ムッシュ・カステラの恋 (LE GOUT DES AUTRES)
（1999年 フランス）（上映時間１時間52分）
監督・脚本・出演：アニエス・ジャウイ
出演：アンヌ・アルヴァロ、ジャン＝ピエール・バクリ、ブリジット・カティヨン、
アラン・シャバ、ジェラール・ランヴァン
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＜ストーリー＞
最近どうにもサエない中堅会社の社長カステラ（ジャン＝ピエール・バクリ）。
ある日、女優兼英語教師のクララ（アンヌ・アルヴァロ）に恋した彼は、必
死にアタックをかけるがあえなくフラれてしまう。たが、それがきっかけで芸
術に目覚めた彼は、工場の壁を壁画で飾ることにするのだが……。
＜レビュー＞
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良質な人間喜劇だが、曖昧さについていけずあえなく沈没！
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教養もなく、お下品なオジサンが切ない恋をしてしまい、彼女に気に入られよ
うと一生懸命背伸びをする。でも、いきなりの変身にはかなりムリがあって、
思わず笑ってしまうようなことばかりが起きる……。
これって、フーテンの寅さんと同じパターンだよねぇ〜。
ただし、この映画の主人公のムッシュ・カステラは社長サン。てことは、フー
テンの寅さんというよりは、タコ社長か!? (＾0＾)
中堅会社の社長ムッシュ・カステラは、仕事に熱意がなく、エリートの経営コ
ンサルタントとケンカばかりしている。
おまけに、周囲では保険会社から派遣されたボディガードがずっと護衛してい
るし、長年連れ添っている妻アンジェリックは夫よりも飼い犬に夢中。なんだ
かサエない毎日なのだ。 (´ヘ｀;)
そんなある日、彼に英語の勉強をさせようと、経営コンサルタントがクララと
いう英語教師をよこす。英語なんか勉強したくないカステラは彼女を追い返す
が、偶然見にいった舞台で彼女を目撃する。クララの本職は女優だったのだ。
たちまち彼女に恋をしたカステラは、英語のレッスンに熱心に通い、彼女から
本や戯曲を借り、彼女の出入りする場所にも足を運ぶなどメロメロ状態。
とうとう、英語の詩まで作って彼女に告白しようとするのだが……。
ね？ マドンナに恋した寅さんのパターンでしょ？
クララに恋したカステラさんが、一生懸命にヘタな英語をしゃべったり、口ヒ
ゲが嫌いな彼女のためにヒゲをそっちゃったりと、右往左往するようすがカワ
イらしくて笑っちゃうんです。ウフフ。 (＊＾。＾＊)
一度彼女にフラれて、どうしていいかわからずただボーゼンとする姿なんか、
まるで少年時代だよなぁ〜。♪夏が過ぎ風アザミ〜。（歌うな歌うな！）
でもねぇ、僕はイマイチ笑えなかったんです。
どうしてかというと、カステラさんがクララを好きになるところで感情移入で
きなかったから。
だってさぁ、確かに奥さんがカステラさんにあんまり興味がないっていうのは
わかりますよ。でも、別にムチャクチャな家庭ってワケでもないんだよね。
ケンカするほどの情熱さえ消えてしまったという解釈もできるんだろうけど、
それにしたってカステラさんをよその女性に向わせるほどの孤独感や虚しさは
、ほとんど見えてこなかったんです。 (｀ヘ´)
それじゃ、クララさんがとてつもなく魅力的な女性かというとこれも疑問。と
びっきりの美人ってわけでもないし、少女のような奔放さがあるわけでもない
。どっちかというと、くたびれた感じで、カステラさんがときめく理由がよく
わからない。舞台の上でも、そんなに魅力的には見えないんですよねぇ〜。
「恋に理由は要らないのサ」なんてことで済ませちゃうつもり？ (？_？)
それから、もう一つ気になったのは、いろんなエピソードが中途半端に描かれ
ていること。
中心はカステラさんの恋の話なんだけど、その他にもボディガードや運転手の
それぞれの恋、カステラさんの妹の部屋の室内装飾をめぐるスッタモンダなん
かを並行して描いていくんです。登場人物はそれぞれ関わりがあって、典型的
な群像劇のスタイルをとってるんだけどどれも突っ込み不足。肝心のカステラ
さんの恋の話まで、突っ込み不足になっちゃってる感じ。甘すぎるぅ〜！
(〜ヘ〜;)
ただし、よくよく考えると、これって全部計算ずくでやってることなのかなぁ
〜？ つまり、わざと曖昧にしているのかも。
ほら、人生って映画みたいに簡単に割り切れないわけじゃない？ 誰かを好き
になったり、別れたりするのに明確な理由なんてないことが多いでしょ。
「一度結婚してみたかったから」結婚した葉月里緒菜とかもいるわけだし。（
てことは、離婚したのは「一度離婚してみたかったから」か？？？）
そういう人生の曖昧さをそのままこの映画に持ち込んで、登場人物の人間関係
のアヤや感情のヒダを描いていく。それがこの映画の意図だったのかもしれま
せん。
曖昧で微妙なエピソードを重ねながら、その向こうにある人生における真実を
照らし出そうとしたようにも思えます。
だとしたら、それにうまくノッていけなかった僕が悪いんですネ。どーもスイ
マセン。 ｍ（．＿．）ｍ
でも、しょうがないよねぇ。つまんなかったんだから。ウソつくわけにもいか
ないし。
ラストもホッとする温かな展開には違いないけれど、そこに至るまでのカステ
ラさんとクララの心の変化がよくわからず、ワシャ沈没じゃあ〜〜〜。ブクブ
クブク……。 .。o○
うーん。それにしても疲れた。いかにもフランス映画らしい洗練された味わい
とやらに、うまくノッていけませんでした。
いいんだ、いいんだ。どうせ僕なんか洗練とは無縁のダサイ男だからサ……。
（と開き直るところがカワイイ……わけないって！！！）
ちなみに、この映画は女優で脚本家のアニエス・ジャウイの初監督作品。ウエ
イトレスのマニー役で出演もしています。そして、カステラ役のジャン＝ピエ
ール・バクリは、彼女の私生活のパートナーで共同脚本も手がけているそうで
す。カステラおじさんたら、ただものじゃなかったのネ。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆
（僕的にはイマイチでしたが、世間的にはソコソコ評判が良いみたいです。特
にフランス映画が好きな人にはいいかもね。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年１月16日（水）銀座 テアトルシネマにて。午後１時の回。