きれいなおかあさん(漂亮媽媽)
（2001年 中国）（上映時間１時間30分）
監督：スン・チョウ
出演：コン・リー、カオ・シン、シー・ジンミン、リュ・リーピン、ユエ・シウチン、
リン・チン
＊2002年６月公開
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
スン・リーイン（コン・リー）は夫と離婚し、一人息子を育てる母親。しかし
、息子ジョン・ダー（カオ・シン）は聴覚に障害を持っていた。スンは、息子
を立派に育てるために、それまでの安定した収入を諦めて、子供との時間をよ
り多く持てる仕事を選ぶのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コン・リーのバツグンの存在感が光る感動のドラマ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「きれいなおかあさん」のお話。
て、それだけかよ！！ （｀´メ）
いや、とにかく良いお話なんです。良いお話としかいえません。
補聴器がないと耳がよく聞こえない息子を必死で育てる母親。夫とは離婚。経
済的にもけっして楽ではない。
子供に言葉を教え、普通の学校に入れようとするが、息子は試験に落ちてしま
う。
ますます子供のために生きようと決意した母親は、経済的に恵まれた仕事を捨
てて、子供と一緒に過ごせる新聞配達や家政婦の仕事を始める……。
この母子がマクドナルドで食事をするシーンがあるんですよ。中国のマックの
料金がどの程度かは知りませんが、母子の生活水準からすれば、そこそこ贅沢
なんじゃないでしょうか。とにかくそのぐらい息子に一生懸命で、お金を使う
ことも苦にしない母親なわけです。
そんな愛情の塊のような母の姿を描いたこの映画は、ストーリー自体はあまり
にもストレートすぎます。「ここまでベタな話があるかよ！」と叫びたくなる
ようなありがちな話。
離婚した父親が突然事故死したり、家政婦として働いていた先で、母親がレイ
プされかけたりと、何ともまあ見ていて気恥ずかしくなりそうなストーリー展
開。 (*^^*ゞ
でもねぇ、これをコン・リーが演じると実に見応えある映画になってしまうん
ですねぇ。
地に足が着いたたくましい母親。息子に対して無上の愛を注ぐ母親。苦難にあ
ってもけっしてめげない明るい母親。でも、あることがきっかけで抑えていた
感情が噴出して……というような母親を、バツグンの存在感で演じ切ってしま
う。うーん、さすがですねぇ。これだけ説得力のある演技ができる人は、そう
そういません。気丈に振舞う姿と、弱気になった時の表情とのコントラストが
素晴らしい！
もしも、彼女が演じなければ、これほど素直に感動できる映画にはならなかっ
たことでしょう。
そして、その息子役のカオ・シンもなかなか良い演技を見せてくれます。無邪
気さがいいですね。
それに、耳が聞こえない役を巧く演じているなと思ったら、なんとこのコ、本
当に耳が不自由なんだそうです。それにしても、見事な演技だと思いました。
中国映画って、こういう映画初出演のコが、とんでもない演技をしたりする。
さすがに中国四千年の歴史じゃ！（て、なんだそりゃ？）
抑え目な演出も好感が持てます。話自体はベタなので、感情をタップリ込めた
映像にすることもできたのに、比較的淡々と描いていくんですよね。それがよ
けいに感動を与えてくれます。 (T^T)
欲をいえば、聴覚障害に対する世間の偏見や無理解を、もう少しキッチリ描い
て欲しかった気がしますが……。
わかっていても感動してしまうタイプの映画です。コン・リーとその息子役の
見事な演技によって、ある種の美談が浮つくことなく、説得力を持って語られ
ています。感動したい方はぜひどうぞ。
しかし、ああいう母ちゃんは実際にはなかなかいないよねぇ〜。
ていうか、コン・リーが母親だったら、ボクなんか緊張してまともに話せませ
んですわよ。（爆）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）【かなりオススメ。観た方がいいんじゃない？】
（ベタな話でも役者次第で、これだけ良い映画になるという見本のような映画
です。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2002年７月19日（土）ビデオにて。