インファナル・アフェアⅢ 終極無間
(IINFERNAL AFFAIRS Ⅲ)
| （2003年 香港）（上映時間１時間58分） 監督：アンドリュー・ラウ、アラン・マック 出演：アンディ・ラウ、トニー・レオン、レオン・ライ、チェン・ダオミン、 ケリー・チャン、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、チャップマン・ト ウ、エディソン・チャン、ショーン・ユー、カリーナ・ラウ、サミー・チェン ＊ 渋谷東急ほか松竹・東急系にて全国公開 ホームページ http://www.infernal.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ マフィアでありながら警察に潜入したラウ（アンディ・ラウ）と、捜査のため マフィアに潜入した警察官ヤン（トニー・レオン）。ふたりの対決は、ヤンの 殉職という結末に終わる。それから10ヶ月後、善人として生きる決意をしたラ ウは、警察の中に潜入したマフィアを見つけて、始末しようとしていた。その ラウの前に保安部に所属するエリート警視ヨンが現れる。ラウはヨンをマーク し、身辺を探るが……。 ＜レビュー＞ ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ オマケの怪作！ これだけじゃなんだかわかりませんけど ～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ 香港フィルムノワールの傑作『インファナル・アフェア』の完結編。１作目は、 若き日のラウとヤンから、潜入のベテランになった２人に一気に話が飛んでい たので、その中間の日々を描いた２作目には必然性がありました。 でも、この映画って必然性があるのか？ 最初から企画されてはいたようだが、 なんだか無理に考えたオマケ映画のような気がしちゃうんだよなぁ～。 物語としては、１作目で潜入捜査官ヤンと対決して、ヤンの殉職という悲劇的 な結末に直面したマフィアのラウが、警官として生きる決意をして、他の潜入 マフィアを見つけて始末しようとするところから始まります。 といっても、主要な登場人物の多くは、１作目で死んじゃっているので、その ままじゃ話になりません。よって新キャラ登場～～～～～！！ ラウの前に現れたのは、レオン・ライ演じるエリート警官ヨン。彼はチェン・ ダオミン演じる中国の密輸商人シェンと通じていて、どうもワル警官っぽい感 じ。そこで、ラウはヨンの行動を探って、正体を暴こうとするのだが……。 ただし、この１作目の後日談だけじゃ、なんだか物足りないってことで、現在 進行形のドラマに加えて、過去の出来事だの、想像の中のシーンだの、いろん なものがゴジャゴジャに入り乱れて時制がバラバラ。どうにもわからん状態な のだ。（*￣0￣*） ちゃんと『Ⅰ』『Ⅱ』を観たボクは、ほぼ理解できましたけど、そうじゃない 人にはチンプンカンプンなことでしょう。たぶん。 今回の大きなウリは、前２作のナゾが解き明かされるということだが、それも、 無理無理つくったみたいなネタが多くて、ドキリとするほどには至らず。 「ふーん、そうなの……」てな感じで、前２作に対する理解はそれなりに深ま りますけどネ。 一方、この映画の最大の魅力は、前２作同様に、一瞬も途切れない緊張感とミ ステリアスさ。演出がハンパじゃなく上手すぎです。 (^o^) 特にラウＶＳヨンの対決は、まさに息詰まるような白熱の対決。その中で、だ んだんコワれていくラウの姿も、これまた見応え十分なのだ。 ラウが、ヤンと自分を同一化し始めるあたりも、なんだかスゴミが感じられて、 背筋がゾクゾクきちゃいました。 彼の心象風景をリアルに切り取って、香港映画というよりは、まるでインデ ィーズの実験映画みたいなノリなんだもん。 おまけに、過去のシーンがたくさん出てくるので、１作目で死んだヤン、ウォ ン警視、マフィアのボス・サム、子分のキョンなども大活躍するサービスぶり。 そして、ラストに明かされる意外な真実。ちょっと強引な感じはするものの、 このドンデン返しには、けっこうビックリさせられました。シリーズ全体の結 末としても妥当なもの。ほーお、そうだったのかぁ～。 アンディ・ラウ、トニー・レオンは相変わらずカッコいいし、アンソニー・ウ ォン、エリック・ツァン、チャップマン・トウといったあたりも、過去２作に 引き続いて存在感バツグンの演技。そして、新登場のレオン・ライ、チェン・ ダオミンも重みのある演技で二重丸。こういう役者さんたちの素晴らしい演技 を楽しめるのも、このシリーズの魅力。 今回、ウレシかったのは、死んだヤンを治療したリー医師がテンコ盛で登場す ること。ケリー・チャンがキレイすぎるんだよねぇ～。あの大きな目がたまら んのどすえ。香港ナンバー１、いやアジアナンバー１の美しさかも（てのはホ メすぎか！？）。 まあ、リー医師の記録から、生前のヤンと彼女とのロマンスが延々と描かれる あたりは、ややダレる感じでバランスが悪いのですが、ケリー・チャンの美し さに免じて許してあげませう。 (o^v^o) てことで、『Ⅰ』が大好きになり、『Ⅱ』にも納得した僕にとっては、けっこ う楽しめるおもしろい映画でした。 完結編でありながら、シリーズ中最もアヴァンギャルドな香りが漂うブッ飛ん だ映画なのも、ボクの好みにピッタリ。 しかし、『Ⅰ』『Ⅱ』を観ていない人にはサッパリわからんはずなので、予習 は絶対に必要です。『Ⅰ』『Ⅱ』を観た人も細かいネタが多いので、復習して から行ったほうがいいんじゃないかなぁ～。 この映画だけ観てもまったく意味ナシ。単体では評価のしようもないのですが、 シリーズ全体を通せば間違いなく傑作。特に一作目は必見ですので、まだの人 はぜひどうぞ。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （この映画自体の評価を無理にすればこの程度だが、シリーズ全体では間違い なく★★★★☆以上は行きます。前２作と合わせて楽しみましょうネ。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年４月16日（土）ワーナー・マイカルシネマズ板橋にて。午後１時の回。 |