イン・ハー・シューズ(IN HER SHOES)
| （2005年 アメリカ）（上映時間２時間11分） 監督：カーティス・ハンソン 出演：キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、 マーク・フォアスタイン、リチャード・バージ、ブルック・スミス ＊有楽座ほかにて全国公開 ホームページ http://www.foxjapan.com/movies/inhershoes/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 美人だが、定職はなく、デタラメな生活を送るマギー（キャメロン・ディア ス）は、義母に実家から追い出され、有能な弁護士の姉ローズ（トニ・コレッ ト）のアパートに転がり込む。だが、ある日、ローズの留守中に彼女と親しく しているジムをベッドに誘ったのがバレて、マギーはアパートをたたき出され てしまう……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カーティス・ハンソンの職人芸が光る正反対姉妹のポジティブな人間ドラマ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カーティス・ハンソン監督って、本当に巧い監督だよなぁ〜。 『ゆりかごを揺らす手』『激流』『Ｌ．Ａ．コンフィデンシャル』『８Ｍｉｌ ｅ』など、サスペンス、犯罪モノ、音楽モノ、人間ドラマと何でもござれ。ジ ャンルを問わず、ちゃ〜んとした映画をつくっちゃうんだからサ。 今回の映画も実に良く出来ています。観終わってポカポカと温かく、ちょっぴ り涙する人間ドラマ。 (⌒-⌒) 主人公は正反対の姉妹。 姉ローズと妹マギーは、靴のサイズが同じことや、幼い頃に母を亡くした悲し い思い出を持つこと以外は共通点ナシ。ローズは大手法律事務所に勤める弁護 士だが恋愛にはオクテ。一方、マギーは、仕事も持たず、美貌だけを武器に生 きるデタラメ人生。 実家を追い出されたマギーがローズの家に居候するものの、姉が親しくしてい た男性を寝取ったことから仲違い。マギーは家を追い出されてしまう……。 ハンソン監督の特色は、やっぱり人間描写の確かさでしょう。ローズとマギー の姉妹を中心に、今回の登場人物もみんな生き生きと描き出されています。前 半は、どこかで見たことのあるような姉妹のケンカ話。なのに、人間が魅力的 に描かれているのでつい見入ってしまいます。タイトルにある靴の話など、小 道具の使い方も見事。 中盤以降、ケンカ別れした２人の姿が、交互に描かれるようになると断然おも しろくなってきます。 姉ローズは弁護士を辞めて、新しい恋人ができる。一方、妹マギーはまだ見ぬ 母方の祖母に会いに行き、そこで老人たちと触れ合ううちに今までとは違う生 活を送るようになる。 要するに、どちらも人生をリセットするワケ。それによって、今まで見えなか ったものが見えてきたりするのです。 妹マギーのリセットに大きな役割を果たすのが引退した老人たち。若々しくて， 口が達者な彼らの姿は魅力的。マギーならずとも、彼らとの触れ合いを通して 変わっていくのは十分に納得できます。 また、マギーの読書障害というトラブルも、後半のしみじみした展開に大きく 貢献しています。元教授から本を読むことを教えられた彼女が、詩を朗読する 場面は感動的でホロッとしそう。 ハンソン監督の演出はちっとも突飛ではないけれど、堅実にドラマを盛り上げ て行きます。脚本も良く出来ています。含蓄のあるセリフがとても印象的。話 の結末はほぼ見えているけれど、人物の動かし方と味のある語り口で、最後ま で心地よく見せてくれました。まさに職人芸。 観終わって感じるのは肉親の絆の強さ。そして、人間はどんなに傷を負っても、 生き直して再生できるというポジティブなメッセージ。ホントにポカポカと心 が温かくなってくる映画です。 (o^-^o) 正反対の姉妹を演じたキャメロン・ディアスとトニ・コレットの演技も良かっ たけれど、ボクがイチ押しなのは祖母役の名女優シャーリー・マクレーン。奥 行きと幅を感じさせる演技が、この映画をピシッとしめています。そのほかの 老人役の役者さんたちの貫禄ある演技も印象的でした。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （自分をリセットして生き直してみることの大切さを伝えてくれるヒューマン ドラマ。評価がこの程度なのは、ボクが男だからかも。やっぱり女性のほうが 共感できる映画ですね。特に姉妹のいる方は。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年11月12日（土）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ4にて。午後4時10分の回 |