インファナル・アフェア 無間序曲
(INFERNAL AFFAIRSII)
（2003年 香港）（上映時間１時間59分）
監督：アンドリュー・ラウ、アラン・マック
出演：エディソン・チャン、ショーン・ユー、カリーナ・ラウ、エリック・
ツァン、アンソニー・ウォン、フランシス・ン、チャップマン・トゥ
＊シネマスクエアとうきゅうほかにて全国公開
ホームページ http://www.infernal.jp/
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＜ストーリー＞
1991年。尖沙咀に君臨する香港マフィアの大ボス、ンガイ・クワンが暗殺され
る。混乱に乗じて離反をもくろむ配下のボス４人を抑え、クワンの跡を継いだの
は次男のハウ（フランシス・ン）だった。そんな中、もう１人のボス、サム（エ
リック・ツァン）は、しばし静観を決め込みチャンスを待つことにする。そのた
めに子分のラウ（エディソン・チャン）を警察に潜入させようとするのだった。
一方、警察の組織犯罪課のウォン警部（アンソニー・ウォン）は、マフィアの動
静を探るために、クワンの私生児であることが発覚して警察学校を退学処分にな
ったヤン（ショーン・ユー）を潜入させるのだが……。
＜レビュー＞
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香港フィルム・ノワール史に残る前作に匹敵する濃密さと緊迫感だッ！
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香港フィルム・ノワールの歴史に残る１作『インファナル・アフェア』の続編
です。歴史に残る映画を１作でやめずに、もう１作、いやこのあともう１本ある
から計３本もつくってしまうというのは、さすがにしたたかな香港映画という感
じ。でも、この続編はムリムリつくったワケではなく、必然性のあるものになっ
ています。なにしろ、前作では潜入捜査官ヤンと、逆に警察に潜入したマフィア、
ラウの若き日がすっぽりと抜け落ちてましたからねぇ〜。
ということで、若き日の２人が描かれるのですが、実は２人よりも目立ってい
るのが脇役陣。ヤンの上司で警察の組織犯罪課のウォン警部、彼の警察仲間のル
ク、ラウのボスであるサム、サムの女マリー、父の跡を継いだマフィアのドン・
ハウといった人々のドラマがこの映画の中心なんです。
前作もそうだったのですが、この映画の特徴はスサマジイ濃密さと緊迫感。一
瞬たりともダレるところがありません。人物の陰影もクックリしていて、ドラマ
に深みが感じられます。ディテールにこだわった描写も見事。 (^-^)//""
物語自体は“潜入捜査官ＶＳ潜入マフィア”というユニークな設定を除けば、
殺し殺され、裏切り裏切られ、陰謀渦巻く黒社会と警察との対決……というこの
テの犯罪映画の定番の連続。
でもねぇ、それをここまで密度の濃いスリリングな映画に仕上げてしまうのだ
から、たいしたもの。それも２作続けてなんて、スゴすぎますぜ。
しかも、前作の登場人物が、いかに重たいものを背負っていたかがよーくわか
って、前作のスゴさが再認識される映画なのです。 (~ヘ~;)
特にウォン警部のドラマは見応えタップリ。演じるのは、劇画の「ゴルゴ13」
みたいに濃い顔のアンソニー・ウォン。この人の苦悩漂う表情がたまらんのです
ヨ。
それに負けない存在感なのが、マフィアのサム。演じるエリック・ツァンはち
ょっと見、ただの太っちょオヤジ。でも、この人、マギー・チャンと共演した
『ラヴソング』など、絶対に忘れられない演技をするんですよねぇ〜。
そのほかにも、フランシス・ン、カリーナ・ラウ、フー・ジュンなど、み〜ん
な見事な演技です。
前半の張り詰めた雰囲気が、後半になって一気にハジけ、ある惨劇をきっかけ
に登場人物の運命が激変していく後半。前作につながる映画だけに、結末はわか
っているのに、ちっとも退屈するところがありません。
ハウをはじめとするマフィア一家の物語では、思わずあの『ゴッドファーザー』
を連想してしまいました。
香港返還という大きな背景を適度に盛り込んだところも印象に残ります。
まあ欠点といえば、人間関係がかなり複雑なので、最初のうちは混乱してしま
うところかな。特に前作を観ていない人は「なに？ これ」という感じだと思う
ので、前作を観ておくことは絶対条件でしょう。
それから若き日のヤンを演じるショーン・ユーとラウを演じるエディソン・チ
ャンの２人は、なかなかのイケ面で日本でも人気が出そうですが、存在感という
点ではさすがに周囲に負けています。
どうせなら前作のトニー・レオンとアンディ・ラウに若作りさせて演じさせて
もよかったのでは？ な〜んて思ったりもしましたが、そうなると周囲の脇役の
ドラマが影が薄くなっちゃったかもね。
まあとにかく、前作に引き続きケタはずれの濃密さと緊迫感にノックアウトさ
れてしまいました。この映画なら5000円、前作と合わせて１万円ぐらい払っても
いいゾ！（金ないから払わんけど） “フィルム・ノワールはかくあるべし！”
と叫びたくなるような映画なのでした。 (＾o＾)／
エンドタイトルのあとに、次回最終章の『インファナル・アフェア 終極無間』
（なんちゅうタイトルや！）の予告が流れるんですが、トニー・レオンとアンデ
ィ・ラウも帰ってくるし、これはもう絶対に見逃せませんッ！ ｏ（＾ｏ＾）ｏ
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ！ みんな観てねぇ〜】
（このテの犯罪映画・黒社会映画が苦手な方以外は必見。見応えタップリです。
エンドタイトルのあとの予告編も見逃すな！！！）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2004年９月18日（土）池袋シネマサンシャインにて。午後１時20分の回。