フロム・ヘル (FROM HELL)
（2001年 アメリカ）（上映時間２時間４分）
監督：ヒューズ・ブラザーズ
出演：ジョニー・デップ、ヘザー・グラハム、イアン・ホルム、ジェイソン・
フレミング、ロビー・コルトレーン、レスリー・シャープ、スーザン・リンチ
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＜ストーリー＞
1888年、深夜のロンドンで娼婦が惨殺される。予知能力を持つとされるアバー
ライン警部（ジョニー・デップ）が捜査にあたるが、それをあざ笑うかのよう
に犯人は猟奇的な犯行を重ねていく。必死で事件を追及する警部は、やがて上
流階級の人々が集うある秘密結社の存在に行き当たるのだが……。
＜レビュー＞
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映像はイケてるものの、ホラーとしてもサスペンスとしても中途半端
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19世紀末にロンドンの人々を震え上がらせた「切り裂きジャック」による猟奇
殺人事件。今も真犯人がわかっていないこの事件をテーマにしたホラー・サス
ペンスがこの映画。実話をふまえながら、事件の真相については大胆な脚色を
施しています。
1888年のロンドンで、ある娼婦が惨殺される。
捜査にあたるのはアバーライン警部。予知能力を持つといわれる彼は、鋭い分
析で事件に迫っていく。
娼婦仲間のメアリ、ヴィクトリア女王の主治医を務めるウィリアム卿など様々
な人々と接触、上司の圧力にも屈せずに捜査を進めるアバーライン。
だが、それをあざ笑うかのように殺人は繰り返されていく。しかも、遺体はノ
ドをかき切られ、内臓が正確にえぐられていた。
やがて５人の娼婦が犠牲者になったとき、アバーラインはついに事件の鍵を握
るある組織の存在に行き当たる……。
さて、この映画の最大のウリは映像だと思います。
世紀末のロンドンの重苦しく、薄汚れた感じがとってもよく表現されている。
印影の濃い映像が不気味でヘヴィー。路地裏で起きるコワ〜イ事件をますます
恐ろしく見せてくれます。当時の風俗を再現した美術や衣装もイイ感じですね
ぇ〜。 (#^.^#)
また、細かなテクを駆使したキレたタッチの映像も、要所要所で効果を発揮し
ています。
飛び散る鮮血、ぶどうの房の小枝、死体を切り刻むリストン・ナイフ……。印
象的なシーンが次々に登場するのでどうぞお見逃しなく。
そして、なんといってもジョニー・デップ！
今回彼が演じるアバーライン警部は、有能だが心に傷を持ち、それが原因でア
ヘンにのめり込んでいる。現実に起こることを事前に夢の中で見るという不思
議な能力も持っている。こんな変わった人物は、他の人じゃなかなか演じられ
ませんよねぇ〜。
エキセントリックな役をやらせたら誰もかなわないだけに、今回もまさにハマ
リ役。『スリーピー・ホロウ』の刑事に通じるところもあったりして、ジョニ
ーの魅力が爆発だッ！ (^-^)/(((((((((●〜* ドッカーン！
おまけに、イアン・ホルム（『炎のランナー』『裸のランチ』『ハムレット』
など）、ジェイソン・フレミング（『ロック、ストック＆トゥー・スモーキン
グ・バレルズ』『スナッチ』『ロブ・ロイ／ロマンに生きた男』など）、ヘザ
ー・グラハム（チェン・カイコー監督のハリウッド進出第一弾『キリング・ミ
ー・ソフトリー』に主演）など他の出演者も見応えある演技をガガーン！と披
露しておりまするゾ。
と、ここまではいいんですヨ。
だけど残念ながら、観終わって不完全燃焼の部分がたくさん残っちゃいました
。肝心のドラマが物足りないんですよねぇ〜。 _(・。・)φ
まず、ガマンできないのがホラー・サスペンスなのに、あんまりコワくもない
し、スリリングでもないところ。
これって、たぶんテンポの悪さが関係しているんじゃないでしょうか。いろん
なことを詰め込みすぎたために、とってもリズムが悪い。
殺人事件の犯人探しの本筋以外に、赤ちゃんと両親の連れ去り事件、それに関
連した王室の話、秘密結社のナゾ、当時の先端医学の話、さらには、アバーラ
イン警部と娼婦メアリの恋や警部の過去に起きた悲劇など、まさにギュウギュ
ウ詰めの満員電車状態。 (><) もうホント欲張りですよぉ〜〜〜〜！！
警部とメアリの恋の話なんて、どう考えても強引で不自然な展開。警部を事件
に深入りさせる仕掛けだっていうのはわかるんだけど、それにしたって……。
おまけに、なんとビックリ、ついにはあのエレファントマンまで登場ですと？
？？
それって何の意味があるんだ？ なんでこんなに詰め込むの？ 僕にはさっぱ
りわかりませ〜ん。やれやれ。 ┐(´-｀)┌
おかげで、ゾクゾクするような恐怖やスリルは、ほとんど感じられませんでし
た。
じゃ、ナゾ解きの魅力はどうかというと、これもはっきり言って中途半端。
だいたい先が読めちゃうし、捜査の過程で「オッ！」と驚かされるような推理
はな〜んもないんです。
まあ、事件の真犯人は意外っていえば意外なんだけど、それでもあれって陰謀
話なんかではよく使われるネタだもんねぇ。そんなに斬新じゃないよなぁ〜。
アバーラインが予知能力を持っているとか、心に傷を持っているなんて話も、
事件の真相解明にはほとんど意味がない。うーん、どうにも納得がいかん。
まあ、ホラー・サスペンスとしてソコソコ平均点ぐらいは行っていると思うん
ですけどね。それでも、こんな脚本じゃダメですね。せっかくの映像や役者の
演技が生きてこない。
もっとゾクゾクするようなコワサを体験させてくれるか、ナゾ解きのおもしろ
さを徹底的に見せてくれないととても満足はできません。
せっかくジョニー・デップを使ったって、この脚本じゃもったいなさ過ぎるよ
〜ん！！！ (｀ヘ´)
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（+1／2★）
（こういう不可思議な事件が好きな人やジョニー・デップのファンなら、それ
なりに満足できるかも。そのほかの人にはちょっとネ……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年１月22日（火）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後１時の回。