ファム・ファタール(FEMME FATAL)


(2002年 アメリカ)(上映時間1時間55分)
監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
出演:レベッカ・ローミン=ステイモス、アントニオ・バンデラス、ピーター
・コヨーテ、エリック・エブアニー、
*みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ホームページ http://www.ffmovie.jp/
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<ストーリー>
カンヌ映画祭の会場で、1000万ドルの宝石が散りばめられたビスチェが盗まれ
る。実行犯は写真家を装った美女ロール(レベッカ・ローミン=ステイモス)
。彼女は仲間を裏切り宝石を持って逃走する。それから7年後、アメリカ大使
夫人におさまったロールは、パリを訪れる。だが、パパラッチのニコラス(ア
ントニオ・バンデラス)に写真を撮られたことから運命が狂い出す……。

<レビュー>
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デ・パルマ監督らしさは健在。悪女はコワイなぁ〜
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ブライアン・デ・パルマ監督といえば、『キャリー』(1976)、『殺しのドレ
ス』(1980)、『ボディ・ダブル』(1984)、『アンタッチャブル』(1987)
、『カリートの道』(1993)、『ミッション:インポッシブル』(1996)、『
スネーク・アイズ』(1998)など相当に個性的な映画づくりで知られています
。特にヒッチコックの影響を強く受けたサスペンスは超ユニークな映画。誰に
もマネなんかできません。

この新作でも、デ・パルマらしさはかなり発揮されています。
オープニングは、いきなり殺人をめぐるシビアな話。「なんだ? これは」と
思ったら、TVから流れる古い映画。ビリー・ワイルダー監督の『深夜の告白
』(1944)の一場面でした。
もう、この導入部からすでにデ・パルマ節が聞こえてきますねぇ〜。

そのTVを見ているのが主人公のロール。これがとんでもない女で、強盗団の
一員としてカンヌ映画祭会場に潜入。1000万ドルの宝石が散りばめられたダイ
ヤのビスチェ(ヘビが美女の体をノソリんこ)を盗むのだが、途中で仲間を裏
切って逃走。ひょんなきっかけで別の女に成りすましてアメリカに逃亡する。
それから7年後大使夫人としてパリに来た彼女は、パパラッチのニコラスに写
真を撮られてしまう。そこで、魔の本性があらわになり、ニコラスを翻弄して
いく……。

最初から最後までデ・パルマ節がサクレツしています。カンヌ映画祭会場での
犯行場面なんて、かなりエロチックな手口なんですけどねぇ。坂本龍一の音楽
とあいまってまるでダンスでも見ているような感じ。 (*^_^*)

その他にも、スローモーション、画面分割、変わったアングル(登場人物の視
点になったり)と、いかにもデ・パルマ監督らしい美しく、鮮烈な映像世界が
展開。パリを舞台に古い教会などの風情ある街並みをうまく使っているのもさ
すが。(しかも、ちゃんと役者にフランス語をしゃべらせているのがエライ)
後半で突然飛び出す必然性ゼロの主人公によるエッチなダンスも、デ・パルマ
監督にとってはきっと必然なんでしょう。ホント、これは彼にしかできない映
画なのだ。

そして、スクリーンの緊迫感を増すのが主演のレベッカ・ローミン=ステイモ
スの演技。最近では『Xメン』のミスティーク役で注目されましたが、今回の
悪女ぶりは実に堂に入ったもの。背筋がゾッとするほどのコワサです。バンデ
ラスの前でエッチダンスまで披露。うーむ、ようやるわい。 (⌒^⌒)b

しかも、彼女、この映画ではもう一役を演じています。ま、早い話が、その自
分にそっくりな女に成りすまして、そのまま成り上がっちゃうんですが、こう
いう話自体は犯罪劇として特に目新しくもありませんね。よくある悪女もの。
でも、それをデ・パルマ節でやられると、ひと味もふた味も違ってしまう。お
もしろくてスクリーンに引き込まれちゃうんです。 (゜O゜;

そして、ラストにはとんでもない大ド〜ンデン返し!!! W(゜O゜)W
おお! まさかそんな。そんなのアリかよ!?
これはねぇ、デ・パルマだから許される展開ですね。他の監督がこんなことを
したら、怒っちゃうかも。しかも、そこに至るまでのテンポがいいし、ちゃん
と伏線も張っているんだよね(ただし、もう一度観ないとわからない伏線が多
い)。

もちろん、どんなドンデン返しかは内緒ですが、「時間」が関係しているとい
うヒントだけはあげましょう。あなたには、この仕掛けがわかるかな?

ちなみにM新聞のK記者は「巨匠が自己模倣を始めたようで、ちょっと寂しい
」な〜んて書いてましたが、アンタはタダで試写会をハシゴしてるから、そん
な気楽なことが書けるんだぜ。
こちとら、1300円也を払って、「デ・パルマ節」が聞きたくて映画館に行って
るんだいッ! それが聞けたらそれだけでかなり満足なのサ! フン! 貧乏
映画ファンの思いをきちんと受け止めろ〜〜〜〜〜!!(また地雷を踏んだ発
言だったかしら?)

とはいうものの、やっぱりストーリー展開がかなり強引で、細かなアラもたく
さんある。めくるめく映像世界もいつもよりはやや迫力不足の感じ。そういう
ことを含めれば、デ・パルマ作品の中で、「特別にスゴイ映画!」てなわけで
はないですね。新しいテクを繰り出しているわけでもないし。

でもねぇ、らしさはタップリ詰まっているんだなぁ〜。デ・パルマ好きにはた
まらんですヨ。やっぱり。デ・パルマ節はちゃ〜んと聞けるので、きっちりモ
トは取れる映画でしょう。

しかし、この監督、もう何をやっても許されるな。これからも、どんどん自分
の世界を突っ走ってくださいませ。巨匠! (^o^)/

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(巨匠健在。おまけに二度観たくなる映画。ていうか、二度観ないとわからな
い仕掛けがたくさんある貧乏人泣かせの映画です。 (T^T) )
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年8月23日(土)池袋HUMAXシネマズ4にて。午後2時10分の回。


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