ホテル・ハイビスカス
（2002年 日本）（上映時間１時間32分）
監督：中江裕司
出演：蔵下穂波、照屋政雄、余貴美子、平良とみ、ネスミス、亀島奈津樹、和
田聡宏、大城美佐子、登川誠仁
＊シネマライズほかにて公開。
ホームページ http://www.shirous.com/hibiscus/
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＜ストーリー＞
安宿ホテル・ハイビスカスを営む一家。小学生の美恵子（蔵下穂波）、働き者
の母ちゃん（余貴美子）、いつも寝てばかりいる父ちゃん（照屋政雄）、元気
なおばぁ（平良とみ）、そして父親が違う兄と姉といずれも風変わりな面々。
ある日美恵子は、友達と一緒に学校から帰る途中、道ばたでバッタリ倒れた青
年を見つけ、自宅に連れていくが……。
＜レビュー＞
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元気印の沖縄の少女に明るく元気にしてもらえる映画
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子供を使った映画を観ると「ずるいよなぁ〜。動物と子供には勝てないもんな
ぁ〜」と思ってしまうのだが、この映画に登場する女のコはそういう次元をは
るかに越えている。その存在感は圧倒的で、良くも悪くもこの映画を彼女の映
画にしてしまっているのだ。
前作『ナビィの恋』が大ヒットした中江監督が再び沖縄を舞台に描いたこの映
画。主人公の美恵子は、元気でやんちゃな小学生。父、母、兄、姉、祖母とと
もに暮らしている。子供らは全部父親が違う！
そして彼らが営むのは、沖縄料理付きで１泊3000円。でもお客さんが泊まる部
屋は１つだけという超個性派な安宿。そんな宿ないって！ (＾。^/)
というわけで、物語はかなりファンタジー色が強い。美恵子のキジムナー（沖
縄の精霊のようなもの）探しの冒険談を軸に、彼女と風変わりな家族との心の
交流を描き出していく。
その途中、死んだネコを食うと評判のまやー食いおばぁや、兄ケンジの実の父
親に出会ったり、母ちゃんと姉サチコがサチコの実父に会いにアメリカへ旅立
ったり、アメリカ滞在中の母ちゃんから届いたハガキをパイン畑の手伝いに出
かけた父ちゃんに届けたりと、いろんな出来事が起きるワケ。
そこに流れるのは『ナビィの恋』同様に、おおらかで、開放的で、ひたすら明
るい雰囲気。抜けるような青い空や白い雲といった沖縄の大自然も生き生きと
活写され、観ているものの心をウキウキさせてくれます。 ｏ（＾ｏ＾）ｏ
とにかく美恵子役の蔵下穂波がスゴイんですよ。3000人以上のオーディション
で選ばれたっていうんですが、まるで生命力の塊のようなコ。イタズラ好きで
、男の子も従えちゃうガキ大将で、バカな冗談を言ったり、くだらない替え歌
を歌ったりばかりしている。そのパワーときたら超ド級。観ているだけで元気
が出てきます。
そして、彼女の家族もみんなスゴイ。父親の違う３人の子供を育てる母ちゃん
。怠け者だけれど、母ちゃんを愛する父ちゃんをはじめ、みんなクセモノ。
特に光るのは母ちゃん役の余貴美子。まさに太陽みたいなスケールのデッカイ
母親役を全身で演じています。父ちゃん役の照屋政雄、おばぁ役の平良とみな
ども、みんな存在感のある演技です。
デタラメだけれど、しっかりと結びつきあっている家族。その日常生活を観て
いるだけでゲラゲラと大笑いしてしまいました。 (＾0＾)
クライマックスはお盆の出来事。美恵子が不思議な体験をします。それを通し
て、戦争の悲惨さがさりげなく伝わってきます。「花で戦ったら戦争にはなら
ない」というセリフにはギクッとさせられます。こうして反戦メッセージや米
軍基地の現状などが無理なく取り込まれているのも、この映画の大きな特徴。
ただ残念なのは、全体の流れが寸断してしまうところ。いくつかのエピソード
に分割して描かれているんですが、うーん、これって不要なんじゃないの？
流れが止まっちゃうだけじゃなくて、エピソードごとの出来不出来が目立っち
ゃって、ちょっと興ざめしちゃうんですよね。 (｀ヘ´)
それから、謎の宿泊人の能登島が、ただの盛り上げ役にしかなっていないのも
もったいないよなぁ〜。せっかくああいう形で登場させたなら、彼の背負って
いるものを見せて、さらに深いドラマを展開することもできたと思うのだが。
ということで、感動のドラマとしてはちょっと不満なところがあります。ファ
ンタジーっぽい部分が多いのに、それが素直に感動につながっていかないのが
もどかしい。主人公の女のコのパワーが強烈過ぎるんだよね。
ですが、楽しく笑える映画なのは間違いナシ。元気な美恵子ちゃん一家を観て
ゲラゲラ笑いながら、明るく前向きになれる。それだけでモトはとれるかも。
（その代わり、この映画を観て沖縄に行きたくなって、出費が増えても知〜ら
ないっと。 (*^。^*) ）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
（『ナビィの恋』ほどの感動はありませんが、元気度とお笑い度はさらにアッ
プしています。元気になりたい方はどうぞ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年７月５日（土）シネマライズにて。午後３時の回。