私の頭の中の消しゴム（A MOMENT TO REMEMBER）
| （2004年 韓国）（上映時間１時間57分） 監督・脚本：イ・ジェハン 出演：チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハク、イ・ソンジン、 パク・サンギュ、キム・ヒリョン ＊丸の内ピカデリー1ほかにて全国公開 ホームページ http://www.keshigomu.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 不倫の愛を失ったばかりのスジン（ソン・イェジン）は、コンビニで買った コーラとサイフを忘れ、慌ててコンビニに戻る。すると、店から１人の男が彼 女が買ったのと同じコーラを持って出てくる。自分が買った物を取られたと思 ったスジンは、缶を奪い飲んでしまう。だが、スジンのコーラとサイフは、店 員が保管していたのだった。数日後、建設会社の社長である父に付き添って、 建設現場に向かったスジンは、コンビニで会った男性・チョルス（チョン・ウ ソン）と再会するのだが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 泣きたい人のための確実に泣ける映画 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 若年性アルツハイマーにかかった妻とそれを見守る夫の愛を描いた読売テレビ のドラマ（「Pure Soul〜君が僕を忘れても〜」）を、韓国で映画化したのがこ の作品。 とくれば、これはもう観客の期待は絶対に泣ける映画なワケで、そうでなけれ ば許されない宿命を背負った映画なのです。 冒頭、ヒロインのスジンが不倫の愛に破れて、憔悴したままコンビニに足を運 ぶシーンが登場します。この構成がなかなか効果的。どうしてかというと、彼 女にとってその愛は消してしまいたいけれど、消せない過去。ところが、やが て若年性アルツハイマーになった彼女は、消したくない過去まで失ってしまう。 その皮肉が何ともたまらないのです。 そのコンビニで奇妙な出会いをするスジンとチョルス。やがて再会した２人は 次第に恋に落ちていく……。 てことで、前半は２人が知り合って、結婚するまでが描かれます。 しかし、はっきり言って、ストーリー的にも、演出的にも、特別に目を見張る ようなところは何にもナシ。２人が再会するところをはじめ、あまりに陳腐だ ったり、都合が良すぎる展開も目に付いて、「何だかなぁ〜」という感じ。甘 ったるいラテン音楽も、「いかにも」という感じだよねぇ〜。まあ三流以下の ラブストーリーといってよいでしょう。 (￣へ ￣) 中盤のチョルスの実母をめぐるエピソードも、これまたありがちでつまりませ ん。 後半は、若年性アルツハイマーになったスジンと、それを献身的に支えるチョ ルスの愛と苦しみの日々が描かれます。 しかし、これまたどうってことのない話。「うーん」とうなるような演出もほ とんどありません。 だけどねぇ、「泣かせる」という観点から見れば見事な出来なんですヨ。これ が。 ストーリーを聞いただけで感動的な話を、ヘタな細工をせずにストレートに押 していくことで、ますます涙、涙、涙の感動物語に仕上げています。いわば、 力ワザで強引に泣かせにかかるんだけど、そのケタはずれのパワーには圧倒さ れるばかり。 （ノ゜ο゜）ノ 記憶をなくしていくスジンは、チョルスのことを忘れて、破局したかつての恋 人の記憶を残しています。そんな妻を温かく見守りながらも、どうしても涙し てしまうチョルスのつらさ。前半の彼が、ひたすら無骨な男として描かれるの で、後半のスジンに対する愛情が余計に感動的に見えてくるんです。 そして、ときどきまともに戻ったときに、チョルスに対する申し訳なさで涙す るスジン。家族など周囲の人々も含めて、登場人物みんなが涙、涙、涙。 そんな悲しくて、つらくて、切ない思いを、何のてらいもなくストレートに描 いて観客を涙の海に誘い込む徹底ぶり。おかげで、観客ひとりひとりが、スジ ンやチョルスに感情移入しまくりで、「もしも私がああだったら。ヨヨ……」 と涙にくれるのです。 （Ｔ−Ｔ） 「泣かせる」のはお得意の韓国映画。感動的な音楽も含めて、観客を泣かせる 仕掛けにぬかりはナシ。 ラストのコンビニのシーンなんて、あざとすぎて笑っちゃうぐらいだけれど、 それでも涙してしまうからスゴイもの。何なんでしょう。この強引ながら、確 実に泣かせる力ワザったら。これはもはや韓国映画の伝統芸か！？ ヒロインを演じたソン・イェジンの輝きは出色。『ラブ・ストーリー』『四月 の雪』と、さすがにノリにノッている女優さん。オーラ出まくりです。 相手役のチョン・ウソン（（『MUSA−武士−』））は、今までの韓流スターと は一味違った男っぽさが魅力。 ボクから見たら大した映画だとも思えないのだが、泣けるのは確実。ほとんど のお客さんが泣きに来ているわけだから、そういう意味では良くできた映画だ と思います。泣きたい人は映画館へＧＯ！ 《ぽちのオススメ度》 ★★☆☆☆（＋1／2★） （なんてことのない映画。しかし、泣けるのは間違いなし。泣きたい人のため の映画です。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2005年10月23日（日）池袋シネマサンシャインにて。午後３時40分の回 |