エターナル・サンシャイン(ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND)
| （2004年 アメリカ）（上映時間１時間47分） 監督：ミシェル・ゴンドリー 出演：ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルスティン・ダンスト、 イライジャ・ウッド、マーク・ラファロ、トム・ウィルキンソン ＊ 丸の内ピカデリー2ほか東急・松竹系にて全国公開 ホームページ http://www.eternalsunshine.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ ジョエル（ジム・キャリー）は、恋人のクレメンタイン（ケイト・ウィンスレ ット）が自分との思い出をすべて消し去ったことに気づく。そこで、彼は、自 らも彼女の記憶を消そうと、記憶除去を手掛けるラクーナ社を訪ねる。ジョエ ルは、医師の指示通り彼女との思い出の品をかき集め、睡眠薬を飲み、記憶消 去術を受けるのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ああオソロシやカウフマン。なんでこんなヘンな脚本が書ける？ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今年のアカデミー脚本賞を受賞した映画。脚本を書いたのは、『マルコヴィッ チの穴』『アダプテーション』の鬼才チャーリー・カウフマン。 オープニングは、ごく普通のラブ・ストーリーのタッチ。 退屈な毎日に飽き飽きして、仕事をサボって浜辺に来たジョエルが、クレメン タインというちょっと変わった女性と知り合う。たちまち親密になる２人。 なんだ？ これは、ありきたりの恋愛映画なのか？ ところが、その後、なんだか様子がおかしくなる。突然、倦怠期を迎えたらし い２人が描かれ、ジョエルがプレゼントを届けるものの、クレメンタインはま ったく無視する。 いったいどうなっているのだ？ と思ううちに、今度は記憶の消去に関する話が飛び出す。 要するに、クレメンタインはジョエルを忘れるために、２人の記憶を消去する 手術（？）を受けていたのだ。そこで、ジョエルも彼女のことを忘れようと、 記憶の消去を依頼するのだが……。 というような実にユニークなお話。ヒネりまくったラブ・ストーリーです。 記憶の消去というネタはたくさんあるけれど、「都合の良いところだけ部分的 に消せる！」というアイデアが秀逸。誰しも「あんな嫌な思い出は消したいヨ 〜」と一度や二度は考えるはずなので、なおさら興味深く物語に入っていける ワケ。 でも、そういう全体像がわかるのは、始まってだいぶたってからのこと。何し ろ、ドラマの構成はメチャクチャ。 現在進行形の物語と、ジョエルとクレメンタインの過去の思い出、そしてジョ エルの頭の中の映像（『マルコヴィッチの穴』同様、脳の中に侵入！）が、相 互にめまぐるしく入り乱れて、途中までは何がなんだかサッパリわからないの です。時間の経過も前後が不明確。クレメンタインの髪の色の変化から想像す るのみ。なんじゃ？ この映画は？ ボクをおちょくってんのか？？？？？ ？？ )｀ε´( でも、ワケわからんなりに見入ってしまうんですよねぇ〜。スピード感にあふ れた鮮烈な映像が連続するので。 ホラ、抽象絵画とか、何が描いてあるのか意味不明なんだけど、つい見ちゃう じゃない？あれと一緒。 監督は『ヒューマンネイチュア』（これもカウフマン脚本）のミシェル・ゴン ドリー。もともとミュージックビデオ（ビョークとか）出身の人で、前作も映 像がキレまくっていましたが、今回のキレ方はそれ以上。 こうして、ワケがわからないまま観ているうちに、次第に何が起きているのか がわかるようになり、それとともに主人公ジョエルの気持ちも少しずつ伝わっ てくるのです。 特におもしろいのが、ジョエルの頭の中の世界。そこでジョエルとクレメンタ インが繰り広げるドラマがユーモラス。そして、ちょっぴり切なさも……。 ストレートなラブ・ストーリーのように、ジワジワと感情を揺さぶるものはな く、盛り上がりにも欠けますが、恋の切なさや不思議さはそれなりに伝わって きます。 ジョエル役のジム・キャリーは、やや抑えめな演技が印象的。対するケイト・ ウィンスレットは逆にハジケた感じの演技で、その対照がなかなかおもしろい。 ツライと思った恋だって、実は楽しい思い出もあったりして、そう簡単に記憶 なんか消してよいのかね。恋愛なんて、そうスッキリ割り切れるものじゃない んじゃない？ そんなシニカルな視点で描いた、不思議なラブ・ストーリーでした。 それにしても、カウフマンさんったら、ホントにヘンな脚本を書くなぁ〜。ボ クのような凡人には絶対にこんな本は書けまへん！ マルコヴィッチやジョエ ルの頭の中よりも、ボクはアンタの頭の中が観てみたいデス。 (^o^) 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （ユニークすぎて他と比較のしようもないのですが、それなりに楽しめると思 います。『マルコヴィッチの穴』や『アダプテーション』が好きな人ならたぶ ん気に入るはず。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年３月23日（水）池袋シネマ・ロサにて。午前11時30分の回。 |