ＨＥＲＯ(英雄／HERO)
（2002年 中国）（上映時間１時間39分）
監督：チャン・イーモウ
出演：ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー
、チェン・ダオミン、ドニー・イェン
＊丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.hero-movie.jp/
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＜ストーリー＞
紀元前200年、戦乱さなかの中国。のちに始皇帝と称する秦王の前に、無名（ジ
ェット・リー）と名乗る凄腕の剣士が出現。秦王の命を狙う３人の刺客、長空
（ドニー・イェン）、飛雪（マギー・チャン）、残剣（トニー・レオン）を倒
したと語る。彼はその経緯を語り始めるが、秦王はその嘘を見抜き……。
＜レビュー＞
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ワイヤー・アクションはやっぱりアジアが似合うのだ
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1987年、『紅いコーリャン』で監督デビュー、一貫して人間ドラマを送り出し、
最近では『初恋のきた道』（1999）『あの子を探して』（1999）『至福のと
き』（2002）などの感動ドラマ（「いいお話ねぇ〜」と言うしかない）を監督
してきたチャン・イーモウ監督。
アクション映画とは全く無縁だった彼が、50歳を超えて初めてチャレンジした
娯楽アクション映画です。
主人公は無名という剣士。秦王（のちの始皇帝）のもとを訪れた彼は、秦王の
命を狙う３人の刺客を倒してきたといい、証拠の剣を見せる。そして、その経
緯を語り出す。だが、秦王はそれが偽りだと言い出して……。
スゴイです。全編ワイヤー・アクションがサクレツしまくりです。何のためら
いもなく、ここまでやり放題というのは、初めてアクションを手がけた監督の
恐れを知らぬ態度なのか。はたまた長年たまりにたまった思いがあったのか。
(＾0＾)
そんなことはどーでもいいんですが、この映画のワイヤー・アクションは特別
です。独特の空気があって、とてもよろしい。スゴミはないけれど、美しさに
あふれているんです。最近は欧米でも全盛のワイヤー・アクションですが、や
っぱりアジアが似合うなぁ〜と思ってしまいました。
秦王にまつわる伝説を誇張した話に、劇画チックで荒唐無稽なアクションがバ
ッチリとハマっています。
「そんなこと絶対にないッ！」と思いつつ、無条件に楽しいから許せちゃう。
最初に描かれる長空と無名の闘いなんて、なんとお互いの意識の中で闘っちゃ
うんですから。なんじゃ、そりゃ！？ (*^。^*)
そして、ボクがこの映画の最大の見どころだと思うのが、スサマジイ映像美で
す。チャン監督はもともと映像から入った人で、その映像センスには高い評価
があるんですが、今回はそういう次元を越えています。
赤、青、白、黒、緑、原色をふんだんに使った鮮やかな映像は、もう芸術と呼
ぶしかありません。そのまま絵画として飾れそうなシーンが次から次へと登場
するんですから。
マギー・チャン扮する飛雪とチャン・ツィイー扮する如月との決闘シーンなん
て、あまりの美しさに口をパックリ開けたまま見ておりましたわヨ。はぁ〜〜
〜〜！！ （；゜〇゜）
よくよくクレジットを見たら、なんと撮影はあのクリストファー・ドイルさん
ではありませぬか。『欲望の翼』『恋する惑星』など、ウォン・カーウァイ監
督作品でおなじみのカメラマンで、こちらもまた映像の美しさ、キレのよさは
超一級。
映像派の監督と、スーパーカメラマンとの強力タッグ、そこに衣装デザイナー
のワダエミ（『乱』でアカデミー賞）まで加わっちまったんだから、これはも
うスサマジイ映像美も当然ですね。
世界進出作品だけにお金のかけ方もハンパではないらしく、秦の大軍による雨
アラレの弓矢攻撃など、物量作戦による迫力タップリの場面もたくさんありま
す。
役者もジェット・リー、ドニー・イェン、マギー・チャン、トニー・レオン、
チャン・ツィイーなど文句ナシに素晴らしい。「これだけの顔ぶれを揃えるの
は二度とできないんじゃないか？」と思えるほどの豪華メンバーです。
なかでも、ボク的には、マギー・チャンのあまりの美しさにクラクラきてしま
いましたですぅ〜〜〜！！ (((。O゜))))((((゜o。)))
そんなわけで１時間39分がアッという間に過ぎ去ってしまいました。
アクションと映像美が融合した見事な芸術的エンターティメント映画です。
なに？ ドラマ的にはどうなんだ？
最初に無名が、秦王から１００歩のところまで進むことしか許されなかったの
が（暗殺を恐れている）、長空を倒したことがわかって20歩まで近づくことを
許され、さらに飛雪と残剣を倒したことがわかって10歩まで接近を許される…
…な〜んて設定はユニークで楽しいですね。
それに無名の話の真偽があやふやになって、二転三転するあたりもなかなかお
もしろい。最初は無名が語り、次に秦王の推理が示され、最後に無名による真
相の告白があるんです。それを衣装まで変えて描くなんてビックリ。
でも、まあその程度であとはどうってことないでしょう。チャン監督も映像ほ
どには、ドラマ的深みを極めようという意図が感じられません。
ただし、ラストに「反戦平和」のメッセージを持ってきたのは、いかにもチャ
ン監督らしいですね。たぶんこの人、良い人なんだと思うなぁ〜。会ったこと
ないから知らんけれど（笑）。
この映画でチャン監督の幅はかなり広がりました。次は何をやってくれるのか。
とても楽しみです。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観たほうがいいんじゃない？】
（見終わった直後はもっと評価が低かったのですが、時間が経つにつれてだん
だん効いてきました。あの映像はとにかくスゴイ。ドラマ的にはともかく、映
像だけでも観る価値アリ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年８月13日（水）試写会（よみうりホール）にて。午後７時より。