アイズ ワイド シャット (EYES WIDE SHUT)
(1999年 アメリカ)(上映時間２時間39分)
監督：スタンリー・キューブリック
出演：トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、シドニー・ポラック、トッド
・フィールド
【ＶＩＤＥＯ】【ＤＶＤ】ワーナー・ホーム・ビデオより発売
＜ストーリー＞
ニューヨークの若い医師ビル・ハーフォードは妻アリスとともにパーティーに
招かれる。そこで彼はバンドのピアニストで医学部時代の旧友ニックと再会。
一方、アリスはバーで見知らぬ紳士に声をかけられダンスをする。その晩、２
人は言い争い、妻の性的な告白に動揺したビルは、夜のニューヨークをさまよ
うのだが……。
＜レビュー＞
ハンサムなお医者サンの一夜のご乱行を描いた映画デス。(＾0＾)
な〜んて言うとミもフタもなくなっちゃうけど、まあそんなものだろう。
それをきちんとしたテーマ性を持たせて、エンターティメントとしても見応え
ある映画に仕上げたのだから、やっぱりキューブリック監督はエライ！
(^-^)//""パチパチ
２時間39分という長さも全然気にならなかった。
ヘンな宗教団体の集会みたいな仮面乱交パーティーの場面をはじめ、幻想的で、
詩的で、鮮烈な映像が次々に登場。印象的な音楽が、それをさらに盛り上げる。
登場人物の会話も、セリフの合間の空気みたいなものまで含めて、実に効果的
に使われている。だから、最後まで飽きさせない。
主人公夫婦を演じたトム・クルーズ＆ニコール・キッドマンの比較的抑えた演
技も、キワモノになりがちなテーマをギリギリのところで救っている。
（でも、夫婦でこういう役をやるのって平気なのか？）
「夫婦の愛とセックス」という普遍的なテーマに真正面から挑んだあたりはさ
すがに巨匠！ 並みの監督じゃ、なかなかそんな気にならんでしょうな。
その意欲だけでも十分に評価できるゾ。
この作品を「キューブリックの最高傑作！」と言いたくなる気持もわかります。エエ。
しかーし！！
僕はそんなに手放しでほめる気にはならない。
なぜなら、キューブリック映画につきものの「何じゃ、こりゃあ？！」という
驚きがあんまりないのだ。
「芸術は爆発だ！」と絶叫した故岡本太郎画伯じゃないけど、「何だかわから
ないが、とにかくすごいエネルギー！」って感じの驚きや謎を散りばめて、観
客がそれについてあれこれ考えるうちに、いつのまにか監督の考え方や視線を
感じ取ってしまう。それが僕にとってのキューブリック映画の魅力。
ところが、この作品にはそれがほとんどない。
一応、仮面乱交パーティーにまつわる謎が提示されているけれど、謎といえる
ほどミステリアスでもないし、ネタがバレバレ。
おまけに、登場人物も不可思議な人物というよりは、ただのエッチ好きって感
じの人ばかりが目についてしまう。
何だかとってもわかりやすくて、スイスイと話が進んじゃうから、クグッと心
に引っかかる部分がほとんどない。そこがとっても不満デス！ (｀ヘ´)
だいたい、主人公のビルが夜の街をさまよう動機がよくわからんゾ！
妻のアリスが性的な告白をしたことが原因みたいだけど、実際に浮気したわけ
じゃなし、あの程度のこと誰でも一度や二度は考えるだろーが！
おまけに２人はその時、マリファナでラリパッパ状態だったわけだしさ。
それだけで、ヤケになって夜の街をさまようなんて、僕には理解できません。
ビル君ったらよっぽど「純粋まっすぐ」路線を歩んできた人なのかしら。
あれじゃ、ただのバカ医者にしか見えん！（トム・クルーズのファンのみなさ
んゴメンナサイ。あくまでも役柄のことですから誤解のないようにネ）
(*^。^*)
いやあ、それにしてもエリートは一度歯車が狂うと恐いですな。
お金を使う、使う。いったい一晩でいくら使ったんだ？さすがにお金持ちは違
うわい。(＾0＾)
とまあ、最後はちょっと脱線しちゃいましたけど、キューブリック監督らしさ
は至るところに出ていたし、とっても楽しく観ることができました。
でも、口が裂けても「最高傑作」だなんて言えません。
遺作だからって甘い点を付けたりしたら、かえって巨匠に失礼ですもん！
《ぽちのおすすめ度》
★★★
（何たってテーマは夫婦の愛とセックスですから、既婚者ならもっと違う見方
ができるかも……）
＜ぽち＞