エリザベスタウン(ELIZABETHTOWN)
| （2005年 アメリカ）（上映時間 ２時間３分） 監督・脚本：キャメロン・クロウ 出演：オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンスト、スーザン・サランド ン、アレック・ボールドウィン、ブルース・マッギル、ジュディ・グリア ＊日劇１ほかにて全国公開 ホームページ http://www.e-town-movie.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ シューズデザイナーのドリュー（オーランド・ブルーム）は、8年もの間、打ち 込んできた新デザインのプロジェクトに失敗し、会社に10億ドルもの損失を与 えてしまう。あまりのショックに、自宅に戻った彼は自殺しようと思うが、そ の時、妹のヘザー（ジュディ・グリア）から電話が入る。それは、エリザベス タウンの親戚を訪ねていた父が、心臓発作で亡くなったという知らせだった… …。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 キャメロン・クロウ節は健在。さわやかな感動が残る秀作 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 キャメロン・クロウ監督は大好きな監督の１人。特に『あの頃ペニー・レイン と』は実に見事な青春映画でした。 今回のこの映画も、それと同じテイストが流れているとくれば、これはもうそ れだけでかなりの好印象。 (⌒-⌒) オーランド・ブルーム演じる主人公ドリューは靴のデザイナー。だが、失敗ど ころか大失敗をやらかしてしまい、会社に致命的な大損害を与える。ショック で自殺しようとするドリュー。ところが、そこに故郷を訪ねていた父が急死し たという知らせが入る。ドリューは慌てて飛行機に飛び乗る……。 「いかにも」というストーリーだし、とりたてて物珍しさはないんですけどね。 それでもキャメロン・クロウ監督の手にかかると、これが良い感じの映画に仕 上がるんですよねぇ〜。 オープニングからクロウ節がサクレツ。「大失敗で自殺」なんていうと暗〜い 話になるはずなのに、自殺の準備さえユーモラスに描いてしまうんです。 でもって、エリザベスタウンに向かうために飛行機に乗ったドリューが出会う のは、キルスティン・ダンスト演じるクレア。このコが、ユーモラスで、温か くて、実に不思議な女の子。おせっかいだけど、嫌味がないんだなぁ。、 彼女をはじめ登場する人たちが、みんな一風変わっているのがおもしろい。お 父さんの親戚。友人。大きな事件は起きないけれど、ドリューとこういう人た ちとの間で起きる様々なエピソードを生き生きと描いていくことで、ドリュー の再生へとうまくつなげています。 セリフもいいよねぇ〜。ユーモラスでシニカルで。 印象的なシーンもたくさんあります。前半でドリューとクレアが、携帯電話で やり取りするシーン。中盤の父の葬儀パーティーでのスーザン・サランドン演 じるドリューの母親によるスピーチ、ていうか、もはやあれはスタンダップ・ コメディ。そしてその後のたどたどしいタップダンスもとてもステキ。 メリハリがくっきりした映画ではありません。「ココでドリューは立ち直った んだ！」というような明確なシーンはナシ。その代わり、彼が少しずつ再生し ていくところが、ごく自然に描かれます。 しかも、後半はドリューのロードムービー。ある仕掛けによって彼が旅をしま す、そして、その先には……。いいですねぇ〜、このオチは。行く先々の景色 も美しくて、心に残ります。 (⌒∇⌒) キャメロン・クロウらしい映画で、観終わってさわやかな感動が残ります。上 質の青春映画。さすがに青春映画がお得意の監督らしい。 挫折したエリートを演じたオーランド・ブルームはピッタリの役柄。相手役の キルスティン・ダンストが、こんなに魅力的になっていたとは……。 もともと音楽評論をやってた人だけに音楽が素晴らしいのも、クロウ監督の特 徴。今回もスゴすぎます。あまりの良さにあきれかえっちゃいました。トム・ ペティ、エルトン・ジョン、ブライアン・アダムスなどみんな涙モノの曲ばか り。金もないのにサントラが買いたくなっちゃうんだよなぁ〜。まったく。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆（＋1／2★） （ハデさはないけれど、ポカポカと心が温まる上質な青春映画。音楽も涙モノ の素晴らしさです。『あの頃ペニー・レインと』を気に入った方は特に必 見。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年11月13日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回。 |