ケイティ(ABANDON)
（2002年 アメリカ）（上映時間1時間39分）
監督・脚本：スティーブン・ギャガン
出演：ケイティ・ホルムズ、チャーリー・ハナム、ベンジャミン・ブラット、
ズーイー・デシャネル、メラニー・リンスキー、ガブリエル・マン
＊11月29日（土）より、日比谷スカラ座２ほかにて全国公開
ホームページ http://www.katie.eigafan.com/
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＜ストーリー＞
有名大学に通うケイティ（ケイティ・ホルムズ）は、成績優秀で人気企業への
就職も決まった。だが、彼女は大きな虚無感を抱えていた。かつての恋人エン
ブリーが失踪したのだ。警察も動き出し、担当捜査官に任命された刑事ハンド
ラー（ベンジャミン・ブラット）は、ケイティに接近するが……。
＜レビュー＞
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魔性の不発弾？ ケイティ・ホルムズの魅力バクハツとはいかず……
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「監督・脚本：スティーブン・ギャガン」って誰よ？
ふーん、ソダーバーグ監督の『トラフィック』の脚本を書いて、アカデミー脚
色賞を獲得したんですか。テレビドラマもたくさん書いているのね。な〜るほ
ど。
そんな彼の初監督作品がこの映画。
主人公はケイティという女子大生。美しく、聡明で、どことなく陰がある。実
は彼女の元恋人で、閉塞した心を開放してくれたエンブリーが失踪していたの
だ。
警察が捜査を始め、元アル中の刑事ハンドラーが担当になる。彼は、ケイティ
から話を聞くうちに、次第に彼女を支える存在になる。
そんな中、エンブリーが再び現れる。また、ケイティの友人ハリソンが行方不
明になる。ケイティの周りで次々に起こる不思議な出来事は、彼女といったい
どんな関係があるのか？？？ (・_・？)
てことで、アヤシイ魅力を持つ女子大生とそれをとりまく男たちをめぐるサス
ペンス。ケイティの元恋人の失踪事件を軸に、現在、失踪前の恋人との関係、
幼少時代の父親との関係、という３つの時間が描き分けられます。
最も印象的なのは、映画全体を覆うミステリアスでスリリングな雰囲気。映像
も魅力的で、ときにはドキュメンタリーっぽくもあり、色彩感覚にも優れたキ
レのある映像が展開されます。無機質な感じのコンクリートの廊下、不気味な
別荘といった舞台装置も、緊迫感をますます高めていきます。
たたみかけるような展開も、このテのサスペンスとしては秀逸。このあたりは、
さすがにオスカー受賞脚本家という感じがします。 (~ヘ~;)
さて、肝心の事件の真相なのですが、これが最初からミエミエなのヨ。なのに、
途中で一度それをひっくり返しちゃう。あらあらあら、この先いったいどう
なるの？……と思ったのですが、そこには意外なオチが用意されていたんです。
Ｗ（゜Ｏ゜）Ｗ
うーん、このオチは反則技に近いですねぇ〜。まあ、別に使ってもいいけれど、
それなら、元恋人の再出現をもう少し曖昧な形で描くべきなんじゃないでし
ょうか。あれだけハッキリ描かれてそのオチでは、「そりゃないよ〜！」って
感じがしてしまいます。
誰もが予想した結末を裏切ったと思わせて、最後の最後まで真相をボカす点で
効果があったのは確かですが。でもねぇ……。 (´ヘ｀;)
それに主人公のケイティがもっともっと魔性の女ぶりを発揮しないと、事件の
伏線としては弱い気がするんだよなぁ〜。せっかく子供時代のトラウマを描い
ているんだから、そのへんをうまく結びつけて彼女の陰をキチンと見せなくち
ゃ。
「うーん、あのコにはきっと何かある」
「あんなコなら男たちが惹かれるのも当然だわ」
てところをしっかり見せてくれないと、あのラストのオチが生きてこないと思
うんですよねぇ〜。
主役のケイティ・ホルムズはテレビドラマ『ドーソンズ・クリーク』で人気者
になったコ。どことなくアンジェリーナ・ジョリーに似た風貌で、不思議な魅
力があるけれど、さすがにこの難しい役は重荷だったか？ 今後に期待です。
それよりも役者で目に付いたのは、刑事役のベンジャミン・ブラットです。ベ
ニチオ・デル・トロほどアクは強くないけれど、かなり個性的な雰囲気を持っ
ていて、今回のような陰を持つ役はピッタリ。使い方によって、ますます魅力
が開花しそうです。
サスペンスとしてはそれなりに水準をクリアした映画だと思います。特に突き
放したような乾いたタッチには好感が持てました。映像も魅力的です。
ですが、反則技に近いオチを使っているので、それを納得させるだけのもうひ
と工夫が欲しかったところ。ちょっと自己満足に終わっているような演出が鼻
につきました。
よけいなお世話ですがスティーブン・ギャガンは脚本に専念して、別に監督を
立てたほうがよかったんじゃないでしょうか。何事も欲張りはいけませんゾ。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
（スクリーンを覆う独特の雰囲気は買えるが、ケイティ・ホルムズに魔性っぽ
さが欠けているのがちょっと……。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2003年11月18日（火）試写会（よみうりホール）にて。