリリンを花嫁の付き添い役に指名する。
ところが、妹のコニーは大反対。どうやら。それには深〜いワケがあるような
のだ……。
とにかく、次から次へといろんな女性たちがドクターＴのところへやってきて
、勝手なことをまくしたてていきます。
でも、ドクターＴは良い人だから、爆発することもできずに笑って話を合わせ
るだけ。
そんなストレスのはけ口になったのが、ゴルフのアシスタントプロのブリー。
彼女とドクターＴはすぐに深い仲になる。だが、その恋の行方もまた……。
(~ヘ~;)
もうホント、最後の最後までドクターＴにとっちゃヒサンな話。あんまりヒサ
ンすぎて、笑っちゃうしかないんです。
といっても、別に暗〜い映画じゃありません。タイトル通りドクターＴと周囲
の女性たちの生活をコミカルに、そしてシニカルに描いている。爆笑シーンは
そんなにないけれど、最初から最後までニコニコ、クスクスと笑顔で観られる
こと間違いナシ！ コメディ映画としての質はかなり高い。 (＾o＾)／
それにはロバート・アルトマン監督の熟練のワザが大きく貢献しています。ア
ルトマン監督といえば群像劇がお得意。今回もまたいろんな人物が登場する群
像劇なんですが、この処理がさすがにウマイ。あれだけたくさんの人物やエピ
ソードを出しているのに、どれも過不足なく描いていくんです。
途中で流れが止まったり、全体のバランスが崩れたりといった群像劇にありが
ちな欠点がまったく見られない。だから、観ていて少しも疲れない。まさに職
人芸の世界と言えるでしょう。
ラストのオチも見事。へぇ〜、こんなブッ飛びオチを用意してたのか……。
観終わってから、ドクターＴも、そしてトラブルだらけの女性たちも、み〜ん
なカワイらしく思えてきちゃう。
「人間って、こんなにどーしようもないけど、それでも愛すべき存在だと思い
ません？」
そんなアルトマン監督の思いがよ〜く伝わってきました。 (#^.^#)
役者たちも生き生きと演技しているんですよねぇ〜。
トラブル続きのリチャード・ギアが思わず見せる笑顔がサイコー！
その妻のファラ・フォーセット（まぁ〜、お久しぶり）もかなりイケてます。
あらあら、ヌードまで披露して……。
そのほか、アル中の義理の妹役のローラ・ダーンのハジケ方、娘ディディ役の
ケイト・ハドソン（『あの頃ペニー・レインと』が印象的）のコケティッシュ
さ、彼女と不思議な関係を持つリヴ・タイラーのアヤしさなど、見どころはタ
ップリ。ドクターＴの恋人役のヘレン・ハントなんか、まともすぎて目立たな
いぐらいだもん。
それにしてもアルトマン監督は今年でなんと77歳！ 前作『クッキー・フォー
チュン』が最後の作品かなぁ〜、なんてことも思ったんですが失礼しました。
まだまだお若い。もっともっと映画をつくってくださ〜い。
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
（女性客が多いようですが、男性にも見て欲しいな。だって、理想的な主人公
が、どんどん苦難に見舞われるんだから。「ああなりたいよぉ〜」と「ああは
なりたくないよぉ〜」の貴重なダブル体験ができますヨ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年１月９日（水）日比谷スカラ座２にて。午後２時10分の回。