インファナル・アフェア(INFERNAL AFFAIRS／無間道)
（2002年 香港）（上映時間１時間42分）
監督：アンドリュー・ラウ、アラン・マック
出演：アンディ・ラウ、トニー・レオン、アンソニー・ウォン、エリック・ツ
ァン、ケリー・チャン、サミー・チェン、
＊渋谷東急ほかにて全国公開
ホームページ http://www.infernal.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
18歳のラウ（アンディ・ラウ）はマフィアの幹部サムの命を受け、内部情報を
探るために警察学校に入学する。一方、警察学校在学中から能力を見込まれた
ヤン（トニー・レオン）は、黒社会への潜入捜査を命じられる。それから約10
年の月日が流れ、警察は麻薬取引の摘発と組織の壊滅を狙って動き出す……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これはスゴイ！ 善と悪が交差する超一級品の香港ノワール
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この映画はスゴイです。 Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
これまで数々のフィルム・ノワール（闇の映画）を生み出してきた香港映画界
。その中でも、超一級品の香港ノワールです。緻密な脚本、情感にあふれた演
出、存在感を際立たせた俳優陣。どれをとっても世界クラスの映画だと思いま
す。 (^-^)
主人公はマフィアの子分ラウと警察官のヤン。それぞれが警察とマフィアに潜
入する。
10年の時を経て、警察とマフィアの一大決戦が開始され、ラウとヤンはそれぞ
れの立場で活動を展開する。
だが、マフィアでありながら警察の仕事をし、警官でありながらマフィアの仕
事をするという複雑な日常の中で、２人の心は徐々に乱れていく……。
潜入捜査官というネタは珍しくも何ともない。
警察に潜入したヤクザという設定も目新しくはない。
でも、この両者を合体させたことで、実に魅力的な物語が生まれたんですねぇ
〜。まるで合体ロボ！？ (＾。^/)
まずはオープニングがいいゾ！
究極の地獄を示す仏教用語（無間道）が語られ、この物語の全体像が暗示され
る。
続いて、仏の前でマフィアのボス・サムが、これから警察学校に潜入しようと
いうラウたちに語りかける。「自分の道は自分で決めろ！」。
この言葉があとあとの展開を左右する重要なキーワードになるんですヨ。
その後は、潜入捜査官ヤンと警察に潜入したラウの姿が並行して描かれます。
その緊張感ときたらスサマジイものがある。
特に前半の麻薬取引の場面は手に汗握るシーン。警察ＶＳマフィアの戦いの中
で、ヤンとラウがそれぞれギリギリの駆け引きをくり広げる。パソコン、ケー
タイ、モールス信号。さまざまなアイテムが効果的に使われ、犯罪劇のスリル
がタップリ。 σ(^◇^;)
後半は、「誰が潜入捜査官なのか？」を突き止めようとするラウと、「警察に
潜入したマフィアは誰なのか？」を探るヤンが並行して描かれる構図。両者の
せめぎ合いは緊迫感にあふれ、一瞬たりとも目が離せません。まさに男と男の
対決だッ！ (＾o＾)／
そして、忘れてはならないのが２人の人間ドラマ。
ラウとヤンは、善と悪の立場は違っても似た者同士。どちらも自分とは反対の
立場の組織で、身分を偽り、平静を装いながらスパイ行為を続ける。その二重
生活に孤独を感じ、悩み、苦しみ、もがいている。こういうキャラクター設定
が、ドラマに厚みを加えています。
たとえば潜入捜査官ヤンは、10年近くも続くこの生活に疲れている。それでも
、上司の命を受けてマフィアの情報を探る。正義のためとはいえ、悪の仲間に
加わる心苦しさ。身分がバレるのではないかという恐怖感。そんな複雑な心理
をトニー・レオンが見事に表現しています。うーん、男だぜッ！
一方、警察に潜入したマフィアのラウは、警察内部でどんどん出世し、恋人と
の結婚も間近。立身出世と平和な家庭がすぐそこにあるのに、悪の手先として
働くことの苦しみ。はたしてこのままでいいのか、という迷い。
そんな屈折した思いをアンディ・ラウがキッチリ見せてくれます。うーん、こ
っちも男だぜッ！
しかも、それをセリフで語るんじゃないんですよね。ビミョーな表情やしぐさ
で表現する。
ラウの上司役のアンソニー・ウォン、ヤクザのボス役のエリック・ツァンとも
ども、素晴らしすぎる演技です。
正体は警察官のヤンがワイルド系で、正体はマフィアのラウが超エリートタイ
プという皮肉な描き分け方もいいんですよねぇ〜。
なになに？ 潜入捜査官だの、マフィアだのと、正体をバレバレにしちゃって
いいのかって？
いい〜〜〜〜んです！！！ だって、この映画、最初からそういうネタを全部
バラしちゃっているんだもん。
おまけに、けっして、ドンドンパチパチの激しい銃撃戦や、ドハデなアクショ
ンシーンがテンコ盛りってワケでもない。
なのに、ちっとも飽きることはない。最後までグイグイ引きこまれてしまう。
ホントによくできた映画なのだ！
全体を貫く暗めの雰囲気もなんともいえません。ちょっと昔のフランス映画の
ような感じもします。
映像もいいんですよ。色あせたような、くすんだ感じの映像がこの映画にピッ
タリ！
クライマックスも、ありがちな展開とはいえ少しも陳腐な感じを抱かせません
。善と悪が交差する微妙なエリアで、情感漂うドラマを展開している。
善人だけど悪人、悪人だけど善人という複雑な設定が、ここで一挙にスパーク
します。
ラストの後日談は、よけいかなとも思ったのですが、あれがあることで観客を
ホッとさせてくれるし、あれがないとケリー・チャンがなんのために出てきた
かわかんなくなっちゃうからね。まあ、ケリー・チャンの美しさに免じて許し
てあげましょう。 (*^．^*)
てことで、長々と駄文を書いてまいりましたが、たくさん書きたくなるほど素
晴らしい香港ノワールなのヨ。その気持わかってね。 (^_-)-☆
ハデなところは全然ないけれど、ジワジワ迫ってくるドラマに酔いしれました
ぜ。 Ｕ＼(●~▽~●)У
この映画、さすがにハリウッドが放っておかずリメイクが決まったそうです（
ブラピ主演のウワサ）。でもなぁ、ハリウッドのヤツラったら、どうせロクで
もない映画にしちゃうんだろうなぁ。（てのは、偏見ッスか？）
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ！ みんな観てねぇ〜】
（超一級のフィルム・ノワール。このテの映画が苦手な人以外は必見だ！）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年10月11日（土）シネマサンシャインにて。午後１時45分の回。