グレイスランド (FINDING GRACELAND)
(1997年 アメリカ)(1時間37分)
監督：デヴィッド・ウィンクラー
出演：ハーヴェイ・カイテル、ジョナサン・シャーチ、ブリジット・フォンダ、
グレンチェン・モル
【ＶＩＤＥＯ】東北新社から発売（【ＤＶＤ】は5月26日発売予定）
＜ストーリー＞
左のドアがない59年型キャデラックに乗る青年。妻を事故で亡くし、心に傷を
負っていた。車を走らせるうちに彼はあるヒッチハイカーに出会う。その男は
なんと「自分はエルビス・プレスリーだ」と主張した。エルビスの家があるグ
レイスランドに「帰る」途中だというのだ。２人はグレイスランドに向かって
旅を始める……。
＜レビュー＞
ハーヴェイ・カイテルのエルビスが最高！
太めでいかにも晩年のプレスリーみたいだけど、よく見ると全然プレスリーじ
ゃない。そんな彼が、すっかり本人になりきって熱演するものだから、思わず
ニヤリとしてしまう。(⌒―⌒)
特に往年の大スターの「そっくりさんショー」に出演するシーンが見もの。
直前まで緊張のあまりトイレで動けなくなっていたのに、いざステージに上が
るとホンモノのプレスリーも真っ青の大熱演。身振りや歌い方がとにかくそっ
くりなんだなぁ。よくぞココまで徹底したものデス。あんたはエライ！
＼(^o^)／
このショーには、ブリジット・フォンダ演じるマリリン・モンローも出演して
いる。彼女の変身ぶりがこれまたスゴイ。素顔は全然似てないのに、メイクを
するとまさにモンローそのものって感じ。
こういうシーンを見るだけでも楽しい。
ストーリー自体は地味な映画だ。
青年とプレスリーもどきオジサンの２人が、グレイスランドに向かう旅を比較
的淡々と描いている。そんなに大きな事件が起きるわけではないし、派手なア
クションもない。
だけど、それを十分に補う不思議な魅力がある。
最初はハチャメチャで、ただのおマヌケにしか見えないプレスリーもどきオジ
サン。
だが、実は彼にも重い過去があり、それが原因でプレスリーになりきっている
らしいことがわかる。
そんな彼と一緒に旅を続けるうちに青年の心に変化が訪れる。
あれこれと振りまわされながらも、オジサンの優しい心にひかれていく。
「人生はやり直しがきく」
口で言うのは簡単だけど、現実にはなかなか難しいこと。
過去と向き合い、過去を乗り越えて新しい道を進んでいくのは簡単なことじゃ
ない。
この青年もまた、「妻を死なせた」という過去の心の傷にひきずられて、そこ
から一歩も前へ進めない。
だけど、オジサンの姿を見ているうちに、少しずつ気持ちが前に向いていく。
そして、そんな２人をこちら側で見ている観客も、ポジティブな気持ちになれ
る……。
惜しいのは、せっかくユニークな設定を使っているのに、展開がありきたりな
こと。
マリリン・モンローのそっくりさんと青年が恋に落ちるところなんか、最初か
ら読めちゃったもんね。（○｀ε´○）
一度明らかになりつつあったオジサンの正体を、もう一度霧の中に包んでしま
うラストも、何だかありがちなパターン。でも、まあ、あれしかないんだろう
なぁ。
現実にはあり得ないことだらけのこの映画。一歩間違えると、ただのおバカな
コメディー映画になってしまいそう。だけど、ギリギリのところでバランスを
取ってハートウォームな物語に仕上げている。ほのぼのとした気分になりたい
人にはピッタリです。
Ｈ・カイテルの熱演を見るだけでも楽しいしネ。
《ぽちのおすすめ度》
★★★+1／2★
（さあ、みんなで一緒に叫びましょう。「キングを忘れるな！」）
＜ぽち＞