初恋のきた道 （我適父親母親／THE ROAD HOME）
（2000年 中国・アメリカ）（上映時間１時間29分）
監督：チャン・イーモウ
出演：チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チャオ・ユエリン、チェン・ハオ
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＜ストーリー＞
都会でビジネスマンとして働いているルオ・ユーシェン(スン・ホンレイ)は、
父の急死の連絡を受けて数年ぶりに帰郷する。長年、村で教師をしていた父は
、新校舎建設のために病気をおして金策に走り回り、吹雪の中で命つきたのだ
った。悲しみに沈む母は、古いしきたり通りに葬式をあげたいというのだが…
…。
＜レビュー＞
父の死で故郷へ戻った息子。悲嘆に暮れる母を見て、かつての父と母の出会い
に思いをはせる……。
というわけで、昔の出来事が話のメイン。父と母の恋物語なのだが、これがと
んでもなく純情可憐な恋なのだ。「ナンパして速攻でホテルに直行！」なんて
いうのからは想像もできない、なんともウブな恋なんですヨ。 (^。^;)
まあ、なんたって時代が時代ですからねぇ。自由恋愛なんて、めったにないこ
と。しかも、女性は何事も控えめにすることが求められる。
そんな時代に、村にやってきた20歳の新任教師ルオ・チャンユー。彼を見た18
歳の娘チャオ・ディ(チャン・ツィイー)はひとめぼれ。一生懸命、気を引こう
とする。
校舎建設にあたるチャンユーのために弁当を必死で作ったり、彼が家の遠い子
を送り届けると聞けば通り道で待ち伏せしたり。今から考えれば、あまりにも
幼くて笑っちゃうんですけどね。とにかく必死なんです。
その初々しさがなんともケナゲで、微笑ましいんですねぇ〜。 (＾。^/)
チャンユーがしばらく村を離れなければならないという時、彼に手作りの餃子
を食べさせようとするディ。必死で後を追うものの転倒してしまう。草の上に
散乱する茶碗のかけらと餃子……。う〜、泣けちゃいますよぉ〜。 (T^T)
こういう心を打つシーンの連続なんです。
ディ役にチャン・ツィイーを抜擢したのが大正解です。 (#^.^#)
このデビュー作をきっかけに、その後『グリーン・デスティニー』でブレイク
した彼女を発掘しただけで、この映画は存在価値があるゾ！
キラキラ輝くその瞳。生き生きとした表情。全身で、恋に揺れる乙女の気持ち
を見事に表現しています。
ツライ状況に陥った苦しみも、手にとるように伝わってくるんですよねぇ〜。
そんな彼女のキラメキを引き立たせるのが名監督のチャン・イーモウ。どっち
かというとオーソドックスな演出ですが、さすがにウマイ。
息子が両親のことを語っているワケだから、２人の恋の結末はもう明らか。そ
れなのに、最後まで少しも飽きさせることなく、恋の成り行きを楽しく見せて
くれます。
特にディが必死で作った食べ物をスゴクおいしく見せるなど、細かなシチュエ
ーションまで気を配って、彼女の心の動きを伝えています。
ユニークなのは、現在のシーンを白黒にして、過去のシーンをカラーにしたこ
と。この逆はよくあるけどネ。
これはたぶん白黒フィルムの方が値段が高いので、映画の大部分を占める過去
のシーンには使えなかった……んなわけないでしょッ！
要するに、両親にとって最も輝いていた頃のことを、色鮮やかに描こうという
意図によるものだと思います。このへんもサスガ。 (＾−＾)
ただし、よく考えればあまりにも理想的で、お気楽な話なのは確か。
過去から現在へ戻ったラスト近くの展開も、「そんなにうまくいくかなぁ〜」
という感じもする。
でも、現在のようなムチャクチャな時代だからこそ、この映画のお気楽さが心
を癒し、ホンワカと温かくしてくれるんじゃないでしょうか。
今の時代だからこそ輝いて見えるウブなラブ・ストーリー。たまには、こうい
う映画もいいですね。
でもまあ、罪作りといえないこともないか……。
だってサ、この映画を観た人はみんな「こんな純粋な恋がしてみたい！」とか
思うわけじゃん。でも、現実にはめったにそんなことはない。しかもすでに結
婚している人なんか、自分の夫婦関係の現状を思い浮かべて、絶望しちゃった
りもして!? 「なんでウチはこーなのよ!?」てか。
まあ、あんまり深く考えずに、このかわいらしいラブ・ストーリーを素直に楽
しみましょうネ。
汚れちまった僕たちだけど（コラコラ、読者を道連れにするな）。いいじゃな
い。たまにはこんなお気楽さも。 (＊^。^＊)
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
（チャン・ツィイーを起用しただけで合格点！ ニュー・ウェーブが続々登場
する中国映画界で、その存在感をキッチリ示すチャン・イーモウ監督でした）
＜ぽち＞
＜鑑賞データ＞
ビデオ鑑賞／ソニー・ピクチャーズ