アイランド(THE ISLAND)
(2005年 アメリカ)(上映時間2時間16分) 監督:マイケル・ベイ 出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ショーン・ビーン、 ジャイモン・フンスー、スティーブ・ブシェミ * 丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて全国公開 ホームページ http://island.warnerbros.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ <ストーリー> 大気汚染から救い出され、清潔なコミュニティに暮らす人々の夢は、地上最後 の楽園「アイランド」へ行くことであり、毎日行われる抽選会が彼らの最大の 関心事だった。そんな中、リンカーン(ユアン・マクレガー)は換気口から入 ってきた1匹の蛾を発見して、外の空気は汚染されているという話に疑問を抱 く。施設内を探索した彼は、やがて恐るべき真実を目撃するのだが……。 <レビュー> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 近未来社会のスパイスをまぶしたエンタメ映画の王道を行く逃亡アクション劇 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『アルマゲドン』『パール・ハーバー』のマイケル・ベイ監督の新作は、近未 来社会を舞台にしたアクション。 オープニングは主人公リンカーンの悪夢。憧れの地「アイランド」を目の前に、 海へ引きずりこまれてしまう恐ろしい夢が、鮮烈な映像とともに描かれます。 しかし、目覚めた彼を取り巻くのは、徹底して管理されたコミュニティ。壁の スクリーンに映し出される健康アドバイスに従って、管理された食事をとり、 女性用の住居棟で暮らすジョーダンと会話するリンカーン。 ここは大気汚染された地上から救い出された人々が暮らすところ。彼らの夢は 汚染されていない楽園「アイランド」へ行くこと。その抽選に一喜一憂してい る毎日。 こういう近未来社会のネタは別に珍しくもないのですが、ディテールまでこだ わった映像で見せられると、けっこうリアルに感じられます。超ハイテク社会 の裏側にある管理社会の恐ろしさが説得力を持って伝わってきます。 しかも、ここに「クローン」というリアルな要素が加わります。 1匹の蛾を発見して、地上の大気汚染に疑問を持ったリンカーンが、コミュニ ティ内部のことを調べるうちに、そこに隠された信じられないような秘密を知 るのです。 ( ̄□ ̄;)!! ここに絡んでくるのが臓器提供のためのクローンという話。最近は、実際にこ うした研究が進んでいるので、絵空事と斬って捨てられないコワさが感じられ ます。 こうしてコミュニティと「アイランド」の秘密を知ってしまったリンカーンが、 仲良しのジョーダンとともに脱出し、地上に舞台を移した大逃亡劇を繰り広げ るのが後半の展開。 ここからは基本的に、よくある逃亡アクション映画といった感じ。敵に追われ て、命からがら逃走を続け、「あわや!」という危機一髪の場面に何度も遭遇 し、そのたびにどうにか生き延びるパターン。 とはいえ、近未来社会らしく、ハイテクな乗り物なども登場させ、カーアクシ ョン、爆発などあらゆる方法でハラハラドキドキを演出していく。このあたり は、さすがにエンタメ映画の王道を行くマイケル・ベイらしい見せ方を心得た 演出。驚きこそないものの、安心してスリルに満ちたアクションを満喫できま す。 (⌒▽⌒;) まあ、このテの映画につきものの「都合よすぎぃ〜〜!!」のところは、たく さんあるんですけどね。いくら何でもあんなにうまく世の中渡れないでしょう 〜〜〜。 でも、クローンというネタを生かして「どっちがホンモノ???」てなスリリ ングな場面を用意したりして、最後まできちんと楽しませてくれます。 主演のユアン・マクレガーは最近の充実ぶりを物語る演技。相手役のスカーレ ット・ヨハンソンは慣れないエンタメ映画でも十分存在感がありました。 でもこの映画のキャストで目立っているのは脇役。悪の博士役のショーン・ ビーン、主人公たちを追い詰めるジャイモン・フンスー、主人公たちに協力す るスティーブ・ブシェミなど個性がキラリ。特にブキミ、じゃなくてブシェミ はますます怪しさに磨きがかかって、いいですねぇ〜。 アレコレ考えれば物足りなさがたくさんの残るのも事実。ドラマ的にも、超管 理社会の恐ろしさ、生命倫理の問題、主人公たちの愛の物語など、いくつもの テーマが描かれながら、どれもツッコミ不足。 しかし、逆にいえば、それだけいろんな要素を適度に並べているわけで、エン ターティメントとして観れば十分に水準をクリアした映画だと思います。あん まり深いこと考えずに、エンタメ映画と割り切って気楽に楽しみましょう。 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ (手慣れた演出で見せる逃亡アクション劇。誰でも入場料分ぐらいは楽しめそ う。) <ぽち> 〔鑑賞データ〕 2005年7月25日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時の回。 |