エンパイア・オブ・ザ・ウルフ(L' EMPIRE DES LOUPS)
| （2005年 フランス）（上映時間２時間８分） 監督：クリス・ナオン 出演：ジャン・レノ、アーリー・ジョヴァー、ジョスラン・キヴラン、ラウ ラ・モランテ、 フィリップ・バス、デヴィッド・カンメノ ＊渋谷東急ほか松竹・東急系にて全国公開 ホームページ http://www.eow.jp/index2.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 記憶をなくした女性アンナ（アーリー・ジョヴァー）は、夫の態度に疑問を抱 き、精神科医に救いを求める。一方、パリのトルコ人街で、３件の女性惨殺事 件が発生。パリ警察殺人課は、被害者がいずれもトルコ人の不法入国者である ことなどから、迷宮入りを宣言。だが、若手刑事ポール（ジョスラン・キヴラ ン）は納得せず、１人で事件解決に執念を燃やす。トルコ人社会に精通した潜 入捜査官シフェール（ジャン・レノ）に協力を要請するポールだったが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 パリの裏側が不気味で危ない。先読み不能なサスペンス 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 いいなぁ〜、この暗くてアヤシイ雰囲気の映像。花の都パリの裏側が独特のタ ッチで描かれます。全体を包む不気味さこそが、この映画の最大のセールスポ イントかもしれません。ハリウッド映画じゃ、なかなかこういう映像にはお目 にかかれませんからねぇ〜。 (o^∇^o) オープニングは記憶をなくした女性アンナが、検査を受けている不思議なシー ン。最近よく取り上げられる記憶のトラブルをめぐるサスペンス？ と思った ら、どうやらそうではないらしい。彼女は本当に自分が病気なのか夫に疑念を 持ち、女性精神科医のもとを訪ねる。 すると、今度はいきなりパリのトルコ人街で起きた猟奇殺人。それを追うのが 熱血刑事ポール。トルコ人社会に精通したワル刑事シフェールを無理やり仲間 に引きずり込んで、捜査を進める。 この一見無関係な２つのエピソードが同時並行して描かれます。どちらもナゾ だらけでコワ〜イ話。なに？ なに？ いったいどうなっているの？ と、観 客は迷宮の中に叩き込まれてしまうのです。 （・＿・？） アンナのエピソードはかなり良くできた心理サスペンス。「アタシっていった い誰なのよ？」というアンナの苦悩が伝わってきて見応えがあります。 一方、若手刑事とワル刑事との捜査劇も、犯罪サスペンスとしてはなかなかの 出来。マジメ一辺倒の若手刑事といかにも悪そうなジャン・レノ演じるベテラ ン刑事とのコントラストがうまく生きています。ボサボサ頭に、派手なアロハ シャツ、首には十字架のタトゥーというジャン・レノがイケてるぜ！！ やがて浮かび上がってくるのは、トルコ人たちの秘密組織。さらに、フランス 軍の陰謀まで浮上。そして、それまで無関係と思われていて２つのエピソード がつながってくる。 アンナの正体も見えてきて、ようやく迷宮から脱出かな？ と思ったらとんで もない。そこからがさらに二転三転の意外な展開。え？ え？ え？ ナゾが さらに増幅してまたまた迷宮の真っ只中に。いったいジャン・レノは正義なの か？ 悪なのか？ それさえ最後までわからないのです。 おまけに、後半はアクションもサクレツ。前半とは違った魅力が楽しめます。 しかも、あなた、最後なんて、トルコにまで舞台を移しちゃうんですから。 あまりにもナゾの連続で、よほど注意して観ないと話がこんがらがってしまう のが難点。特に後半はすさまじいスピードで物語が展開していくので、ボヤボ ヤしていると置いてきぼりにされます。 それと、若手刑事ポールの突撃の背景が、やや弱いのも気になるところ。いく ら殺人事件捜査に執念を燃やすったって、あそこまで暴走する人はいないでし ょう。 しかし、そんな無理やりなところも含めて、ナゾの連続で観客を引っ張るパ ワーは見事。ワケのわからんままに、最後までお付き合いさせられてしまいま した。やれやれ。 ┐（’〜’；）┌ で、最後にようやく迷宮脱出！ ん？ 待てよ。あれって、どうなってたの？ え？ え？ と観終わってもまだナゾが浮上。誰か出口を教えてくれぇ〜〜！ 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （かなり強引なところも目立つけれど、ナゾの連続で引っ張るパワーと、不気 味な映像はなかなかのものです。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年12月14日（木）テアトル池袋にて。午後２時の回 |