ハッカビーズ（I HEART HUCKABEES）
| （2004年 アメリカ）（上映時間1時間47分） 監督・製作・脚本：デヴィッド・O・ラッセル 出演：ジュード・ロウ、ナオミ・ワッツ、ダスティン・ホフマン、リリー・ト ムリン、マーク・ウォールバーグ、イザベル・ユペール、ジェイソン・シュワ ルツマン、ティッピ・ヘドレン、タリア・シャイア、シャナイア・トゥエイン ＊ 恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほかにて全国公開 ホームページ http://www.huckabees.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 環境保全団体の支部長アルバート（ジェイソン・シュワルツマン）は、森と沼 地を守るため、巨大スーパー・ハッカビーズのエリート社員ブラッド（ジュー ド・ロウ）による新店舗建設を阻止しようとする。アルバートは「敵を知るた めにはまず自分から」と、哲学探偵夫婦（ダスティン・ホフマン＆リリー・ト ムリン）に自分自身を探偵してもらう。だが、そこに探偵夫婦の宿敵、謎のフ ランス人女（イザベル・ユペール）が現れて……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ダメダメ人間総登場で送るコメディー仕立ての人間ドラマ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 前作『スリー・キングス』(1999)がヒットしたデヴィッド・O・ラッセル監督の 新作。それほど予算があるとは思えない映画なのに、これだけ豪華な俳優陣が 揃ったのも、それだけラッセル監督が評価されているからでしょう。 ジュード・ロウ、ナオミ・ワッツ、ダスティン・ホフマン、リリー・トムリン、 マーク・ウォールバーグ、イザベル・ユペールなどが顔を揃え、人気歌手シャ ナイア・トゥエインも本人役で登場というのですから。 映画の舞台となるのは、手頃な価格で何でも揃うスーパーマーケット「ハッカ ビーズ」。ここのエリート社員ブラッドは、田園地帯に新店舗を建設する計画 を進めている。しかし、環境保護活動家アルバートは、その計画中止を求めて いた。 な〜んていうと、環境保護の大切さを訴えたマジな映画かと思うかもしれませ んが、そうではありません。全編が人を食った笑いに満ちたコメディー。 まず笑えるのが不思議な登場人物の数々。 ジェイソン・シュワルツマン演じる環境保護活動家アルバートは、何度も遭遇 するアフリカ人のことが気にかかり、ダスティン・ホフマン＆リリー・トムリ ン演じる探偵夫妻に相談する。 ところが、その探偵夫妻ときたら、かなりアブナイ。「哲学探偵」と称して、 深い哲学的な洞察をするというのだが、やってることは盗聴だの、尾行だの。 それもすぐにバレるミエミエの行動ばかり。 そして、彼らと対立するのが、イザベル・ユペール演じる妖しげな女カテリン。 小難しいことをいうもののヤケに色っぽい。そしたら、案の定アララララ……。 そのほかにも、ジュード・ロウ演じるエリート社員ブラッド、ナオミ・ワッツ 演じるその恋人、マーク・ウォールバーグ演じる石油消費を拒否する消防士な ど、とにかく登場する連中がみ〜んなダメダメだったり、アホアホだったりす るのだ。 ┐(´-｀)┌ そういう人たちが巻き起こす、あれやこれやの数々をシニカルな視点で描いた コメディで、かなり笑えてしまいました。ゲラゲラ笑いじゃなくて、クスクス 笑いがずっと続くのネ。コメディーとしての質はけっこう高いと思います。 ときどき、彼らの頭の中を再現した不思議な映像なども織り込まれるので、ま すます楽しくなってしまいます。 同時にこの映画は人間ドラマも描いています。 最初のうちは、「楽しいのは楽しいけれど、何にもテーマ性がないじゃん」と 思っていたのですが、観ているうちにそうではないことがわかりました。 要するに、悩みを抱えて自分を見失い、他人に頼ることでそれを解決しようと する人たちを痛烈に皮肉っているんですヨ。主人公のアルバートしかり、その 敵のブラッドしかり、消防士トミーしかり。 エンドタイトルの後に、監督の意図が明確にメッセージとして示されます。 「自分は自分でしかないのだ」と。そんなの当たり前じゃん！ と思うかもし れませんが、ボクを含めて、すぐに自分を見失って、しょーもない行動ばかり する人間がいかに多いことか。 (-＿-) 「完璧な人間なんかいないのだから、もっと自分に自信を持って前向きに生き てみなよ」てな監督の声が聞こえてきそうです。人間ドラマとしてもなかなか の出来。 まあ、ボクは、こういうダメダメ人間の映画が好きなので、その分点数は甘く なってしまうのですが、それを割り引いてもおもしろい映画だと思います。 ただし、表面は難解な雰囲気が漂うのでご注意を。逆に、あんまり難しいこと を考えずに観たほうが楽しめるかもネ。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆（＋1／2★） （コメディーとしても人間ドラマとしても、なかなかイケてます。豪華キャス トの笑える演技も見どころ。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年８月22日（月）新宿武蔵野館にて。午後12時10分の回。 |