ファイナル・カット(THE FINAL CUT)
(2003年 アメリカ)(上映時間1時間34分) 監督・脚本:オマール・ナイーム 出演:ロビン・ウィリアムズ、ミラ・ソルヴィノ、ジム・カヴィーゼル、ミ ミ・カジク、トム・ビショップ * K's cinemaほかにて公開中。全国順次公開予定 ホームページ http://www.finalcut-movie.jp/index2.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ <ストーリー> ある日、アランとルイスという2人の少年が廃工場で遊ぶうちに、ルイスが階 下へ転落して死んでしまう。それから数十年後、成長したアラン(ロビン・ウ ィリアムズ)は、人の脳に移植して全生涯を記憶し、死後、脳から取り出され て編集されるゾーイ・チップの編集者として働いている。そんな彼のもとに、 かつての同僚が姿を現わし、企業の不正摘発のためにチップを譲渡するよう脅 迫する。その一方、アランは編集中の映像の中に死んだはずのルイスを見つけ て激しく動揺する……。 <レビュー> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 人生はすべて美しい!? 記憶をめぐるユニークなSFサスペンス 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ファイナル・アンサー?」(byみのもんた)じゃなくて『ファイナル・カ ット』ね。近未来のSFスリラーです。 なんたって発想がgood! (⌒−⌒) 人間の脳にチップを移植し、その人の全生涯の視覚と聴覚を記憶。でもって、 その人が死んだら、チップを摘出して、余計な映像を排除し「美しい人生」を 演出し、追悼上映会(リメモリー)で上映する。 その編集者がこの映画の主人公。たくさんの他人の人生を見てきたが、感情を 表に出すこともなく、淡々と仕事をこなしていく。 オープニングは彼の少年時代。心にあとあとまで残る傷を負わせた、恐ろしい 事件が描かれます。そして、やがて、大人になった彼が編集作業中の映像に、 封印してきた暗い記憶を甦らせる映像を発見。 同時に、反対運動に身を投じたかつての仲間から、映像を提供するように脅さ れます。そしてそして、なんとまあ、彼自身にも思っても見ない秘密が明らか になって……。 死んでしまえば誰でも「いい人」。それが行き着けば、近い将来こんなことだ って起きるかも……という現実感を漂わせたSF。全体を包むミステリアスな 雰囲気がたまりません。得体の知れない恐怖がジワジワと広がります。 ( ̄□ ̄;)!! ベテラン撮影監督タク・フジモトによる映像も、アヤシイ雰囲気があって見応 えタップリ。チップを移植された人の視覚をそのまま映した、ユニークな映像 も登場します。 ただし、後半はやや失速した感じ。スリラーとしては、ラストはもうひとヒネ リあったほうが良かった気がします。せっかくあそこまでコワさを持続させた んだし……。 無名のオマール・ナイーム監督の視点は、スリラーとしてのおもしろさよりも、 記憶というものの曖昧さや、人生を美化することの虚しさなどに向いていたの かもしれません。 主演のロビン・ウィリアムズは、善人役が多かった昔なら、こんなコワ〜イ役 はできなかったでしょうね。 ミラ・ソルヴィノ、ジム・カヴィーゼルもさすがに存在感のある演技を披露し ています。 スリラーとしてだけ観ると、やや物足りなさを感じるものの、発想のユニーク さとテーマ性で、まずまずおもしろい映画になっています。 でも、ボクはあんなチップはお断り。だって、良いことばっかりじゃなく、あ んなことやそんなことまで記憶されちゃうんだから。恥ずかしぃ〜〜!! (/。\) 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆(+1/2★) (まあまあ、それなりによくできたスリラーです。発想のユニークさが光ります。) <ぽち> 〔鑑賞データ〕 2006年1月9日(月)k’s Cinemaにて。午後12時45分の回 |